救わなければならないから
光烈の国、その王城の裏道。
すでに陽は落ちて、真っ暗な夜闇が辺りを包んでいる。
そんな中に、紅蓮の瞳が、二つ。
「これは……」
彼女は炎で自分の掌を照らした時に、ふと気が付く。
掌に、今まではなかった、皺がある、と。
「そうか……そういうことか……」
彼女は一人で納得して、それから、背後へと合図を送った。
暗闇の中を気配が走る。
そして暗闇の中で、水色の両眼と、土色の両眼がわずかに光った。
ミラ、エレグ、ナーシャの三人は兵士にばれることなく王城の裏口へとたどり着くことに成功していた。彼女たちの目的は、当然トウヤの救出である。
まだ時はあるとわかっていた。彼はまだ、象徴にはされていないはずだった。
兵士を買収したので、どこにトウヤが閉じ込められているのかも判明している。あとは王城に侵入して、彼を部屋から引きずり出してこの国から逃亡するだけだった。
「ここから先は私一人で行く。三人で進めば確実に見つかるだろうからな。お前たちはここで待機して、逃げ道を確保しておいてくれ。いいか、この作戦で大切なことは、とにかく発見されないことだ。光烈の国全体を今の時点で敵に回せば、多くの死人が出ることになる。私がすべて燃やし尽くしてしまうことは簡単だが、光烈の国の魔導師が出てきてしまえば、特性によってはやられる可能性だってある。ゆえに、ここはひたすら隠密行動だ。隠れて、隠れて、隙を伺って、活路を見出すぞ」
「任せろ」
「ちょっと、緊張してきましたけど、きっと何とかなりますよね! トウヤさんだって、あの場では私たちを助けるために象徴になると言っただけで、本当は象徴なんかになりたいはずありません! 絶対、助け出しましょう!」
三人は暗闇の中で、顔を見合わせ、頷き合う。
「では、それぞれ、健闘を祈る」
ミラは身体が小さいので、王城への侵入にはたしかに向いているのかも、とナーシャは思った。
小さい割にはとても素早く、その背中はすぐに裏口へとたどり着き、眠っている兵士をかいくぐって消えていった。
「俺たちも行くぞ。ミラも重要な役割だが、俺たちも重要だ。逃走経路を邪魔するような兵士は、殺さない程度に戦闘不能にするぞ。手加減、できるか、ナーシャ」
「任せてください!」
二人も駆け出す。
闇夜へと隠れて、すぐに姿を消していった。




