第10話 訓練
朝早く起きて魔法の試行錯誤をしてみる。
「全属性魔法適正」のおかげで思いついたことは大抵行えた。
しかし、「スキルでできることが魔法でも可能ならスキル要らないんじゃないか?」と思って、「インベントリ」を魔法で再現しようと思ったら、一気にMPが減っていったので、慌てて実行を止めた。
あの感じだと今の俺の全MP使っても発動に至らなかったと思う。
しかし、空間内の時を止めなければ割と簡単に実行ができた。
時間魔法は今の俺では使えないのか。というか魔力の質をそれなりに意識していたにも関わらずあの魔力消費って……。
その後しばらく検証してみると、空間魔法も収納空間を作ること以外は魔力消費が凄いことがわかった。何故収納空間を作るときだけ魔力の減りが少ないのかはわからないが。
今、俺の思いついて行使できた魔法で一番有用そうなのは、土魔法だ。
植物の成長を促す魔法は使える。食料への保険ができた。
土の栄養を大量に消費するだろうから“土が死ぬ”可能性もあるのでこの方法はあまり使いたくはないが。
治癒魔法は無属性に分類されるらしい。指の皮膚を噛んで出血させた後、傷口を魔力で覆い治るようにイメージしたところ、普通に治った。
あと発見したのは魔力は防御にも使えるということだ。
MPは割合で自動回復するようなので、これを「身体強化」のように身体に常に薄く張っておくことで魔力の質を高める練習をすることにする。
そんなわけで今、俺のステータスはこんな感じで表示されている。
ステータス
名前:ロイ
種族:魔王
職業:魔王
Lv:12(経験値3/120)
年齢:0
HP:7580/7580
MP:1027/9824
筋力:6354
耐久:6422
素早さ:5577
称号:「魔王」「異世界からの来訪者」「魔法の天才」「剣の才能」「弓の才能」
魔法:「上級火属性魔法」「上級水属性魔法」「上級風属性魔法」「上級雷属性魔法」「上級土属性魔法」「上級光属性魔法」「上級闇属性魔法」「上級無属性魔法」「時空魔法」
スキル:ユニークスキル「真の王の器」「インベントリ」「異世界知識」「隷属操作」
スキル「剣術Lv4(熟練度7/40)」「弓術Lv3(熟練度21/40)」「飛行Lv1(熟練度2/10)」「性技Lv10」「鑑定Lv10」「全属性魔法適正」「威圧」
耐性:「麻痺耐性Lv3」
状態:「魔力障壁」
詳細
称号:「魔法の天才」・・・多くの上級の魔法を短期間で習得した証。魔力の操作に補正。
魔力防御を纏ったものは「魔力障壁」として記載されている。
あと、魔法を使っていると、魔力の密度が少し上がったと感じたのは気のせいでなく称号の影響のようだ。
考察だが、魔力を属性に変換せずに行使すると無属性ってことでいいのか。それと氷は水属性になるようだ。
属性魔法には「上級」などのランク付けがあることが確認できた。
城の庭で大規模な魔法を行使するわけにもいかなかったのでとりあえず上級までを試した。
俺は魔法の実験を終え、MPを消費した倦怠感の中、城に戻る。
城の廊下ではリーゼさんと会った。
「おはようございます。ロイ様。」
「おはよう。」
「朝早くから何をしておられたのでしょうか?」
「魔法の練習。リーゼって、魔法を使うときって魔力の質とかって考えてる?」
「どういうことでしょうか?」
「魔力を出すときって同じ魔法でも人によって燃費というか威力に差が出てると思うんだけど。」
「それは才能に左右されるからでしょう?魔法でも練習すれば生まれ持った才能はあれど威力は多少上がります。」
なるほど。魔法の練習とは「魔力を魔法に変換する効率」を高めるのが一般的なのか。
最初に魔力を出した感覚を使い続けているせいでそれが「才能」と呼ばれていてで大きく左右されているのかもしれない。
じゃあ俺の考えていた「魔力の質」を高める訓練方法を行って万一広まったら拙いかもしれない。
ふむ。異世界で現代知識を広めてやりたい放題やっている小説を読んだことあるが、現実問題デメリットに目を向けなければならないからなぁ。
どうするべきか考えなければなるまい。
……無難に信用できるやつにだけ教えるか。
「そうなのか。まあ、初めは魔法の練習なんてやらせる気ないけど。」
「そうなのですか?では訓練とは何を……」
「体力作りからに決まってるだろ?」
今日から1年後に向けた訓練を始める。隊を編成したが、まず共通して体力作りから始めようと思う。
「体力作り……ですか?」
「ああ、一定の身体能力は必須だ。一番苦しく、めんどくさいところでもあるがな。どんな苦しい訓練にも耐えると決断させたんだ。やらせるに決まってるだろ。」
「そうですね。うちの国の中で身体を鍛えている人なんてほぼいませんし。」
「メンタルを鍛えることにも繋がるしな。」
「そうなんですか。」
「というわけでまずは体作りから行ってもらう。」
国民たちの前でそう告げる。
「待っておくれよ。あたしたち生産系の部隊にもその体力作りをやらせようってのかい?そんなの必要ないさね。」
「お前たちは家族、友人などを守るための力をつけなくてはいけない。それにあたって最低限の身体能力は必須だ。今のお前たちでは目の前の敵から逃げることもままならないだろ。というかどんな訓練でもやると言ったろ?一度言ったんだからやれ。」
「むぅ……。」
抗議してきたアネットを黙らせる。
俺は大きく深呼吸をする。そして軽く「威圧」を放つと空気が張りつめたものになる。
「俺が訓練教官のロイだ。この訓練中は話しかけられたとき以外は口を開くな。口でクソたれる前と後に“サー”と言え。分かったか、ウジ虫ども!」
そう。かの有名な海兵隊式である。
「返事はどうした!“サー イエス サー”だ。」
「「「サー イエス サー!」」」
「ふざけるな!大声だせ!この糞ビッチどもが!」
「「「「「サー イエス サー!」」」」」
「この訓練で俺は極端に厳しくやる。貴様らは厳しい俺を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶ。俺は厳しいが公平だ。この国の宰相だろうと容赦なく指導してやる。今のお前らは平等に価値がないからな!分かったか、雌豚ども! 」
「「「「「サー イエス サー!」」」」」
「よーし、まずは城の外周を倒れるまで走ってこい。水分補給は可だ。スタート地点に置いておく。それじゃあ行って来い。」
「「「「「サー イエス サー!」」」」」
サキュバス達を走らせる。俺は監督をしていよう。
抑えはしたが、こいつらにしてみればかなりの「威圧」を放ったので特に反論はなかった。
俺も鍛えたいが、ユニークスキル「真の王の器」で取り込んだおかげで俺のステータスはかなりの域に達している。こいつらと同じ訓練はできないだろう。
寝る前とかにやるか。
はぁ、俺の睡眠時間はどうなるんだろうか。
1時間半後にようやく脱落者が出始めた。
サキュバス凄いな。種族的に人間より強いわ。
そして最後の脱落者は2時間半後だった。リーゼさん凄いわ。
しばらく休憩をはさんだ後、筋トレを始める。
「まずは腕立て伏せだ!」
「「「「「サー イエス サー!」」」」」
皆、腕立て伏せを始める。
「しっかり腕を曲げないと意味がないぞ!貴様ら雌豚の大好きな肉棒が地面から生えてると思え!!そうだ喉奥まで咥えこめ!!」
しばらく腕立て伏せをやらせた後、次に移る。
「よーし次は腹筋だ!お前たちの弛んだ腹ではオークぐらいしか見向きもしないぞ!しっかりやれ!!」
「「「「「サー イエス サー!」」」」」
各員、腹筋を始める。
「もうへばったのか!!そんなんじゃオークですら興味を示さないかもしないかもしれないな!よかったじゃないか!!HAHAHA!!!」
腹筋も同じようにしばらくやらせた後、次に移る。
「次は背筋だ!!この程度で疲れてるいるようでは先が思いやられるな!!気を引き締めてかかれ!!!」
「「「「「……サー イエス サー!」」」」」
各自、背筋を始める。流石に疲れがピークらしい。
「お前らのさもしく育った胸の脂肪袋を見せつけるようやればいいんだ!そんなこともできないのか!!!」
こうして、そんな感じで訓練は続くのであった。
ご感想などなどお待ちしております。
9/21主人公の称号に「剣の才能」「弓の才能」を追加。




