スライムが来日したから空港で警備をやらされた!
スライムが来日した。
例の、ありふれた、あの青いスライムである。
空港は大騒ぎだ。
僕は警備にあたっていた。
前へ前へ押してくる人波を必死に押し戻していた。
「・・なんでスライムごときに」
僕は最近まで転生していた。
中世ヨーロッパ風の、スライムやゴーレムがウロウロしている、あの世界である。
向こうの世界ではスライムは「弱さの象徴」だった。
呑んだくれヨボヨボのおっさんでもスライムには勝てた(実際は1勝1敗)。
だからこそ僕が現世に戻ったとき、あまりのスライム人気に驚いたのだ。
特に女子の間では人気は根強く「スラ女子」といい、大フィーバーだった。
僕は現世に戻ると警備の仕事をはじめた。
そして今日、空港でスライム来日に対する警備である。
転生先で植えつけられた僕のプライドが邪魔をしている。
「なんでスライムなんかに...」
スライムがきた!
きゃー!
ぎゃー!
スラ様ー!!!
ものすごい人波が僕の両手のひらを押しつぶす!
これは・・耐えられない..!
「どきなさいよ!このタコ!」
「スラ様がみえないじゃないの!」
「いいじゃない!私一人くらい!通してよくそったれ!」
スラ女子たちの罵声が僕を貫く。
我慢しよう・・
これは仕事だ・・
帰ったら美味いビールを飲むんだ・・
・・・
ん?
はっ!!
僕は目を疑った。
なぜならスラ女子のなかに、僕の片思いの女性がいたからだ!
彼女の目が・・ハートマークに...そんな・・・・
う・・う・・う・・
うわあああーーーーーーー!!!!
僕は思いきり振り返った。
防波堤を失った人波はなだれた。
「スライムー!」
僕はスライムを殴りつけようと振りかぶった。
「消え去れー!」
うっ(重低音)
数秒後、
うずくまっていたのは僕だった。
この世界では僕はスライムにも負ける存在だった。
薄れゆく意識のなかで思った..
このスライムに勝ったことがある、あの呑んだくれヨボヨボのおっさん・・・
僕のなかで今すごく評価が高い・・・
完
村人にむりやり踊り子の衣装を着せられた男の子!そして魔王と戦う旅にだされる・・・
「◇◇◇踊り子の衣装を着せられて、魔王と戦うことになったんですけど!!◇◇」
も連載中です(❀╹◡╹)ノ゛
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