狂死曲
あー、きっと厄介なことに巻き込まれちゃうー。
「どういうこと? お姉さん」
逃げ込んできて、半放置してしまっていた女の人に話を聞いてみる。
「この国は、もうだめです」
「治安くっそ悪そうに見えるがそれが原因?」
「その通りですね」
少し落ち着いたようだ。
普通の会話ができるくらいには。
「レイガ様、どういうことです?」
「べスティアレスと同じだ。 反逆で国が堕ちた」
「なぜここに俺たちにを呼んだのですか?」
ヴィヴが少し興味ありげに質問する。
「少しべスティアレスを空けてもらいたくてな」
「なぜ?」
アストルは不満げだ。
「俺たちのいないべスティアレスがどうなるのかを見たい。 どこかが余計なことすりゃ潰せばいいだろ?」
「いやー、しかしレイガ様がべスティアレスを空けるなんていつぶりですか?」
珍しいことだったから気になり聞いてみる。
「アリアを追った時ぶりになるか。」
アリア、ね。
嫌な名前だ、本当に。
聞いただけでイラッとくる。
まあ、今は関係ない。
「あんた、そこにボートあったから逃げな」
ヴィヴが指をさしながら言う。
「あ、ありがとうございました」
「気にしないで」
優しい声色で言った。
「とりあえず移動しませんか? 臭くて」
レイガ様に言ってみた。
「俺の城に来る?」
「是非」
レイガ様の後ろをゆっくりと歩き始める。
少し歩くと街の外れに出た。
べスティアレス並に酷い。
バラバラになった車らしきものが落ちてあり、その横には死体。
カビが生えてない家がない。
電柱は八割折れており、ガードレールは役割を果たしてないくらいボロボロだ。
近くの山を見渡せばあちこち黒い。
山火事かなにかの跡だろう。
川も濁りきっていて、単に汚い国という表現が一番合う。
かなり歩いたところでレイガ様が口を開いた。
「ここが中心街だ。 で、あれが俺の城」
中心街にはおっきいドームがあった。
その横を指さしている。
一際目立つ城。
綺麗にされた城だった。
「コーヒーでも出すよ。 少しゆっくりしていけ。 アールクラークの話もまだだしな」
「ありがとうございます」
ドームから銃声のような音が聞こえてきた。
聞かぬふりをして、城へ向かった。
はぁ、厄介なことに巻き込まれたね。
クッキー買っていこうかと思ったけど、
スーパー全部潰れてんじゃんよ!
はーあー、コーヒー苦いの苦手なのにぃ。