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愚者の雨  作者: 神城 摩葵
第1章『夢見心地。移り行く平凡』
6/35

6 過去編 「Hero ~英雄~ 」

今回は過去編です。

楽しんでくださいね!!





           1



 この世界は"ある少年"によって救われた。彼は(のち)に"Hero"と呼ばれる人物である。今回の物語は彼の視点で始まる。



           2



 彼は目を覚ました。自分が何者であるかわからない状態で。彼は話しかけられる。

「気分はどうだい」

彼は無言のまま、話しかけてきた人物を見つめる。そんな彼に人物はまた、話しかける。

「僕の名前は眞鍋(まなべ) (じん)。君と仲良くなりたいんだ」

そう言われた彼は訳がわからないといった顔で眞鍋に()う。

「仲良くなりたい? 何故? あと、ここは何処だ?」

と。眞鍋は順に答えた。

「僕は君の理解者になりたい。そのためにはまずは仲良くならないといけないと思ったんだ。それで、理由はただ君が僕らの未来を輝やかしいものにしてくれそうだと思ったからだよ。そして、ここはスラム街。行く(あて)のない人が集まる街」

彼はその答えを聞くと、体を起こした。彼に眞鍋は聞く。

「君の名前はなんていうの? ずっと、君って呼ぶのは嫌だな」

「……すまない。わからないんだ。自分が何者でなんて名前なのか」

「そうなんだ。じゃー〇〇なんてどう? 未来を創り出して行くって意味で!」

彼はその言葉を聞いて頬が濡れるのを感じた。懐かしい感じがして心が暖かくなったのだ。

 この感情がわからないはずなのに、彼は知っていた。感動したのだ。心から。

 何もかも失った自分の世界を明るく照らしてくれたのは紛れもなく眞鍋だった。眞鍋は焦りながら彼を心配する。

「ご、ごめん。嫌だった。じゃ〜違……」

「いや。ただ嬉しいんだ。ありがとう。仁」

「あはは。照れるな。……〇〇。これからよろしく!! 」

「あーこれからよろしく頼む」

彼と眞鍋はそう言うと、握手をした。この時、彼らは親友になったのだった。



           3



 彼は一年間、スラム街で過ごした。その一年間で彼は立派な青年になった。

 そして彼は知ってしまったのだ。世界が広いことに。そんなことを知ってしまえば、誰だって旅立ちたいと思うだろう。

「なぁー眞鍋。俺と旅に出ないか?」

「旅? ……良いね。面白そう!」

「だろー」

彼らはそんな会話をして準備を始めるのだった。



           4



 また、一年が経った。彼らはとうとう、スラム街を旅立つ。スラム街の(おさ)が涙ながらに言う。

(わし)の可愛い息子よ。無事に帰ってくるんだぞ。ずっと、儂は待っておる」

と。そして、最後は笑顔で出迎えてくれるのだった。スラム街の人達の気持ちを胸に旅立つのだった。



           5



 彼と眞鍋はスラム街から1km離れた街、繁華街に訪れた。

 そこは祭りが盛んで、特に喧嘩祭りが人気である。彼らはその祭りを見学していた。そこで彼は目にしてしまった。美しい女性を。

 彼はその女性に一目惚れしてしまい、祭りが終わると眞鍋を置いて彼女の元に向かった。そして、話しかける。

「あの、君の名前はなんていう?」

と。彼女は戸惑いながらも答えた。

「私の名前は名塚(なづか) 未那(みな)

「名塚 未那。良い名前だ。なぁーこのあと空いてないか? 何処かに出かけよう!」

「えっ?」

と、名塚は戸惑いがちに反応する。そして、彼女は連れに許可を取ったあとに言った。

「……空いています。……行きましょう?」

「そうか! じゃー行こうか!」

そう彼らは会話すると、二人でいろんなところを見て回った。

 このお出かけを最初に、彼らは用事がない時、一緒に出かけるようになった。

 そして、気が合うようになっていき、付き合うことになったのだった。



           6



 彼と眞鍋と名塚は共に行動するようになった。眞鍋は彼らの関係を知った上で一緒にいる。

「本当、仲良いね」

「あははは。すまん。仁。ほったらかしにして」

「いや。そういうんじゃなくてー」

「拗ねてたんじゃないのか?」

「だから、違うって」

「仁さんも、〇〇さんと仲良いじゃないですか?」

「あははは! そうだね。みんな仲良いってことだ」

彼らはそんな会話をしながら彼と眞鍋の故郷スラム街へと向かっていた。

 地獄が待っているとも知らずに。



           7



 彼らはスラム街に到着した。そこで、目にしたのは崩れ去った街の風景だった。人が血塗れで倒れている。

 長を探すと、彼の首を締めて持ち上げている化物がいた。

 ここで初めて人類は〈魔神〉に出逢ったのである。初の〈魔神〉は鬼のような見た目の姿で、禍々しいオーラを放っている。

 〈魔神〉は長の首を跳ねると、ギロリと効果音が聞こえてきそうな動きで彼を見た。そして、彼に話しかけた。

「お前の所為だな。全て」

と。彼は、何を。と思った。その瞬間、後ろにいた眞鍋が腹を貫かれて薙ぎ払われていた。

 彼は眞鍋を支える。だが、もう眞鍋の体は冷たかった。そして、名塚もいつの間にか、〈魔神〉の手の内に治ってしまっていた。そして、〈魔神〉は名塚を上半身と下半身で切断した。

 彼は彼女の元に向かう。そして、身体に(だく)と、話しかける。

「未那!死ぬな。死な……くれ!」

「〇〇さん。大丈夫。……また……きっ……逢え……から」

その言葉を最後に名塚は息を引き取った。

 彼は泣き崩れながら、空を見る。人が亡くなったあととは思えないほどに青く透き通っていた。それを見た時、彼は思ってしまった。()()()()()()()()。と。

 彼は立ち上がると、無言で手を上に掲げ唱えた。

「世界 我 支配」

と。すると、彼の周りが輝き始める。そして、その光が止むと、世界がなくなっていた。

「我 創造 天地」

という声が聴こえてくる。すると、新たな世界が構築され始め、〈前半〉と呼ばれる世界が完成した。この、〈()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()のことである。



           8



 "Hero"と呼ばれる彼は心に深い傷を負ったまま、生涯(しょうがい)を生き続けていると言われている。それが、本当であるかは誰も知らない。


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