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人間が生理的に無理なので魔王やります  作者: あんぱん隊長
第1章 サキュバスの国
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第1話 新しい魔王

 俺は気づくと光を放つ召喚陣のようなものの上に立っていた。

神と会った時と同じで、服は死んだ時のままでジャージだが手に提げていた本の入ったビニール袋は消えていた。


 まもなく召喚陣のようなやつは消えた。



「ようこそ我が国へ魔王様。」



 目の前にいた黒い蝙蝠のような羽の生えた女の人が言った。

 綺麗系の美人でボン キュッ ボンな感じだ。凄い。携えている長い髪は無造作のようだが、ストレートヘアで凄く清潔感がある。


「あ、どうもはじめまして。」


 初対面の人との接し方が全く分からない。

 自分が魔王らしいってことしか分からないし、自分の立ち位置も曖昧だし。


「はじめまして、こんなところでもなんですからこちらへ。」


 倉庫のような部屋から彼女についていくと部屋に案内された。

 ソファーが向かい合っており間に机がある。気になったのは廊下で誰とも出会わなかったことだ。

 周りを見た雰囲気から言って城か何かだと思う、だが人の気配がないのは不思議だ。


「どうぞおかけになってください。」


 ソファーに浅く腰を掛ける。

 あまり柔らかくない。魔法がある世界だがどの程度発達しているかはわからない。

 机も木でできているし透明度の高いガラスなどがあるのかも謎だ。


「私はリーゼロッテ、リーゼと御呼びください。」

「ああ、俺は……。」



 そうだ。異世界に来たのだしこっちで自然な感じの横文字に名前を変えてみるか。カッコいい名前……。



「俺はデストロイ。ロイと呼んでくれ。」


 やってもうた。愛称がある名前がカッコいいと思ったが特に浮かばなかったらこれだ。

 強そうではあるがラスボス前の大ボス的な感じ。愛称は主人公っぽいが。


「ちょっと待って今のなし。ええっと……。」


 リーゼさんが微妙な顔をしていらっしゃる。

 真剣に考えよう、良さげな名前……。


「もうロイでいいや、俺はロイだ。」


 思いつかなかった。名前って難しいな。


「早速ですがあなたはこの国の王です。」

「あ、はい。」

「神託がありまして、あなたが異世界から来られること、魔王の器であること、元人間であること、こちらの事情は知らないことは既に承っております。」

「そうなんですか。」


神様、女の容姿をしてたから女神か。気が利くな。


「そしてですね、まずは色々と説明をさせていただきます。」

「わかりました。」

「まずはここはアルケイディア大陸の半島にあるサキュバス国になります。」

「あ、じゃあリーゼロッテさんはサキュバスなの?」

「はい、リーゼとお呼びください。」


 サキュバスかー。魔王ってあらゆる魔族の王って感じだったんだけど、どうなんだろ。


「魔王様についてはこの国の前王のラム様が床に臥し、余命を悟られたときに神託を得ました。」

「なるほど。魔王は神託というものを得られるんですか?」

「いえ、ラム様はサキュバスの女王で魔王ではありません。神託についてはよくわかっていませんし、魔王様は多種属の国の王がその称号を持っていることが多いですが。」

「称号?」

「ええ、ステータスに称号は表記されます。」


 ステータスがあるのか、ファンタジー世界でもゲームのような感じなのだな。

普通に考えたら数値化とかされてた方が管理は楽か、神目線で考えると。


「ステータスの見方などについては追々。」

「あ、はい。」


 魔王だし俺のステータスって凄いんじゃね?楽しみだわ―。


「あ、この国のサキュバス以外の種族は?」

「……いませんね。」


 何今の間。

 なんか重大なこと後回しにしてそうなんだけど。


「リーゼさんの役職は?」

「宰相になりますかね。」


 宰相かー。物語とか見てると凄い苦労人だよなー。


「ほかの人はどうしてるの?」

「今この城にはメイドが20人ほどいるのみです。」


 ん?国の王城なのに城に人がほぼいないってどういうこと?

 やっぱなんか後回しにしてることが……。


「「お茶をお持ちしました。」」


 メイド服の女の子が2人入ってくる。

 ポニーテールとツインテールで容姿はよく似ている。


「メイドのルナとミーナよ。」


 二人がお辞儀をする。


「俺は魔王のロイだ。」


 俺も簡単に自己紹介する。


「2人は姉妹?」

「はい、私が姉のルナです。」

「私が妹のミーナです。」

「へぇ……それにしてもそっくりだな。」


 ポニテ巨乳が姉のルナさんで、ツインテ貧乳さんが妹のミーナさんか。

胸のサイズは似なかったのか。


「……なんか失礼なこと考えてません?」

「イエイエソンナコトナイデスヨ。」


 ……鋭いなこの子。あっ、このお茶は紅茶か。

 味はまあまあ。


「このお茶はこの国で?」

「いえ、オーク国経由で輸入してます。」


 マジか、オークが紅茶の輸入の中継してるって意外だな。


「この国で作らないんです?」

「えっと……この国は農業が盛んでないといいますか……。」


 ガラスの貼っていない窓から外を見ると太陽に照らされた森や山が見える

気候もよさそうなのに盛んじゃないのか?


「漁業とかが盛んなんですか?」


 半島と聞いていたし、そういう国なのかもしれない。


「えっと……その……。」


 できる女感のあるリーゼさんがあわてていらっしゃる。

 心配そうな目線でルナさんとミーナさんも視線を送っている。


「すぅーーはぁーーー。」


 リーゼさんが大きく深呼吸をする。


「申し上げにくかったことなのですがもうはっきり言います。」


 え、何??



「この国はもうすぐ滅びます。」

とりあえず1日1話で投稿してみます。

更新時刻は21時の予定です。


9/1 主人公がメイドに自己紹介する文を追加

9/25 章管理するにあたって、サブタイトルの変更

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