第24話 終戦と
「……我が国は無条件降伏する。」
オーク国の王の間で俺はオーク王に剣を突き付けながらその言葉を聞いた。
全オーク兵のステータスを奪った俺はミーナと合流。待機地点を伝えた後、単身王都に、乗り込んだ。
その後、王に会いに行き無条件降伏させた。
剣を突き付けて、この王都を一瞬で火の海にする魔法をこちらは使うことが出来ること。本隊はそれで全滅させこと。伏兵も潰したこと。を伝え、降伏しろと言ったところあっさり降伏した。
話が早くて助かる。伏兵を見破っていたことと単身でこちらに乗り込んできたことが信憑性を増したようだ。
せっかく苦労して爆弾を作ったのだから、デモンストレーション的に軽く町を吹っ飛ばして見せたかったのに残念だ。いや、街を作り直すのも大変だからよかったんだけど。
俺は王に「隷属の首輪」をつけ、貴族たちや軍部の連中にも首輪をつけてやった。
迅速に行動をした上、ミーナ達で監視させているため取り逃がしたりするやつはいなかった。
ステータス任せで追いかければ俺から逃げれるわけないんだけどね。
「この後どうするつもりだ。」
オーク王が話しかけてくる。ちょうど俺も話がしたいところだった。
「お前達貴族と軍の連中は処刑。農民とは共存を目指す。」
「俺たちを処刑する理由は?奴隷として輸出するとか色々方法はあるだろ。」
「兵士は王子も含め全員既に殺している。お前たちを奴隷輸出してもいいがそれだと懸念事項が残る。」
「……俺たちが利益を約束して他の国と手を組んで攻め入ることか?」
「頭の回転が速いな。まあ他にも理由はあるがな。」
「農民とは共存などというそんな理想論が可能だとでも??農民はサキュバスなどの性奴とは関わりがなかったとはいえ、俺たちと同じ種族だぞ。」
「可能だとも。やってやるさ。理想ばかり追う子どもではないからお前たちは処刑するんだ。しかし、理想はある。」
「そうか…………。」
オーク王の聞きたいことは終わったらしい。
「俺からも聞きたいんだがいいか?」
「……なんだ。」
「何故全力でうちの国に兵を向けた? 魔王である俺がいることは知らなかったそうじゃないか。軍部がそんな判断をするのか?」
「俺の判断だよ。退位をかけて兵を出させた。」
「何故そう判断したんだ?」
「勘だよ。前にも似た感覚に襲われて失敗した経験があってな。」
「なるほど。」
俺も直感をそれなりに考慮するタイプだからわからんでもないな。
拘束したオークらを牢に突っ込んだ後、奴隷になっていたものを見て回る。
酷いものだった。もはや言葉を喋ることが出来ないもの、ただひたすらに「ごめんなさい。」と繰り返すもの。いろんな奴がいた。
問題なければ奴隷から解放して国民にしようと思っていたが楽観思考が過ぎたかもな。
カウンセリングを地道に続けるか。もしくは魔法でなんとか出来るのか。
うちの国はまだ課題も多い。まともにカウンセリングすることが出来るかはわからない。
そして奴隷を見ていると1人興味深いやつを見つけた。
「お願い!!ここから出して!!!」
そこには牢に入れられた幼い女の子がいた。その女の子は他の奴と同じく薄汚れていて、奴隷であることがわかる。
俺はその子を「鑑定」する。
ステータス
名前:マリー
種族:人間
職業:奴隷
Lv:1(経験値0/10)
年齢:7
HP:28/80
MP:85/85
筋力:15
耐久:16
素早さ:15
称号:なし
魔法:なし
スキル:スキル「水属性魔法適正」「無属性魔法適正」
耐性:なし
状態:「衰弱」
なるほど。マリーという「人間」か。
さっきも何人か人間の奴隷は見たが、そういえばこの世界で人間を見たのはここに来たときが初めてだな。
「ここから出てお前は何がしたい?」
「パパとママを殺したやつは私が殺してやるのよ!!!」
どうやら復讐がしたいらしい。
「復讐か。俺は復讐なんて無駄だとかいうつもりはないぞ。結構な理由じゃないか。」
「じゃあ!!」
「だが、復讐とは自己満足なものだ。そうだろう?」
「…………そんなことない!!私はパパとママの無念を晴らすための!!!」
思わず笑ってしまう。
「何がおかしいの!!!」
「いや、お前は賢い。今の間が証拠だ。気に入った。」
復讐は無駄だという人は大勢いるが俺はそうは思わない。
自論だが、復讐なんて自分が気が済むためにするものだ。そこに「死んだ人のため」なんていう綺麗ごとを並べるべきではない。
前に読んだ物語にこういうものがあった。
「死んだ恋人を生き返らせるために人類の半分を殺す悪役とそれを倒す主人公」である。
主人公は「恋人が生き返ってもその恋人は喜ばない!!」とか「人類の半分を殺すなんて!!」とか言っていたが現実に当てはめると、それは的外れもいいところだろう。
この悪役が現実に存在したならば「生き返って恋人が喜ぶかなんて些細なこと」と考え、悪役にとって「人類の半分と恋人の価値」はつりあっていない。恋人の価値のほうが高い。そう思っているからこそ、これを実行したに決まっている。
考えればわかる。「恵まれない国の子供を100人救うのであなたの家族1人に死んでもらいます。」という提案をされても多くの人は受け入れないだろう。
個人によって人の価値なんてさまざまなのだ。
俺はもしもあの物語が現実だったとするなら、主人公は「死ぬ人類の半分に大切な人が含まれているからやめろ。」という単純な理屈で動くに違いない。
復讐だって同じことだろう。自分の中で区切りをつけて前に進むこと。それはそいつの中で復讐対象の命や復讐に掛かる労力なんかよりずっと重いのだ。
したがって、少なくとも俺は復讐を無駄だとは思わない。
だから俺は。
「お前に復讐以外に大切なものは何かあるか?なんでもいいぞ。」
「そんなもの……ないわ。」
「そうか。いいぞ、ここから出してやる。その復讐にも付き合ってやろう。」
「本当!!?」
「ああ、だが俺はさっき言った通り復讐は自己満足だと考えている。なのでお前にも俺の自己満足に付き合ってもらおう。」
「どういうこと?」
「復讐を成し遂げるまでに、なんでもいい。お前にとって大切なものを何か1つ見つけると約束しろ。」
「それが条件?」
「ああ。」
しばらく逡巡したあとその女の子――マリーは口を開いた。
「……わかった。その条件を飲むわ。」
「契約成立。だな。」
俺は手を差し伸べるのだ。
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