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第28話 3号車で行こう

「ふぁ~あ、おはよう。」

「おはようございますロイ様。眠そうでいらっしゃいますね。」


 昨日城に戻った後、昼寝したから眠くなかったし特にやることもなかったから、軽く仕事した後、ユニークスキル「異世界知識」でネット小説読んでたからなぁ。

 ネット小説はよく自称読書通に叩かれることも多いが、俺は面白ければジャンル問わず読む乱読派だから問題はない。


 まあ、読むに堪えないほど稚拙な文章だとアレだが。


「今日の出発の準備は進んでいるのか?」

「はい。恙無(つつがな)く。」

「そうか。」


 そして俺はかなり広い食堂に向かいリーゼ、ルナ、ミーナの面子と朝食をとる。

 内装は売り払っていたが、建物はそのままなのでそれなりに広い作りのはずのサキュバス城より広い。


 ここに来てしばらくして、それなりに仲良くなったのでメイドの2人に俺が「一緒に食べよう」と提案した。


 2人とも最初は遠慮していたが、少し強引に頼んだのだった。


「ミーナも眠そうだな。」

「寝すぎて逆に眠いですぅ……。」


 俺に劣らずダメな子の鑑である。



 食事を終えて、準備の確認をする。海に向かうのだ。


 目的は漁業が出来ないかということである。海に縄張りを持っている魔物のせいで漁業をやってこなかったらしいが、「翻訳魔法」で話をつけるか、いっそ退けるかのどっちかでなんとかすれば漁業を行うことは可能だろう。


 そんなわけで俺も同行する。頑張って作った転移魔法の魔道具と電話のような魔道具を持っていくので旧オーク国王都で何かあったら駆けつけられるし。

 海沿いに港町を作る予定だが、オークを加えても土地に比べて人口が少なすぎる気がする。


 メイドは2、3人に、アネットらも旧サキュバス国王都に帰らせた。

 そこに加えてオークも派遣していて、これから港町を作って人が行くとなると如何せん旧オーク国も人口密度が低くなる。


 移民を受け入れる手もあるが、あまり受け入れて治安を悪化させてしまってもなぁ……。


 仕方ない。土地名を新しくつけるのもまだだし、問題は山積みだ。


 このように、今挙げた問題のほんの1部分からでもわかるが、最近、俺個人のステータスがインフレしているようなのは感じているが、国を治めるにあたっては全然不足だ。


 昨日読んだネット小説に「ダンジョン運営もの」というのがあった。

 ダンジョンに人が入ったり、死んだりするとDP(ダンジョンポイント)というのが手に入り、ダンジョンの中に町、ひいては国を作ったりするものなんかもある。


 これを読んでて思ったのだが、国を治めるにあたって、俺の能力なんかよりすぐれた能力を最初から持っていて所謂チートと呼ばれるやつが過ぎるんじゃないかと思うのである。


 DP(ダンジョンポイント)とかいうシステムがまずおかしい。


 ダンジョン内に国を作った場合、人がいることで何もしなくても安定してDPが貯まる。そして、そのDPはアイテムなどと交換できるのだが、その交換にかかるDPは一定。

 国家の産業や貿易と違い、需要供給、気候、国の情勢などに全く左右されない完全に安定した市場を最初から手に入れているのをチートと言わずに何と言えようか。


 昨日の夜「このシステム羨ましい!」とか思っていたが結局ないものねだりをしても仕方がないわけで。

 今の俺のステータスも活用して、これからの課題を1つずつ頑張ってこなすしかない。



 それに当たって、まずは漁業なのである。

 水属性魔法で氷を作るなどして、輸送の問題などはある程度解決出来そうなので、これで貿易の手札を増やそうという魂胆だ。



 俺はルナと城から出て、馬車のあるところへと向かう。

 今回、海の方に出発するメンバーは俺とルナ、それにオーク達とマリーのようにまだオークから何もされていなかった奴隷を何人か連れて行く。


 奴隷は国に帰っても当てがないものばかりなので、「隷属の首輪」を外してやり、特に問題なく国民に加わった。

 しかし、未だ壊れてしまっていて、対応できていない奴隷が大多数なわけだが。


「おう、お前さんが国王なのか。俺は国王なんて初めて見るが案外普通なんだな。」


 荷馬車に着くとオークが馬車に荷物を詰めていた。


「ああ、ロイっていうんだ。こっちはメイドのルナ。」

「俺はエナリオスだ。よろしくな。」


 エナリオスと握手をする。

 確かポセイドンがゼウス・エナリオスと呼ばれていたな。今回にぴったりのネーミングだが何故オークの名前は軒並みカッコいいんだ……。


「奴隷だった女の子たちは?」

「もう馬車に乗っていますよ。」

「そうか。なら後ででいいか。」


 改めて軽く顔合わせぐらいはしておきたかったが、後回しにしよう。


「では、ロイ様の乗られる車両は3号車になります。」


 ルナに案内されて、前から3番目の馬車に乗り込む。重要人物は安全なところに乗せるらしい。

 俺は特に守られる側って感じでもないが、一応王だし。


 馬車に乗り込んでほどなくして、馬車は出発した。

 馬車は思っていたより振動が凄い。ゴムタイヤではないのか。今度作ってみよう。


「そういえば、馬車なんて俺初めて乗るわ。」

「そうなのですか?私は幼いころに1度だけ。」

「俺は乗り物で酔わないタイプだからたぶん大丈夫だけどルナは??」

「はい。私も大丈夫だと思います。[飛行]で慣れてますし。」

「それもそうか。」


 窓の外を見やると草原とそれに連なる山々の素晴らしい景色が広がっている。


「綺麗だな。」

「ええっ!?」

「景色が。」


 隣に座っているルナが赤くなってこっちを見た後、微妙な顔をした。


「私には見慣れた景色ですが。」


 ああ。この世界にはコンクリートジャングルなんて広がっているところは少ないのだろうな。


「馬車から見ると趣がある。隣に美人がいると尚更だ。」

「……そうですか。」


 ルナが俯いてしまった。何か怒らせるようなことをしたかな?


「あールナが美人っていうのは本気でそう思ってるぞ。」

「…………そうですか。」


 ん?違った??


「もしかして馬車酔った?」

「酔ってません!!!」


 ルナとそんな感じの会話をしながら、馬車は進んでいく。

軽く鈍感な主人公のほうがヒロインの魅力を引き出せるからしゃーない。


9/30 読点をつけたつもりのところに句点がついていたので修正

今後このような細かい修正はあとがきに表記するの辞めます。めんd

煩わしいので。

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