三点リーダーとダッシュの使い方
初出:2009年5月24日
さて、今日は以前からやろうやろうと思っていた『三点リーダー』と『ダッシュ』を普段、僕がどんな風に使っているかについて語ろうかと思います。
ちなみに、『三点リーダー』というのは『…』のこと、『ダッシュ』というのは『―』のことです。
言うまでもないとは思いますが、小説を書く際には、『……』や『――』という風に、二文字分連続して使用するのが一般的です。
あ、これを書くことによって、結果、今日も『マテそば』の執筆にとりかかれないであろうことは、ここだけの秘密ですよ(笑)。
さて、ではまず、『三点リーダー』のほうから。
これを使うのが一番多いのは、やはり『沈黙』しているシーンですね。
言葉を発したいけれども上手く口から言葉が――音が出てくれない、そんな、どこかうつむき気味な沈黙の際に使用することが多いです。
普段は「…………」で済ませますが、その沈黙が普段よりも重く、長いことを伝えたいときには、「……………………」なんて風にも使っています。あとは二人のキャラがお互い黙りこくっているシーンなら、
「…………」
「………………」
「……………………」
という感じに、『時間の経過と共に重くなっていく沈黙』を表したりもしますね。
次に使う機会が多いのが『言い淀み』です。「でも……」みたいに、セリフの最後につける方法ですね。
これを用いるときは、そのキャラの中で思考がまとまっていないことが多いです。酷いと、執筆している僕自身がそのあとに続くセリフに詰まっていたりもします。
他の使い方には『息も切れぎれ』や『迷った末の発言』などがあります。
前者だと「た……大変だ……!」とかでしょうか。まあ、僕がいま挙げたセリフを使う場合は、読みやすさを重視して「た、大変だ……!」としますが。
『迷った末の発言』はその言葉どおり、答えを出しかねている状態の『沈黙』を経て、絞り出すように自分の意見を言わせるときに多用しています。
しかしこれは『迷いながらの発言』であることが多く、自信なさげなセリフになることが多いです。
さて、『三点リーダー』は一旦横に置くとして、ここからは『ダッシュ』の用い方について語るとしましょう。
正直、僕の中で『ダッシュ』というのは、『三点リーダー』よりも活用範囲が広いです。
まず、これは僕はあまり使用しませんが『彼が身にまとっている黒ずくめの服――腰には短刀が提げられている――から、彼が『忍者』と呼ばれる者であることがわかる』などという感じの文章が、一般文芸などに割とよく見られます。主に地の文で。
これは『――』を『(』と『)』の代わりに使用している、とみていいのでしょうか?
まあ、なんであれ、読みやすさに影響するため、僕は倒置法を使ったり、文章を細かくわけるなどして、可能な限りいまのような表現はしないようにしているわけですが。
次によく見るのが『そうだと思う。――あんたはどう思う?』という風に、『話を別のキャラに振る』際に使用する、というものです。
これは僕も割と使いますね。おそらくこの場合の『――』は、顔などを別のキャラに向けるまでの『間』として用いているのでしょう。
そして、僕がよく使うのが、「――はっ!」みたいな、『息を一瞬だけ止める』みたいな表現です。
その次の『はっ!』で爆発的なエネルギーを感じさせたいときにやりますね。
この手法を用いるのは、なにも『攻撃』時だけとは決まっていなくて、間逆――攻撃されたときにも使用しています。
主に『――っ!?』。
『不意をつかれた』という『驚きに息を呑む』や『思わず息を止めてしまうほどの衝撃』みたいなイメージでしょうか。
他に一般的な手法を挙げるなら、やはり忘れてはならないのが『セリフの遮り』。
「失敗する可能性がないと言ったら嘘になるけど、上手くいけば――」
「失敗する可能性が高いことから目を逸らすな!」
みたいなやつですね。
実際の生活で使ってみようとするとわかるのですが、普通、セリフを被せられたからって、そこでセリフを完全に中断したりはしません。
小説やマンガだと、なぜか完全に口をつぐみますけどね(笑)。
あと、他には……そうだ、『沈黙』がありました。
ただ、『――』を使った『沈黙』は『三点リーダー』のそれとは違い、『気圧された』ときや『頭が真っ白になった』ときの『沈黙』で使っています。
『…………』がうつむき気味なら、『――――』は一歩退がってしまう感じでしょうか。
あとは余韻などにも使いますね。『俺たちの冒険は、まだまだ始まったばかりのようだった――』みたいな、最後の一文。要するに締め。
さて、他にも『類似している単語を結びつける』とか『決意』を表すとか、色々と使い方はありますが、なんだかキリがなさそうなので、次に移るとしましょう。
そもそも、表現方法自体が、小説を書く人の数だけ存在するわけですしね。
さて、最後に挙げるのは『三点リーダーとダッシュの併用』です。
例えば、こんなセリフがあるとします。
「……そ……それは……」
最初の『……』は『迷った末の発言』に至るための『迷っていることを表すための間』、その次の『……』は精神的な要因からくる『息切れぎれ』、そして最後の『……』は『言い淀み』です。
しかし、これだと読みにくくてかないません。ひとつのセリフの中に三回も『……』を使用すると、ぶっちゃけ、スムーズに読めなくなってしまうと思うのですよ。
そこで、ちょっと変化をつけます。
そうですね……、最初の『……』の代わりに『――』を、二つの目の『……』の代わりに読点を使用してみましょう。
すると、
「――そ、それは……」
と、少しはスッキリした感じがします。
僕は推敲時、誤字脱字や言い回しのチェックはもちろんですが、この点もけっこう重点的にやっています。なんというか、読みやすさを追求したいタチなのですよね。もちろん、結果として必ず読みやすくなっているというわけでもないのでしょうけど(苦笑)。
なにはともあれ、地の文で『~をした』を連続して使い、それが原因で単調な文章になってしまっている、ということに気づき、そこを直せるようになった方は、今度はセリフの面も単調にならないよう気を配ってみてはいかがでしょうか。
きっと上達に繋がると思いますよ。




