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第57話 奴隷購入

 ノワール国を後にした俺は、エルフ国にもあるアキンドゥの商会を訪れた。

 ここもうちの国にあるものと同じようにでかでかと「アキンドゥ商会」という看板を掲げている。


 アキンドゥから貰った書類を見せるとトントン拍子で話は進んだ。


「かなり街の隅になってしまうのですが、そちらに。」


「それで構わない。」


 後ほど、ラインハルト名義で商会の名を利用して、商人ギルドにも登録するつもりである。


 アキンドゥ商会はある程度俺の自由に動かせる。この商会を抑えられたのは重畳だ。




 商会を後にした俺は次に、街の郊外にある。奴隷商館を訪れた。


 想像していたのとは違い、清潔感のある建物だ。


「お客様ここは初めてですか。」


 奴隷商の男がそう告げる。エリクやジルよりは年上といった雰囲気のエルフだ。


「ああ。紹介状がある。」


 俺はアキンドゥから書いてもらった紹介状を渡す。


「おお、アキンドゥ様の。」


 俺が剣を腰に下げていることから訝しむような、緊張した様子だったが、男はアキンドゥの名前を見ると少し低姿勢になった。


 アキンドゥを直接知っていることと、それなりに上等な服装をしていることから、この男はこの奴隷商館でも高い地位にあると推測する。



「こんなところではなんですからどうぞ中に。」


 建物の中に入ると、アキンドゥ商会のようにしっかりと内装が整えられた部屋に案内された。


 アキンドゥとの繋がりがあるとわかったためであろうか、剣を預かるとは言わなかったので、そのままだ。


 しかし、廊下には同じように剣を下げた用心棒であろう男がいたので一応、ステータスを見てみたが、大したことはなかった。



 座るように促され。ソファに腰を掛ける。



 ……俺がこの世界に来て初めて座ったソファよりいいものだ。



「今回はどんな奴隷をお求めで?」


 入口で応対した男がそのまま俺と商談するようだ。


 お茶を勧められて早々に話に移った。


「エルフの女だ。」


「……慰み者目的ですかな?」



 事前にアキンドゥから聞いてはいたが、この世界の奴隷のシステムはかなり人道的である。


 基本的に借金などをして生活が立ち行かなくなったときに本人の同意のもと、「奴隷」になる。


 国が亡んだりなどすれば例外だが、この世界は普通に生活をしていても盗賊などに襲われれば、社会的身分すらも「奴隷」になる。というようなディストピアではない。


 本人の意思によって、ステータスの職業欄が「奴隷」になるそうで、奴隷の輸出入では「鑑定水晶」でこれの確認が行われるため、非合法な奴隷が出回る余地はそれほどないそうだ。


 「隷属の首輪」では、思考を操ることは出来ないので、ステータス欄の「奴隷」表記を強制することは出来ない上、一般にステータスを見る魔道具は出回っていないのでステータス欄が「奴隷」になっているかを盗賊なんかが確認することは出来ない。



 マリーのように睡眠時を除いて、最低限の判断能力を失っているときはステータス欄を「奴隷」にするのに本人の同意がいらず、例外らしいので、「闇属性魔法」で精神を操ればとも思ったが、闇属性の適性を持つ者は非常に少ないらしい。


 オーク国見たような奴隷の待遇の実態はともかく、制度自体は非常によくできたシステムであると感心すら覚える。



「いや、普通働いてもらうつもりだ。」


 奴隷商の質問は少し不躾な気もするが、どうせ奴隷の購入目的は軽く話すことになるのだからあまり気にしない。


「予算はどの程度で?」


「アキンドゥの商会の紹介だから信用はしているが、特に予算は決めていないな。」


「なるほど。では、何人か良さそうなのを連れてきましょう。」


 奴隷商人は部下に命じて、エルフを呼びに行かせた。



 やってきたエルフは統一された少しボロい服装であったが、痩せすぎている、といった健康状態が悪いものはあまり見られない。


 奴隷と聞くとアレだが、普通に考えて、売る時点で商品価値をむやみに下げてもデメリットにしかならないわけで。



 連れてこられた女たちは非常に緊張している様子である。



 俺は前の世界で養った人の観察眼に加え、簡単な質問をしてみて、人物像などを見定めていった。



「これでエルフの女は全員か?」


「ええ、大方。」


「大方?」


「少々問題がありまして……。」


「というと?」


「顔に火傷跡が残っているのです。女で力もないので鉱山などに送るわけにもいかず……。」


「火傷跡?」



 ポツポツと言った感じで語った奴隷商はその奴隷に同情的な様子であった。なんでも、奴隷を買った男が乱暴に扱った後、また売りに来たのだという。



「まあ、会ってみよう。」


「ええ……。では。」


 興味本位だと感じさせる俺の言葉に少々歯切れ悪く応じた奴隷商だったが、部下に命じて件の奴隷を連れてくるよう言った。



 そして、連れて来られた奴隷と俺は対面する。


「ふむ。」


 連れてこられた女の奴隷は聞いていた通り顔に痛々しさを感じさせる火傷跡が残っていた。



 俺は先ほどの奴隷にした簡単な質問をした後、時間は掛かったがようやく奴隷との面接を終えた。



「いかがですかな?」


 奴隷を退出させた後、奴隷商は俺に尋ねる。


「そうだな……。」



 俺は名前を挙げていく。




 最終的に火傷跡のある奴隷を含む、9人を購入した後、更に時間は掛かったが、「隷属の首輪」をつけて、奴隷契約を行った。


 9人でも金貨100枚掛からずに済んだ。人の命は安い。


 火傷跡のある奴隷が売れたことと言い、俺の購入基準がわからなかったのだろう。奴隷商は最後まで首をかしげていた。



 商館から出ると日も暮れかかっていた。

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