3 「Gene ~遺伝子~ 」
更新出来ました。
色々、大変ですが頑張ろうと思います。
1
彼らの戦闘が終わったところで有崎は原島に問う。
「これは何処に向かっている?」
と。すると、原島は簡潔に答えた。
「行けばわかります」
答えになってはいないが、事情があるのだと割り切って黙る。
数分すると、彼らは立ち止まった。目の前には洞窟。巨人が入れそうなほど、大きい。
徐に、龍園寺が話し始めた。
「今からお前にはこの洞窟の奥へと向かって貰う。奥に到着すると、試練がある。…………無事に乗り越えろ」
「試練?」
有崎のその問いに龍園寺は答えることなく、彼女の背を押した。
有崎は前に一歩進む。振り返ると、目の前は壁だった。洞窟の入り口が閉じたのだと直ぐに理解した有崎は独り言を呟く。
「試練に合格しないと出れない訳か」
と。有崎は溜息を吐くと前へと歩みを進めた。
2
有崎は能力なんてものを持っていない。所謂、無能力者である。有崎は達成できるのか不安に思う。そんな気持ちを薙ぎ払うと、奥に進んで行く。
奥に向かうまでの道には何もなかった。簡単に奥まで辿り着くと、そこには丸い玉が玉座に置いてあった。
「これを触れってこと?」
と、呟くとその玉に触れる。すると、焼けるような痛みが身体の左半分を奔る。数分、その痛みが続くと、やがて痛みは引いていった。困惑していると、左耳だけに声が聞こえてくる。
〔貴方が新しい〈魔挽き〉ですね?〕
有崎は〈魔挽き〉という言葉に疑問を抱きながらも、無言で頷く。
〔この試練に合格おめでとうございます!! 〕
〔この試練で貴方の能力を見させて貰いました〕
有崎は驚きながら尋ねる。
「能力?」
〔はい。貴方の内に秘めた能力です〕
「私に能力なんてあったんだ」
と呟いていると、話しかけられる。
〔どんな能力であるか知りたいですか?〕
有崎は少し間を開けて答えた。
「……知りたい」
〔そうですか。では、教えましょう。貴方の能力はーー〕
有崎はその答えを聞いてーーと思った。ただ平凡に暮らしていた高校生にも能力があると知って少し不思議な気持ちになった。
3
能力は遺伝子によって人それぞれになる。遺伝子とは染色体中に一定の順序で配列されて各々一つずつ遺伝形質を決定し、両親から子、子から子孫へ細胞から細胞へと伝えられる因子のことである。
そして、能力はRANK0〜RANK8まである。RANK8である人物はたった六人しか存在しないらしい。
家庭によって遺伝子が違うのは当たり前であるが、似たような能力で産まれてくるのに兄弟ではないなんてことは起きてしまっている。その点は考えないといけないだろうな。と、有崎は思った。