序曲
廃れた街のとあるバー。
短髪を金に染めカラーコンタクト、ピアス、ブレスレットとジャラジャラと付けている俺、レミー・アリアナフォードは、いつものバー、ディセイブへと足を運ぶ。
腐ったような色の木製の扉を開けると、女マスターが迎えてくれた。
「いらっしゃいませ」
「来てます?」
「ええ、お二階に」
仲間は既に来ているようだ。
言われた通り二階へ上がり、カウンターを見ると、仲間達の姿があった。
「遅かったな」
黒髪をすこーし伸ばしている相棒、ヴィヴ・ネフィティアが偉そうに言う。
ちなみにまあまあにイケメンだ。
「リーダー遅れちゃだーめ」
メガネハンサムとでも言おうか。
もう少し酔っている、アストル・オーラマイスティも俺の遅刻にグダグダと抜かしやがる。
「忙しんしょ」
ちょいチャラな普通顔のエストラナ・ライグラは適当にあしらう。
「で、どうなったの?」
仕事に真面目なラサナータ・ロズグランセは仕事のことを聞いてきた。
「レミーがしくじると思う?」
俺にとてつもない信用を置いてくれている、アイゼル・ジェイアーツは仕事の成功を信じて疑わない。
「上手くいったさ」
視線が集まる。
さすがリーダーといった雰囲気やめて。
「さて、今日呼び出したのは、他でもない」
話していると、いつものやつが来た。
いや、単にお酒なんだけどね。
「その前に乾杯だね」
ヴィヴが言った言葉に同調し乾杯して、酒を喉に突っ込む。
「本題だ。 ここ数週間で、俺たちに来た依頼の倍近く死人が出ている。 分かるよな?」
「新しい殺し屋さんユニットたんじょーってわけね」
酔い覚ましてこいよと言いたい気分を抑え、答える。
「簡単に言えばな。 このままにしておくわけにもいかねぇ。 潰すぞ」
「熱心ね」
後ろに女マスターが立っていた。
「うおっ! アイリス様、いつからそこに?」
「殺し屋さんユニット誕生、当たりから」
この方は俺達が属するユニット、
Quintetの先代のリーダー。
ちなみにQuintetは今四代目。
Quintetにはリーダーの上にマスターというのが存在する。
この方はそのマスター。
リーダーでも判断しかねる状況の場合、マスターの指示を最優先とする。
簡単に言えば神様的存在だ。
「その新ユニット、colorcalibrationっ言うみたいよ」
カラーキャリブレーション、聞いたこともないユニットだ。
「て言うかなんで知ってるんですか?」
聞いてみた。
「調べたに決まってるでしょー? 優しい優しいあたしがぁ」
ありがたい話だ。
「出来てまだ数週間しか経ってないみたいよ」
「まだ新顔ですか、厄介ですね。 アジトを探すとこからかー。 めんど」
「まあ、あんた達なら大丈夫よ」
「よーし、アイリス様も言ってくださってる事だし、行くか! 」
「オッケー、リーダー」
酒を飲み干し、ディセイブを出た。
煙草に火をつけメンバーに言った。
「とりあえずアジトに戻るぞ」
「了解」
さあ、殺そうか。