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人間が生理的に無理なので魔王やります  作者: あんぱん隊長
第1章 サキュバスの国
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第18話 風の矢

「貴様ら!とうとう今日が決戦の日だ。この1年間の苦しかった訓練を思い出せ!オークなんぞに負けるとは思わないだろう?」

「「「「「サー イエス サー!!」」」」」



 月日は流れ、とうとうオーク国との開戦の日が訪れていた。


 この世界に来て魔王になって1年だ。長い様で短かったな。


 いかんいかん。感慨にふけるのは後にしよう。



「各部隊それぞれの作戦に変更はない。行動に移れ。」

「「「「「サー イエス サー!!」」」」」


 予定通り、部隊が砦を出発する。

 今回の戦いも正面切って戦う気はあまりないので各部隊ごとに全然違う動きをする。



「勝てますよね。今回も。」

「やることはやった。負けてもらっては困る。」


 リーゼとそんな言葉を交わす。サキュバス国がなくなったら俺も行く当てがないからな。


『ヴァイス。お前はリーゼと砦で待機していろ。予定では俺が呼びに行くが、予想外の事態もあり得る。ここまで敵軍が達することがあるならば出撃して構わん。』

『わかりました。ご主人。』



 オーク軍の戦力は先遣隊に騎兵。本体に歩兵、重装歩兵、弓兵。相手の王都に兵が残っている状態だ。


 この戦争は完全勝利をするつもりなので当然王都に攻め込む予定もある。



 俺は砦から「飛行Lv5」を使ってかなりの高度まで上昇し、「身体強化魔法」で視力を高める。


 スキル「飛行」はLv5で熟練度上限に達し、ステータスの「素早さ」が飛行速度に反映されるようになった。


 俺が高所に急上昇するときには気圧の変化などに耐えるために「風属性魔法」が必須となる。サキュバスは種族特性として大丈夫なようで驚いたが。



 俺は基本的には戦況を見守り、予定外の場合には指示を出すつもりでいる。

 この世界に来てから、俺の予想や予定と結果が食い違うことが多い。いろいろと保険が効く態勢でこの戦争に臨む。



 まずは初手であるのルナの部隊を見ておこう。




‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 私たちの部隊は進軍を始めた。

 オークの先遣隊の陣営と直接ぶつかる可能性がある。一番危険であろう役回りである。


 森から平野に出る地点で兵を横並びに配置する。


 そして弓の準備を始める。矢筒にはアイテムボックスの魔法の付与がされており、大量の矢が入っている。



 部隊の皆は緊張などしていない。過酷な訓練に耐えてきたという、絶対の自信がそこには存在するのだ。



 私もこの1年、弓を射ち続けた。しかし、私にとってつらいものではなかった。


 国の未来。自分の未来に希望を持っていなかった私にロイ様は希望を与えてくれた。


 ロイ様は訓練の時には厳しかったが、城で過ごしているときはお優しかった。


 食事のとき。私の弓術に対して「凄いな、ルナは。」と褒めてくださったこともある。私は取り繕ってはいたが内心子供のようにはしゃいでいたのだ。


 私はこの国が安定したら私はロイ様と――



 私は戦を前に大きく深呼吸をする。


 大丈夫だ。勝てる。


「戦術に変更はないです。敵は騎兵。接近する前に全て弓で倒す。矢を大量に持っているとは言っても無駄な矢は射ない。確実に仕留めましょう。」



 弓の準備を終え、率いているサキュバスに指示をを出す。



 しばらくすると、遠くに馬に乗ったオーク軍の姿が見えた。



 偵察を行っているため、相手の戦力の確認はある程度済んでいる。


 前回の戦は簡単にサキュバスを捕えて国に戻るつもりだったため、馬車を用い、馬に乗って戦うことはしなかったが、今回は先遣隊に騎兵を使っているようだった。




 ――私がこの戦の一番槍だ。



 呼吸を整え、私は「身体強化魔法」で視力を強化する。魔法が高精度で扱えるのはロイ様から指導されたもののみだ。


 よって、この部隊は「風属性魔法」で射程が伸ばせるとはいえ、この距離を狙い、矢を届かせることができるのは私だけなのである。



 弓を引き絞り狙いを定める。



 そして、矢を放つ。



 放たれた矢は一直線にオーク軍に向かっていく。放たれた矢は正確に狙った位置――オークのミスリルの防具に弾かれることなく首を正確に打ち抜いた。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



 ――ありえない。



 オーク軍には動揺が走る。


 それもそうだ。地平線が見える距離は地球とほぼ同じで約4km。この距離の防具の隙間を当てることができるなんて常識的に考えてありえない。



 「やることは変わらん!進軍しろ!!」



 この隊を率いているオークが叱咤激励する。

 しかしながら、ここは平野。身をひそめるところはない。よってオークは進軍せざるを得ないのだ。


 


 オーク兵は順調にルナの矢によって数を減らしていく。



 だが、このペースでは大多数がルナたちのもとにたどり着く様子である、オーク兵は接近すれば絶対に勝てるという自信があった。


 オーク兵は叫んで自らを鼓舞しながら。進軍する。



 この騎兵隊は気づいてはいなかったのだ。未だ矢を放っているのがルナ1()()であることを。


 ルナの部隊は森を背ににしているため未だ戦力が確認できておらず。複数人が矢を放っているものだと思っていた。


 逆に1人でここまでのことが出来るなんてことは微塵も思ってはいなかった。そんな強者がサキュバス国にいるわけがないと思っている。



 そうして進軍してきたオーク軍だがここで、ルナ以外のサキュバスの弓の射程に足を踏み入れる。




 オーク軍の一方的な負け戦が始まった。


 先ほどとは比べ物にならない速度で兵が倒れていく。こちらの弓兵も矢を放つがルナの部隊に届く様子はない。



 声を上げながら矢を受け、落馬し、動かなくなるオーク兵。



 「こんなのと戦えるわけないだろ!!!」


 

 隣を走っていた兵がやられたのを見た兵が逃亡を始めた。これを皮切りにとうとう独断で撤退を始める兵が何人も出てきた。だが、その逃げ出す兵の背中側からでも簡単に防具の隙間に矢が刺さり、絶命する。



「「「うおぉぉぉぉ!!!!!」」」



 戦力が激減し、接近しても倒せるかわからないほどになってもこのオーク部隊の長は撤退命令を出さない。先遣隊のオーク軍は恐慌状態であり、最早どうすることもできないのだ。




 そしてしばらく時が過ぎ、戦場には静寂が訪れる。


 オーク軍先遣騎兵隊200人。全ての兵がこの平野に散ったのだった。

しばらくはこんな感じでサクサク進めていく予定です。


ルナさんのオーバースペック具合が凄いですね。

某有名なスナイパーさんなんかは2.5kmぐらいの狙撃を実現したらしいですがそれより凄い距離の動く目標ですし。

魔法で飛距離は伸ばしてるけど命中補正はしていないということですが、

その距離になると湿度とか温度とか気圧とか重力とかとかの影響を色々受けるのに狙って当てるとか不可能でしょというツッコミを自分で入れつつ。

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