調 〜しらべ〜
詳しく調べてみると、本当につい最近出来たユニットだった。
まだ二週間程度。
出来たてを潰すに越したことはないのだが、アジトを見つけるのが面倒なのだ。
しかしアイリス様に頂いたメモがあった。
頂いたと言うよりはいつの間にかポケットに入ってた。
相変わらず隙のない人だ。
手の甲にCCという入れ墨があるそうだ。
恐らくColorcalibrationの頭文字二つを取ったのだろう。
短絡的だ。
さておき、アストルに尾行を頼んでいるが連絡が無い。
殺られたなんてことはありえないが心配ではある。
そんなことを考えていると電話が鳴った。
「もしもし」
「久しぶりだな。 レミー」
「レイガ様!」
我が師匠、レイガ・アリアナフォード様だ。
「どうなされたのですか?」
「今バカンスでとある国に来てるんだ。 よかったらお前達もこい。 その新ユニットととやらを潰したらな」
「どこでそんな情報仕入れたんです?」
「アイリスだ。 相変わらずおしゃべりだな、あいつは」
「わかりました。 終わり次第向かいます」
「じゃあ、くれぐれも気をつけろよ。 まだお前は死ぬには惜しい」
「わかっています」
電話を切るとメンバーの視線が俺に集まる。
大声でレイガ様なんて言ってしまったからかな?
レイガ様はQuintetの初代リーダーなのだ。
そして今はグランドマスター。
特になにかする訳では無いがその強さからQuintetメンバーから絶対的な信頼を得ている。
Quintetを世界最悪のユニットにしたのは間違いなくレイガ様とレイガ様の相棒のおかげと言えるだろう。
その功績は世界中に広まり、懸賞金がえげつないことになっている。
と、まあここまでレイガ様の凄さをものすごくわかりやすく説明してみたが、今は意味が無い。
「レイガ様がバカンス行ってんだってさ。 終わったら来いよーって」
「楽しそー」
ヴィヴが言うが顔が全く笑ってない。
レイガ様が呼んだ、これが何を意味するのかをわかっているのだろう。
そうこうしてる内にまた電話がなる。
「はい」
「アストルだ。 掴んだぞアジト」
「よくやった。 GPS辿っていくから待ってな」
「了解」
電話を切り、俺たちのアジトにいるメンバーに向き直る。
「アジトの場所が割れた。 行くぞ」
「了解」
煙草に火をつけアジトを出る準備を整える。
武器、防具、他もろもろ。
「久しぶりに、楽しめそうだな」
嬉しそうにヴィヴが言った。
「死ぬなよ」
冗談半分で言ってみた。
もちろん死ぬなんて思ってもない。
「笑わせんな」
ヴィヴが笑いながら返す。
ニヤリと嫌な笑顔を浮かべ、アジトを出た。
鬼ごっこは、大人になっても楽しいもんだ。
逃げもしねぇバカを相手にするとしても。