第20話 (撃破)
私――ミーナはオーク本隊の上空に来ていた。
さてと、始めますか。
「よし、みんな!作戦開始だよ!!」
「「「サー イエス サー!」」」
私はアイテムバッグの中からロイ様が試行錯誤して、アネットさんと量産した“爆弾”というものを取り出します。
これは導火線と呼ばれるものに火をつけてしばらくすると、物凄い威力の衝撃が周りに起こるのです。ロイ様が森の一部分を実験場と呼んで色々な“爆弾”を試していたのを見学させてもらいましたがそれは凄いものでした。
これはあのオーク相手に圧倒できるんじゃないかというほどです。
私はその威力を見て、凄い魔道具なのだなと思っていたのですが、「土属性魔法」などを駆使して、作った普通の道具らしいです。雷管?とか言うのを作るのに苦労なされていました。
私の部隊の仲間はアイテムバッグを持っていないのでリュックを背負い、その中に小型の爆弾を入れています。
誤って爆発してしまう危険があるのですが、この部隊では私以外アイテムバッグを扱えないのです。
というのも、魔道具はつけている魔石の大きさや質によって溜めておける魔力や魔力出力の最大値が決まります。
私たちの国の森に棲んでいる魔物ではそんなに良質な魔石は取れませんでした。
なので、溜めてある魔力が尽きると中のものを取り出せなくなってしまうこのアイテムバッグは、魔力の密度の話を知っている人か濃い魔力を初めから無意識に出せる人にしか使えないのです。
「えいっ!」
私たちは「火属性魔法」で導火線に火をつけ、爆弾を投下します。ロイ様が「出来るだけ爆弾のことは隠したい。」とのことで、この部隊は「火属性魔法」が使える人で構成されています。
隠すにしても私たちが大魔導師だと勘違いされてしまうわけですが……。
ドゴォォォン……。
爆発が起こりました。オーク軍はかなりの被害を受けているようです。
物凄く近くで爆発しない限り、ミスリルの鎧を破壊するまでには至りませんが、衝撃で吹き飛ばされたオークは少なくとも意識を刈り取られるぐらいのダメージは受けているようです。
そして、指揮官が何やら指示を出したのか、下でオークが弓を引いているのが見えてヒヤッとしましたが矢は私たちには届きません。届いたとしても「飛行」しながら弓を交わす練習をしたので、お姉ちゃんの矢でもない限り、おそらく躱せるでしょう。
もはやオークなんて脅威ではないのです。
「ひいぃっ!助けてくれ!!!」
逃げ惑うオーク、私たちは爆弾を落とし続けます。
オーク達に家族や友人を連れて行かれたものも多いのです。慈悲はありません。
奴隷として大勢のサキュバスが連れて行かれるのを見たときなどに、絶対に勝てないとまで思っていたオークが今は脅威に思いません。
さしずめ「見ろ、オークがゴミのようだ!」って感じです。
私たちはそうしてオーク本隊を全滅させたのです。
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俺は空から本隊を圧倒するミーナ達の様子を見届けてから降下を始める。
砦に降り立つとリーゼが出迎えてくれた。
「ロイ様。それで戦況はどうなっていますか?」
「リーゼ、今のところ予定通りだ。」
「本当ですか!?」
「ああ、ミーナの部隊が本隊を倒した。」
「それはそれは。」
リーゼに現状の報告をする。
しかし、俺は報告のために戻ってきたのではない。
「懸念していたことが起こった。別働隊が頭を押さえに来てる。」
オーク国は貿易国であり、頭の使えるやつがいる。1年間の停戦という条件を不審に思わないはずはない。
そこでオーク国が取った手段は想定されていたパターンの1つである。本隊とは別に国を襲撃する作戦だ。
いくら奇策を用いて、先遣隊、本隊とやり合ったとしても、その間に非戦闘員が襲撃されて国を抑えられてしまっては降伏せざるを得なくなる。
だがここは俺の「飛行」によって、空から観察したことで完全に襲撃して来た位置を把握している。
後はそれを迎え撃つ必要があるのだが……。
「戦闘力の高いやつがいるのを読んでいたらしい。戦力が3つに分散されている。」
空中から森の中に潜むオークを見つけるのは困難であり、魔力ソナーもそんなに広範囲に使えるわけではない。
オーク達を発見したのは森を出てからだった。なので既に国に迫っているということだ。
俺は遠距離魔法での攻撃はそれほど練習を積んでいない。
少しでも森に入られたりして、取り逃がしてしまったら今後の動きに影響が出てくるから確実に仕留めたいところだ。
作戦通りなら俺とヴァイスが襲撃してきたやつを倒して終わりだったので問題はない予定だったが……。
「距離が離れているので俺とヴァイスが一つずつ担当するとしても後1つ残る。戦っている間にその残った1つが大人しくしてくれるとは思えない。放っておく訳にもいかないのだ。」
さあ困った。どうするか……。
「私が1つ担当しましょう。」
リーゼが申し出た。
「それも考えたが、相手も錬度の高い兵を使ってくるだろうから、いくら訓練したとは言っても、どうしても俺とヴァイス以外だと勝てるかは不安がある。」
「大丈夫です、必ず勝ってみせましょう。」
仕方ないな。
「リーゼは一応歩兵を連れていけ。まだ各自オークとやり合えるほど強くはないが、いないよりいいだろう。それが任せる条件だ。」
「わかりました。そのように。」
「俺とヴァイスも終わったら駆けつける。最悪、時間稼ぎで構わない。ヴァイスもそれでいいか?」
『はい!勿論です!』
「じゃあ行くぞ、作戦開始だ。」
俺たちは分かれて、オークを各個撃破に向かった。
区切りのいいところで止めたので今回は少し短めです。
パロネタは控えめで行くはずだったのにノリを押さえられませんでした。




