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6話 交戦

 掛け声とともに目が眩むような光が辺りに広がる。これだ。これが俺の体を貫通し胸に穴をあけた魔術。


 一瞬目で捉えることができた映像は、跳躍して一筋の光線を躱すレナ。その光線はあの指輪から出ていた。


 魔女は攻撃の手を緩めない。一本、また一本と光の矢ががレナに向かって伸びていく。しかしそれらは彼女をかすめることさえできない。


 一撃ごとに発生する光の影響で、観える景色がコマ撮り映画のようだった。



 ――ここしかない。


 俺は静かに決意を固めた。



 魔女とレナの戦いは、激しさを増していく。魔女は舞を舞っているかのごとく動くレナに、魔法を避けられ続けている。


 いくらあの光線魔法の速度が速いと言っても、発信源となっている人間が目標を捉えることができなければ、当てることは難しいだろう。


 一方でレナの方も攻めあぐねているように見えた。不用意に近づけばそれだけあの魔法は当たりやすくなっていく。


 俺は入り口付近の最初にこの勇者たちが現れた場所の右手にある柱の陰に召還されていた。魔女との距離は柱を挟んで約三十メートルといったところか。



「覚悟決めろよ」



 自分にそう言い聞かせ、来るときボイドに貰った巾着袋を握りしめる。土壇場になって手足が震えてくるのは昔からの悪い癖だ。


 わかっていても怖いものは怖い。再びあの痛みを味わうと思うと、吐き気がこみ上げてくる。だが……



 助けたい。



 いつの間にかただ純粋にそう思うようになっていた。


 ライラの悲しむ顔など死んでも見たくない。そう、死んでも。もしかしたら俺は重度のロリコンなのかもしれない。



 気づかれないように細心の注意を払って立ち上がり、そのまま一気に駆け出す。三十メートル。


 魔女の意識はなおもレナに向いている。二十メートル。


 巾着袋を突き出し、更に勢いをつける。十メートル。


「うおおおおっ!」


「なっ!?」


 魔女の驚いた顔がこちらに向く。次の瞬間、指輪から光の触手のような物が数本伸び、鞭さながらに俺の体を一瞬で引き裂いた。


 後ろに大きく吹き飛ばされ、置き去りにされた音が響く。


「あああああああああああああっ!」


 それまで経験したことがない激痛が走る。


 肩は裂け、左手と右足は切り離され、それぞれ別のところに散らばっていた。目を疑うほど大量の血が流れていく――。

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