堕神の烙印
さぁさぁ!
楽しんでいってください!
反吐が出るほどにいたい作品になってきてます!
荷台の外に森に囲まれた石畳の道はなく果てしなく続きそうな砂漠のような砂地が広がり俺らのほかに反対側から来たであろう馬車が目算200メートルほど離れたところに止まっている。
ちょうど、人が乗り込むところだった。
おいていかれたのか?
いや、そんなわけ‥‥‥‥あるかもしれない。
そんなことを思い俺はあまり運動は好きではない体を走らせた、しかし体は思ったよりも素直に今までの記憶に無いくらいの早さで走れた!
大体100メートルほど走ったところでウリエルを見つけた。
良く見ると、縄で体の自由を奪われている。
俺は今までに感じたことの無い感情を覚えた。
どうやら、俺は自分はどうされてもいいが人がやられるのは断固嫌だと言うことのようだ。
俺は、馬車の周りに取り巻くガチガチに鎧で固めた兵士たちがいる。
確か、俺のとこではあー言うのってフルプレ装備って言うんだよな。
兵士たちの隙間から見覚えのある奴が見えた。
オリーフだ!
どうやらこの馬車を呼び寄せウリエルをさらったのはまず間違いなくオリーフだ。
過去最大級の殺意をオリーフに感じた。
なぜ、どうして、何がどうなれば昨日の一昨日まで友好的だったオリーフが敵に回るようなことになった?いや、今はそんなことではない、一刻も早くウリエルを助けなければ!
気付けば、俺は走っていた。
少ししたところでやはり近付いてくることにバレた。オリーフの護衛でもしているのだろう、兵士どもは俺に向けて抜刀し突進してくる。
俺も鍛冶士のおっさん手製の二本を同時に腰から引き抜き、逆手持ちのまま走り続ける。
「冒険者も兵士もそこで止まれ!」
兵士どもとの距離が5メートル位になったところでオリーフの制止の声が上がった。
なんだよ、この事について説明してくれんのか?いいだろう。聞こうじゃないか。
構えていた腕を脱力させ、利き手である右手の剣のみ逆手持ちではなく、もとの持ち方に構えもしもの奇襲には対応できるようにしておく。
「なに、そんなに怯えることはないよ。俺は兄ちゃんと話がしたいんだ。」
あまりの怪しさに身構える。
「なんの話だよ。」
「まぁまぁ、聞いてくれよ。兄ちゃんの知りたいことだと思うよ。」
思わせ振りの言葉に幻滅する。
「わかった。だがまずはウリエルを解放しろ!」
「それは出来ない。これは大事な人質だからな。」
「人質だと?どういう意味だ!」
この世界でもいじめられてきた勘が通用するらしい。おそらく先程の話とやらは全部嘘。また、ウリエルを解放しないことから、こいつらは‥‥‥‥。役目を終えたウリエルを解放せず、殺すだろう。物理的にか精神的にかはわからないが‥‥。
「そう、こいつは大事な交渉材料に過ぎない。だから安心しろ?お前のだーいじなお仲間なんだろ?使い終わったらしっかり返してやるよ‥‥‥‥」
そこまでで少しホッとしてしまった。その後の事を聞くまでは。
「バラバラにして‥‥な。」
オリーフが汚く薄ら笑いを浮かべる。
自分表情が変わっていくのか自分でもわかった。
俺の顔を見てオリーフは薄ら笑いをいっそう分かりやすく、もう口が割けているのではと思うほどほほはつり上がり、目は虚ろになっていた。
俺をいじめてたやつと同じ目だ‥‥。
少し前の記憶が蘇り膝が笑い出した。
俺の足を見たんだろう。兵士の一人が笑い出す。
「ぶひゃひゃひゃっ。みっ‥‥見ろよ!こいつの‥‥ヒャヒャ。足震えてるぜ!」
ほかの兵士もあとを追うようにいってくる。
「生まれたての馬かよ!」
「怖いなら、泣いてもいいんでちゅよー?」
「やめろって、ママ来ちゃうだろ?」
ギャハハハハハと汚い笑いが響き渡る。
殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。殺したい。
あー、死ねばいいのに。こんなやつら。
どこの世界でも変わらない。
俺はいる限り、存在する限りいじめのようなおちょくりを受ける。
俺のような奴がいる限り、存在する限りいじめやおちょくり、拷問が無くならないんだ。
何分ほど時間が経ったのだろう。
いつしかあの不甲斐な笑い声は聞こえなくなっていた。ただ、ひとつ頭の中を<殺したい><殺す><ウリエルを助る>の3つしかなかった。
オリーフたちはまだ笑っている。
だが、笑い声は聞こえない。
きっとどうでもいいから、脳が強制的に消し去っているのだろう。
俺は、ゆっくりと軟体動物が重々しく動くようなぬらりとした動きで兵士の一人の首に右手の剣を向けた。
兵士とオリーフの笑いがピタリと止まった。
今度は脳が強制的に作った静けさでは無い静寂でピリピリした静けさが砂漠のような砂地に広がり、あっという間に全体を飲み込んだ。
俺と、オリーフの間を乾いた空気が吹き抜ける。
そこで、血気盛んな護衛兵が鞘ばしる。
「おいガキ。その汚らわしい刀をオリーフ様から離せ。さもなくば、その手たった切るぞ。」
オリーフが薄ら笑いを浮かべながら後退する。
俺は下げずに、持ったままの剣を視界に映るオリーフに向け続ける。
ほかの兵士たちも鞘ばしる。
油に濡れた刀身がヌラリと光る。
「今さら命乞いしても助からんからな、ガキ。」
兵士Aとでもしておこう、そいつが俺の胸の延長に剣を向ける。
「そっちこそ、せいぜい仲間が死なないようにな?格下」
兜越しでも分かるくらい顔を歪める。
「くっそっ、おちょくりやがって!」
沸点の低い兵士Aの啖呵と共に火蓋が切られた。
相手の勢力は目算200人程度、そのうち剣士クラスの接近戦型は俺のことを散々こけにした、オリーフ親衛隊の兵士A,B ,C ,D の四人のみ、それ以外は武装からして魔道士、または弓使いだろう。
まずは、後ろの遠距離攻撃型のやつらの攻撃に注意しながら兵士A ,B ,C ,D をほふる。
さすがと言わんばかりの立ち回りであっという間に囲まれてしまった。
これでは、うまくよけれても攻撃が当たってしまう。
どうすれば、いきなりピンチじゃないか!
だんだん我に帰ってきたが我ながらすごぶる危険なことを、いいや死ににいっていた。
だからといって、このまま簡単に殺される事は何か気にくわない。
そもそも、俺は何をしょうとしたんだ?
とにかく、今は四方をフルプレ装備の兵士A ,B ,C ,D を倒さなければ‥‥。
そうだ。せっかくの異世界のようだし魔法とやらを使ってみよう。
「えーっと、まぁ、とにかくこいつらが無力化すればいいか。えー、そいや?」
最後の情けない掛け声と共に地面と平行にした手のひらを左から右へ水平に振った。
俺の手から流れ出すかのように青白い炎が発生し兵士A ,B ,C ,D を凪ぎ払い防具を小手のみにまで溶かした。
「なんだよ‥‥‥‥今の、聞いてねぇよ。無言発現できるなんて‥‥‥‥聞いてねぇよ!」
取り乱した兵士Aが恐怖に顔を歪めながら叫ぶ。その目には涙さえ浮かんでいた。
そんなことをよそに俺は何も手についていないのに手が暖かいことに疑問を感じていた。
しかし、そんなことを考えさせてくれるほどあちらも甘くないらしい。
ついに、魔道士と弓使いが攻撃を開始。
俺の上に空を埋めつくし黒くするほどの魔法で生み出し発射した矢と弓使いの射った矢の雨が放物線を書きながら俺に降り注いでくる。
「大体、こういう攻撃は前に出れば回避可能!」
持論を盛大に発表したところで、一番防具の溶けている兵士D に止めを指すべく突撃、俺の足の早さでは間に合わず少し矢の雨を潜らなければならなかったがどうにか剣で弾き、腰を抜かした兵士D の胸部にひとさし、帰り痔を浴びる間もなく残りのA ,B ,C も一撃で仕留める。
さすがにロキの加護があるとはいえ運動音痴にはかなりきつい。
「ここは早めに方つけないと‥‥‥‥矢で蜂の巣になっちゃう。」
次の矢の雨に備えるべく前を向こうとしたときにはもう遅かった。相手の方が一枚上手だったようだ。
俺の体になにやら太く重い何かが降ってきた。
縄だ。
しかもご丁寧に所々ワイヤーのようないかにも固そうでちぎれなさそうな編まれた鉄が編み込まれていた。
さらに、太さは小学校の運動会で自治会や保護者が出場する綱引きで使われるくらいむしろ太くないか?
俺は剣を壊すかもしれない覚悟で剣をクロスさせハサミの要領で思いっきり挟む。
サクッサクッカギッギリリリリリズバッ。
と多彩な音をたてて縄は、切れたが剣は刃こぼれし使い物にはならなくなってしまった。
覚悟はした、たった1日ちょっと装備しただけとはいえ、こんなに喪失感が強いなんて思いもしなかった。
ごめん、次代は長く付き合えるように努力する。と今は亡き愛刀に語りかける。
起き上がるとオリーフの小馬鹿にした声が空気を伝ってきた。
「おいおい、刀壊れちゃったなぁ?それじゃ戦えないんじゃなぁい?」
そんな言葉に耳などを貸さずに馬車の中で見つけた黒い剣を背中から抜き放つ。
オリーフが少しばかり驚愕の顔を見せた。
「ヘー。なかなか鼻が聞くんだなぁ。その刀はかなりの業物だぜ?駆け出しのお前に扱えんのかな?」
頭に来た。
なんとしてでもこいつに一泡ふかせてやりたい。
手が暖かい。
再び訪れた手のひらの暖かさにつられ手を見た。
そこには、見慣れない、むしろ俺の物ではないのかもしれない手があった。
形は俺のそれではある。
しかし、その手を青白い炎が包んでいる。
どうやらアビリティー《魔神の焔》‥‥‥‥だろう。
残りの残党はこの炎で‥‥‥‥‥‥。
バシュ‥‥‥‥。
突然、左の視界がなくなる。
とっさにバランスを取るべく右足立ちになる。
しばらくして、バランス感覚と左の視界が復活する。
復活したての左の視界を使い、オリーフらの方を見る。なにがおこったのか?何があったのかわからないというような顔をしている。
どうしたんだ?なにがおこったのか。なにがおこったのか聞きたいのは俺なんだが‥‥‥‥。
数秒後、オリーフの弓使い約196名が青ざめる。
オリーフはなにやら理解したようにたくらむような顔をしている。
とりあえず、弓使いどもを逃がすわけにはいかない。
覚えたての範囲魔法でも使ってみるか。
「《焰式五番魔術 牢》展開!」
俺の三歩後ろから真っ赤な炎が上がりオリーフの部隊を、俺をいれて丸く囲んだ。
アビリティー《魔神の焔》を発動。
部隊の統率がとれていない今を容赦なく叩くべく手のひらに焔をまとわせながら部隊に突っ込む。
数秒後、俺のもくろみはあっという間に砕かれた。
腹部に衝撃が走る。
買いたての金属製の防具が紙細工のごとく粉砕する。
そのまま、俺は衝撃に突き動かされるように炎の壁を通り越し、二回ほど転がったところでやっと動きが止まった。
炎の壁を通ったのに何一つやけどがない。
もしかしたら、炎耐Lv. 5のおかげか?
そもそも、自分の術でダメージを負うことはないのかもしれない。
とにかく、戦場に戻るべく俺は炎の壁。《焰式五番魔術 牢》に飛び込む。
やはり、ダメージを受けることはなかった。
炎の壁の奥には、オリーフと弓使いどもの綺麗な陣形が待ち受けていた。
オリーフを中心に広がる陣形の弓使いどもの前に、前の世界ではよく見たような‥‥‥‥こっちでは初めて御目にかかる物、大砲である。
「どうだ?この恐ろしき魔砲の数を‥‥‥‥。これを魔法技術者が装填するのに一発60秒弱しかし十人に一台にすれば、数は減るが十秒間の装填で発射が可能となる。」
得意気に胸を張りながらそういうオリーフに嫌気がさした。
だいたい、装填で60秒かかるから人員を増やして6秒に短縮?しかもそれで連続発射だと?バカなのか?だったら、60秒の装填時間が弱点なら一人一台にすれば、最後の一台が打ち終わるまでに最初の一台が装填し終わるから絶え間ない砲撃ができる。なのに、わざわざ台数を減らして時間短縮したのはたんなるコストオーバーと見た。
炎の壁が迫ってきている。
どうやら時間が経つにつれ、範囲が狭くなるらしい。
そろそろ書きだめが無くなりそうなので執筆始めよかなー。
知ってました?自分。2日寝てないんですよ!