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はじまる?
やあ、みんな!
おはようこんにちはこんばんは!
えっ?誰かって?
俺だよ俺!ハンバーグだよ!
じゃないよ、影山 晴天也だよ!
かげやま はれるや!
これは、叫んだり踊ったり抱きついたりしないと存在に気づかれないくらい影の薄い俺の物語
あぁ、影が薄くなければあんなこともなかったしこんな小説の冒頭みたいな謳い文句を言うこともなかったなぁ…
じゃあこんなところで、俺は去るとしようかな!みんな精々楽しんでくれよな!
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……パタン
なにこれ…
酷いなんてもんじゃない、小説の入りとしては最悪じゃない?語り手の自己主張が激しすぎると思う。
普通はもっと大人しく、読者に優しいテンションで書くはずじゃないかな…… そう少女は考える。
「はぁ…」
笑顔で少女の様子を見てくる男の方を向くと男は食い気味に話しかけてきた。
「どうだった!?」
「まったくなってない。一言一句も同じ言葉を使わずに最初から書き直した方がいいと思う。」
「そんなぁ…」
男は椅子に座り項垂れる。少女はそんな男を見つめながら、自分もよく知っているだろうその内容に思いを馳せる…