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紫音の少女  作者: 柊 潤一
宿命
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調印式

 エルフォード国王とレオン王子がやってきたその後の数日間で、残りの三ヶ国が祝いを述べにやってきた。


 彼らはこの町の物の豊富さと人々の活気にあふれた様子をみて感心はしていたが、ゼルダに何らかの条約を結ぶ申し出はしなかった。


 国王になったばかりのゼルダの人物を図りかねていたし、噂に聞いていた紫音に見つめられ、一瞬凍りつく思いはしたが薄気味悪いと思っただけだった。


 慌ただしい日々が終わり、ハシバはモハドを連れてタノールに移っていった。


 ゼルダは慣れない国王としての雑務をこなし、紫音は診察のある時以外はゼルダの秘書の役目をしていた。


 シュリ婆はエリカの元へ戻り、そこから診療所へ通う事にした。


 紫音に、何度も一緒に暮らそうと言われたが、城住まいは堅苦しくて嫌だと言っていた。


 そして国王就任の日から二週間後が平和条約締結の日と決まった。


 その前日、ゼルダと紫音は最後の打ち合わせをしていた。


「紫音、ちょっといいかな?」


「なに?」


「調印式が始まる時にな、ちょっとしたセレモニーを頼めないか?」


「あら、何をするの?」


 それから二人は、その事について話しあった。


 次の日、城の来賓の間には、ゼルダ王子と紫音、アーネル国王、カガリ国王、エルフォード国王の五人と、それぞれの部下三人ずつが集まっていた。


 最初にゼルダが調印式の挨拶を述べた。


「それではこれよりイシュタル国と、ノルディ国、ゴダード国、ファルアーク国それぞれの国との平和条約の調印式を行います。進行はこのゼルダが行いますがよろしいですな」


 異議なしという声が全員から上がった。


「では、見届け人を呼びます」


 ゼルダの言葉と同時に部屋が揺れた。


 揺れが収まったあと、テーブルの四隅には鎧に身を包み、マントを羽織った大きな軍神がいた。


「我等は、この大陸を守る者である。今日はゼルダ王の要請により、調印式の見届けに参った。今日この時より、汝らはこの大陸の恒久的な平和を築くためにゼルダ王と共に精進せよ。もし約定に違える時は、我等が天罰を下すと思え。よいな。」


 肝を震わすような声だった。


 ゼルダと紫音以外は、みなすくみ上がっていた。


「ではこれより調印式を始めます」


 軍神が見守る中、調印式は進んでいった。


 ゼルダが条約を読み上げたあと、書類に各々が署名しゼルダの元には三通、それぞれの国王に一通の条約書が渡された。


 最後にゼルダが挨拶をした。


「以上で滞りなく締結が終わりました。これよりは四カ国力を合わせてこの大陸の平和のために邁進していきたい。それは何のためか。ひとえにこの大陸に住む人々の幸せのためであります。人々が幸せでなければ我ら国王の幸せもない。そのためにお互い助け合っていこうではありませんか。もし困ったことがあれば何なりと相談してください」


 調印式はつつがなく終わり、軍神は消えた。


 そしてその夜、晩餐の宴が催され、翌日朝、それぞれの国王は帰途についた。


「紫音、ご苦労様だったな。」


「あれくらいはたやすい事よ。でもゼルダ、あなた最近貫禄が出てきたわね」


「ん?そうかい?俺は俺だぜ」


「まぁ・・・その言い方。ゾロにそっくりだわ」


「なに言ってんだよ。俺はゾロだぜ」


「え?」


 ゼルダは大きく笑った。


「すまんすまん。ちょっとからかったんだよ。俺はゼルダだよ。」

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