ヘルズゲート
カラーキャリブレーションとやらはマテリアに潰されたとの噂を受けた。
アホだなぁ。
信じちゃって。
もっと言うとマテリアは四強の中で唯一Quintetの傘下に入っているユニットなのだー。
これは勝ち卍。
すぐにマテリアのリーダーから連絡があり、
「Quintetの傘下とか言ってるチームいるんですけどどうします?」
「あ、潰してー」
「まぁた面倒ごとおしつけてー! そろそろ怒りますよー?」
「めーんご」
その後とてつもない銃声とうめき声が聞こえてきた。
「サンキューね」
「次は怒りますからね」
「わーったわーった」
電話を切り、自家用ジェットに乗り込む。
レイガ様の元へ向かうためだ。
「乗った?」
アストルが後ろを向きながら聞いてきた。
「行こう」
「りょーかいした」
バタバタと音を鳴らし空を飛ぶ。
実はべスティアレスを出るのは初めてだ。
ちょっとだけ旅行気分だが、心は穏やかではない。
レイガ様が俺たちを呼ぶということは何かしらトラブルがあったということ。
どーしたもんか。
向かう国はリベアルという国。
聞いたことないなぁ。
時間を潰しながら、待っていると三時間程度で着いた。
「うおっ、結構酷いなぁ」
アストルが鼻をふさぎながら言う。
「血の匂いがすげぇ」
言葉を返したが、正直そんな余裕もないくらいに臭い。
人間の腐った匂いがする。
浜辺におりたのはいいものの、草むらの近くは鼻をつまみながらでないととてもじゃないが歩けない。
「治安クソわりぃのか? ここ」
ヴィヴがイライラした声で言う。
ちょこっと草むらをかき分けて奥の方を見てみると、内蔵と脳みそが飛び散っている死体を見つけた。
近づき少し調べてみた。
かなーり古いものだ。
軽く数週間は経っている。
「火葬の文化がねぇか、単に殺されたか、恐らく後者だな」
アイゼルも分析しながら本質を見抜く。
レイガ様が呼ぶわけだ。
「まあーこの死体見る限り、殺人鬼かなんかだろ」
おおよそ当たっているだろう回答をヴィヴが出した。
その時、草むらを走る音が聞こえてきた。
しかも近づいてきている。
悲鳴とともに。
全員が銃を構える。
大きな草をかき分け、女が一人目の前に倒れ込んだ。
「ひっ! ゆ、許してください」
銃を下ろし言った。
「安心しな、あんたの事は殺しゃしないよ」
「向こうからアールクラークが!」
「アールクラーク?」
グダっていると、アールクラークらしき人間が現れた。
手には鎌のようなものを持っている。
「動くな」
銃を構え直し、脅しをかける。
意味が無いことくらいはわかっている。
鎌を振り上げ、襲いかかってきた。
「撃て!」
俺の声とともにメンバー全員で蜂の巣にした。
うめき声を上げながらアールクラークとやらは倒れ、この世を去った。
「お見事ー!」
後ろから、聞いたことのある声が聞こえる。
レイガ様だ。
「久しぶりだな、Quintetの諸君。 ようこそ、地獄の国へ」
平穏な日々としばしのお別れだ。
あーあ、もう少しゆっくり出来ると思ったのにー。
殺人祭りのはじまりはじまりーってね。
ま、楽しいからいっか。