第9話 面接
今日の朝食の時「リーゼ」、「ミーナ」って呼んでたらルナが「私だけさん付けはやめてください」と言ってきたから呼び捨てで呼ぶようになった。
そして俺は今、城の前の広場に向かっているところだ。リーゼ達は先に行っているらしい。
どれくらいの人が来ているだろうか。
予想では9割方集まると読んでいるが
ここ最近オークの兵の錬度の件やら予想外れっぱなしだからな。誰もいないことはないだろうが。
誰もいないフラグじゃないぞ。
といいつつちょっと不安になってきた。
城から広場の方に出た。予想が外れました。国民全員集まってました。
俺はリーゼから昨日と同じ拡声の魔道具を受け取り、学校の運動場とかにある朝礼台みたいなのに上る。
「あ~テステス……。おはようございます。」
挨拶から始める。これ基本。
「えー昨日言った通り、俺の指示に従って訓練など行ってもらう。昨日家に帰ってから、自分と向き合ったか?途中で投げ出すなんてことは許されない。今なら立ち去ることを許そう。」
しばらくの沈黙。
「では、いくつかのグループに分けたほうがいいのでその配属を決めるために1人ずつ面接を行いたいと思う。城の一室を使って行うので順番に来てくれ。列の整理はルナに任せる。」
簡潔に用件を伝え、城に戻る。リーゼさんと応接間|(初日から話すのに利用している部屋)に入って面接に来る人を待つ。
1人目が入ってくる。
「どうぞおかけください。」
固いソファへ座るのを促す。
「お名前と、後は特技とか何でもいいので教えてください。」
目の前の幼い見た目のサキュバスが口を開く。
「えっと、アンと言います。20歳です。特技などは特にありませんがやる気だけはあります。よろしくお願いします。」
……年上だった。
まあ、今の俺は0歳扱いなわけだが。
そして会社の面接とかでこんな受け答えだったら即落とされてそうな自己アピールだな。
しかし、今回の目的の大部分は「鑑定Lv10」を使ってステータスを確認することである。
鑑定してみたステータスがこれだ。
ステータス
名前:アン
種族:サキュバス
職業:農家
Lv:1(経験値0/10)
年齢:20
HP:180/180
MP:220/220
筋力:76
耐久:80
素早さ:100
称号:なし
魔法:「初級無属性魔法」
スキル:スキル「農業Lv1(熟練度2/10)」「性技Lv5(熟練度0/50)」「浮遊Lv1(熟練度1/10)」「火属性魔法適正」「無属性魔法適正」
耐性:なし
状態異常:なし
なるほど。火属性か。
今まで見てきたところ魔法適正は、オークは適性が全くなし、サキュバスは無属性とあと1つという感じが多いからな。
「いいお名前ですね。何か[自分はこれがやりたい]みたいな希望ありますか?」
農家の熟練度が低いので本人が特に希望しなければミーナの部隊に入ってもらうかな。
「あ、いえ、特には……。私農業の才能もないので……。」
よし、ミーナの部隊で決定だ。
「では、ミーナの部隊に入ってもらおうかと思っています。よろしいですか?」
「ええっ!!部隊ってあの、私戦ったり全くできないんですけど。」
「かまいません。ミーナも戦える方ではないですが今後の鍛錬で変わってくるでしょう。どうしても嫌だというのならば別のところを考えますが。」
「嫌ではないです!頑張ります!よろしくお願いします!!」
1人目が退出する
「次の方どうぞ―。」
そうして何人か面接をすると見知ったやつが入ってきた。
「ああ。お前か。普通に物作りの部隊に配置するぞ。以上。」
弓の大量生産を手伝ってくれた生産系スキルの持ち主だった。
「ちょっと待つさね。せっかく来たんだからアタイと世間話でもしておくれよ。」
「こっちだって今日忙しいんだっつーの。何人いると思ってるんだ。このペースだと多分日が暮れるまでかかるぞ。」
こいつはアネット。小説とかでしか見たことないような口調で最初は驚いた。この1か月でリーゼ、ルナ、ミーナ以外で親しく?なった人であり、少しつり目がちなのと癖っ毛な髪が特徴的である。
城のメイド達とも話したりはしたが、やはりメイド長のルナと姉とセットのミーナといる時間は長い。
「すまん。明日指示も出すしそんときにしてくれ。」
「むぅ……ほんとに忙しいらしいから明日にするさね。」
ちょっと拗ねた感じでアネットが退出する。
ちなみにアネットの鑑定結果はこんな感じ
ステータス
名前:アネット
種族:サキュバス
職業:鍛冶屋
Lv:1(経験値0/10)
年齢:20
HP:190/190
MP:250/250
筋力:98
耐久:97
素早さ:110
称号:なし
魔法:「初級火属性魔法」「初級地属性魔法」「初級無属性魔法」
スキル:スキル「鍛冶Lv3(熟練度6/30)」「性技Lv5(熟練度0/50)」「浮遊Lv1(熟練度1/10)」「火属性魔法適正」「地属性魔法適正」「時空魔法適正」「無属性魔法適正」
耐性:なし
魔法の適性が普通より多いし、注目すべきは「時空魔法適性」である。これはおそらくすごく珍しいんじゃないか?
ところで魔法についてだが、鍛錬すればレベルアップできるといわれている。
しかし限界値まで高めた鑑定でも熟練度など表示されないのを見るとスキルとは違い別の要素があるのではないかと思う。
後回しにしていたことなので検証が必要だ。
こんな感じで面接を行っていった。
全員捌くのに夜までかかった。疲れた。
そして夜、城の庭で魔法の検証を始める。
リーゼ曰く「MPを使い切ると意識を失うので気を付けてください。」とのことだ。MPを消費すると倦怠感が出るらしいのでそれで自分の残りのMPを把握するらしい。
俺は自分のステータスが見れれば数字でしっかりわかるから大丈夫だな。
魔法がないところから来たとは予想してなかっただろう、前に読んだ資料に魔法については載っていなかったのでずっと後回しにしていた。
なのでリーゼに軽く魔法のことを聞いた。
それによるとまずは魔力を感じるところから始めるらしい。
うん。わからん。とりあえず読んだことのある小説の知識からいろいろやってみよう。
まずオーラのようなものを皮膚から出すイメージをしてみる。
《スキル「威圧」を獲得しました。》
あれ?違ったっぽい。でもなんかスキル獲得した。どれどれ。
詳細
スキル「威圧」・・・相手を威圧する。威圧の程度は己のステータスに準じる。
ああ、創作物でよくある。強者がまとう殺気みたいな感じか。
発動するだけで相手が「やべぇ……勝てねぇ……」ってなるみたいな。カッコいい。
でも魔力のイメージとはちょっと違った。
色々と試行錯誤しているとついに魔力が扱えた。
答えは血液のような循環しているイメージを体の外に放出する感じだった。
ぼんやりと光るものが手から出ている。これが魔力だろう。
これをどうするのか。
まずは体に薄く纏うイメージをしてみよう。ファンタジーでよくあるアレが習得できるのか確かめたい。
《魔法「上級無属性魔法」を獲得しました。》
できた……のか?
ステータスを見ると「状態」の項目に「身体強化」と出ていた。
詳細
状態「身体強化」・・・纏っている魔力に応じて身体能力が上昇。
やった。成功だ。
城の庭では実際に能力を確かめることは出来ないが
次は……。
手から出した魔力が火に変わるようにやってみると普通にイメージ通りできた。
《初級火属性魔法を獲得しました。》
なんだ。簡単じゃん。
これはアレだな。適性と魔力があれば好きに使える感じだわ。
なんでみんな魔法のレベルが低いのかというと、おそらくだが「使えないと思い込んでいる。」というのと「魔力を魔法にする変換効率が悪い。」
というところなんじゃないかと思う。
MPを見てみると最初の肉体強化だけで500、今の小さい火だけで100ぐらい消費していたからだ。
アネットの魔法を見ていたがこんなに燃費が悪くなかった。
そこで燃費を良くするために練習を重ねる。
最終的にMP100消費していた小さい火でMPを10消費まで抑えられた。
魔力の質、つまり密度を高めるのがコツのようだ。
部屋に戻ってリーゼに作ってもらった名簿とにらめっこしながら、今後の計画を立てる。
俺も森の中とかの探索とかしたいなぁ。
などと考えながら夜は更けていくのであった。




