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少女漫画が私にもたらした弊害   2回目、3回目のデートが大きな壁でした

作者: 恵美乃海

少女漫画により、かなり特異な恋愛観、結婚観を持ってしまいました。もったいなかったなあ、と思います。

03.09記 


幼い日に描いていた理想と、その後の現実



 姉がいたせいで、幼少時代から、少年漫画だけでなく、少女漫画も読んでいた。


 少年漫画同様に、面白かった。単行本も結構読んでいる。一時期、数年間「りぼん」と「別冊マーガレット」を毎月、定期的に購読していた時期もある。


 さて、ここでは、そのことが、私にもたらすことになった弊害について書く。


 少女漫画の影響により(と、自分では分析している)、私は、今の青少年からみたら、ずいぶんと特異な恋愛感、結婚感をもつようになってしまった。


 少年時代の私が夢に描いた恋愛、結婚は

「少年時代のうちに、どんなに遅くとも高校時代までに、一生をともにする人とめぐり合い、そして18歳で結婚する。僕は生涯、その人だけを愛し、相手も、生涯、僕だけを愛してくれる」

あらためて書いてみると、照れる。ところが私は、厚顔にも、このことをモチーフにした小説まで書いているのだ。そのとき、既に中年であったにもかかわらず、だ。

(このサイトにも投稿済の「緊褌巻」という小説です)


 さて、実際の人生ではどういう経過をたどっただろうか。

小学生時代、中学生時代、私にとっては、そのような相手にめぐり合った、と思ったが、当の相手にとってはそうではなかった。


 高校時代、1回だけ、デートの約束を取り付けることに成功したことがあったが、その日がくる前にキャンセルの連絡がきた。


 というわけで、私はタイムリミットであったはずの高校時代までに、デートというものも経験することはできなかった。


 デートの定義を、事前に約束をした上で、男女が2人だけで会い、一定の時間をともに過ごすこと、とするなら、18歳以降、私は8人の女性とデートしたことがある。

 むろん、多くはない。しかし、平均的に言えば、特に

少ないわけでもないのでは、と思っている。

 

 が、私の場合、その中で、1回のみだった人が5人。2回会ってくれた人が2人。


 8人目の人との3回目のデートの時、私は彼女に

「僕と3回会ってくれたのはあなたが初めてです」

と言った。


その時、私は22歳11ヶ月。

その彼女というのは、今の家内である。


 それまで、女の子に振られ続けていたわけだが、その時点で私は

「俺の性格からいって、俺は最初に付き合った女性と結婚するだろう」

と予想していたが、その予想は当たった。


 なぜ、そう予想していたか。

 女の子と付き合う、ということは、私が好きになった女の子の中で、私に対して

「付き合ってもいいかな」

というレベルの好意を私に持ってくれた女の子が現れたということになる。

そういう女の子が現れたら、私はその女の子のことをとても大切に思い、自分の方から「別れたい」と思うことはないだろう、と想像できたこと。

そして、付き合いだしたら、その女の子も、私のことがだんだん好きになってくれて、「結婚してもいいな」と思ってもらえるようになるのではないか。

そういう自分に対する静かな自信はあったのだ。


結婚してから、家内に、こういうことを話し、あなたに会う前に好きになった女の子の中で、誰かひとりでも僕のことが好きになってくれた人がいたら、僕はその人と結婚したと思う。と言ったことがある。

それに対して家内は

「じゃあ、その人たちに、よくぞ振ってくれました。よくぞこの人を残しておいてくれました、と感謝しなきゃ」

と言ってくれた。


家内には、二人で会うようになってから二ヶ月足らず。私のことを一番大切に思ってくれているのだ、と確信できる言葉を別れ際に言ってもらった、その直後に、会社での酒席からの電話でプロポーズした。

「結婚しましょうよ」

「いいよ」

即答でOK してくれた。

家内のこういうところは、とても気に入っている。


 さて、

 なぜ、私は振られ続けたのか、しかも、1~2回、会ってもらっただけで。

その理由は、今となれば思い当たる。


 すなわち、タイムリミットは過ぎたとはいえ、私の中には、まだ少女漫画が私にもたらした恋愛感、結婚感が根強く残っていたからだと思う。

 

 8人のうち、(家内を含めて)5人については、最初のデートの時点で、私はその人と結婚したい、と思っていた。

 だから、デートの間は、緊張の頂点にあり、終わったときは、「いやあ、一仕事終わった」

などという思いも心の中にあったように思う。


 相手の女性にとって、最初のデートから、このようなパワーがこもってしまっている相手が、一緒にいて愉しいはずがない。しかも、変に受けたがりで、時々、訳の分からないことを口走ったりするのだ。


 さて、8人の中で、3人については、デートの際に恋愛感情をもっていたわけではない、ということになる。


 今、思えばそれぞれ、とても魅力的な女性だったと思う。

今、そちらのデートを振り返ってみると、会っているあいだ、こころ愉しかった、という記憶がある。

会っているさなかに、


「ふーん、それほどどきどきしないで、女の子と会うというのは愉しいもんだな」

と思ったことも覚えている。

 

 また、女の子と2人でいるのに、こころにある程度の余裕をもっている自分というものを自覚して

「おっ、なかなかいいぞ」

などとも思っていた。


 今の家内は自分にとても合った女性で、結婚して20年。後悔したことはない。

 自分にとって、最もふさわしい女性と結婚することができた、と思っている。


 唯一、ちょっぴり残念なのは、家内にめぐり合う以前に、別の恋愛もしてみたかったな、ということだ。


 そして、少女漫画によって培われた(と、自分では思ってい

る)恋愛感、結婚感を、私が持っていなければ、もしかしてそれも可能だったかもしれない、なんて思う。

時々。


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