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熱いバトル起こせー!

初出:2009年2月21日

今日は本題に入る前にひとつ。

僕は執筆時、楽しんで書いているときとそうでないときの差が顕著けんちょすぎる気がしてなりません。これは、『小説書いてれば幸せ』と普段から言い続けている人間としてはマズいのでは、と思ったり思わなかったり。


……多分、自分が苦手としている『日常シーン』を書いているとき、苦痛を感じるんだと思うのですよね。『緩急』でいえば、明らかに『緩』が苦手なタイプです。

で、よくよく考えてみて思ったのですが、物語の構成を完璧に詰めてるからこうなるんじゃ……?


いえいえいえいえ! 決して構成が上手いとか無駄がないとか、そういう意味ではなくて!

なんというか、前もって多くのことを決めすぎてる気がしてならないのですよ。それこそ現在『ハーメルン』のほうに掲載している『マテリアルゴースト』(富士見書房)の二次創作作品『いつまでもあなたのそばに』のプロットなんて、もう二年近く前に書き上げたものでして、僕の中ではある意味、終わってしまっているのですよね。

下手をすると、ほとんど機械的に書いていく、なんていうことにもなりかねなくて。


ところが、先日書いたトイレのシーン。

あそこは、もう少し『日常』を入れる必要があるだろうと思い、急遽きゅうきょ追加したシーンだったのですが、いや、あれが書いていて、すごく楽しかったのですよ。

やっぱり、自分の中で完全に『その後の展開』がわかってしまっているから、書いていてときどき苦痛になるのかなぁ、と思うのですよね。

言い方を変えれば、モチベーションが保たないといったところでしょうか。


で、書くのが楽しくて仕方がない、という人の創作法を見てみると、どうも大抵の人が『物語の展開』をあまりつめずに、『その後の展開』を考えながら執筆している様子。

もちろん、僕にその方法が向いてないことはわかっています。

事実、ちゃんと物語全体の筋を考えてからでないと、不安にかられてしまって執筆なんてできたものではなくなってしまいますからね。

それでも、先をあまり考えずに書くのって、モチベーション高い状態で書けるだろうから楽しいんだろうなぁ、と思うのですよ。

うん、僕にそのやり方が向いていたら、きっとその創作法を採っていたでしょうね。


さて、長くなりましたが、いよいよここからが本題です。

あ、でもいまの前フリがまったく関係ないってわけでもないんですよ?


さて、そんなわけで、今日は『バトルシーン』について、です。


バトルシーンというと、皆さんはまずなにを思い浮かべるでしょうか?


一対一で行う、剣と剣での斬り合い?

魔術による派手な演出をメインにした、魔道士VS魔道士の戦い?

一人で複数人と戦う、メインキャラを格好よく見せるバトル?

それとも複数人VS複数人での乱戦?

あるいは、弱い主人公が知略を練って強い敵を倒す頭脳戦?

はたまた、小賢しい作戦なんて無用な、格闘家同士の殴り合い?


どれも魅力的な場面となるでしょう。

『演出の仕方』さえ間違わなければ。


さて、いま挙げたバトルの中で僕が初めて書いたのは、確か原稿用紙版の『スペリオル~希望の目覚め~』で、アスロックが複数のモンスターを相手どるという『一人で複数人と戦う』というものでした。

いまではボツ案としていますが、当時の僕は、まずアスロックの強さを、格好よさをなによりも伝えたかったのですよね。次に書いたのは、ミーティアが参戦しての『二対三』くらいの『VSモンスター』でしたかね、剣戟けんげきと魔術の使用を交えた。


ただ、バトルシーン初心者であった僕の書いたバトルは、正直、穴だらけのものでした。そもそも『乱戦』というスタイルそのものが、バトルの中ではなかなかに難しい部類に入るのですよ。

一番書きやすいのは、やっぱり『剣での斬り合い』と『殴り合い』ですかね、もちろん一対一、知略の要素はなしで。


それに慣れてきたらいくつかの要素を組み合わせて書いていくといいんじゃないでしょうか。特に『知略』を入れられるようになると、バトルの最中にも伏線が張れたりして、緊迫感が増しますよ。

そして、バトルシーンはただ延々と戦っていればいいというわけではありません。途中でセリフを入れたり、動きを描写したり、ピンチを演出したりと、本当にやることが多いのです。


バトルというのは『言葉に代わる意思の伝達手段』だと僕は考えています。つまり、バトルに至るまでにはお互いの事情があり、考えがあり、掲げる目的があり。

それらに矛盾しない行動をとらせることが重要だと思うのです。

たとえば主人公が恋仲にあるヒロインと共に強敵に立ち向かう際、主人公がヒロインをまったくかばわなかったりしたらマズいでしょう? 保護者と被保護者の関係にある兄と弟という設定で、弟が攻撃された際に兄がまったく動揺しなかったら問題でしょう?

そういった心の動きを地の文やセリフで表現するわけです。


次に大事なのは、バトルのときの描写です。

これができないと、そもそもバトルは成り立ちません。

ただ「どうだ!」だの「ぐわあっ!」だの「くらえっ!」だのと言わせていても、一体なにをしているかは伝わらないのです。やはり、どんな動きをしているのかがわかる、必要最低限の描写がないと。


そんなわけで、とりあえず『剣を使った際の描写』をちょっと挙げてみるとしますね。


・斬る

・突く

・薙ぐ

・振るう

・払う

・振り下ろす

・斬りあげる



大体、こんなところでしょうか。

もちろん、パッと思いついたものだけを挙げただけですので、探せばもっとあるでしょう。

あと、大抵の攻撃で使える描写に『放つ』や『肉薄にくはくする』があります。ちょっと変わったところだと『○○(キャラ名)の○○(身体の箇所)を捉える』というのもありますね。


あ、『剣』は現代モノのケンカのシーンじゃ使えない、という意見もあると思います。ですので『拳』での攻撃の描写も挙げてみますね。


・打ち抜く

・叩き込む

・かます


見た目は『殴りつける』という同じ行動であっても、いくつもの描写があるものなんですよね。ちょっと変わったところだと『○○(キャラ名)の○○(大抵は腹部)に拳が突き刺さった!』なんて描写もあります。


攻撃以外でも挙げてみましょう。

相手と距離をとるときには『距離をとる』以外にも『距離を置く』や『後退あとずさる』などがありますし、間合いを詰めるときだって、『懐にもぐり込む』や『間合いに入る』などがあります。

他にも、使えると便利な描写はたくさんありますね。


ただ、こういった描写(というか語彙)は、こう言うと身も蓋もないかもしれませんが、本(ネット上の物も含む)を読んで身につけていくしかありません。

誰かに教えてもらうなどといったことは、不可能とまではいいませんが、前後の文章との兼ね合いもありますので、やっぱり難しいと思います。僕がやろうとしている『類語辞典からの吸収』もどこまで効果があるか……。


実際、読書量が多い人は、それだけで文章力が高かったりするのですよね。

まあ、純文学とライトノベルでは使用する言葉がかなり違いますので、ライトノベル作家を目指すのなら、描写はライトノベルから学んでいったほうがいいとは思いますが。


さて、そろそろ僕が普段、どんな手順でバトルシーンを書いているかに移ろうかと思います。


まずは、最後の――トドメのシーンをイメージします。『決め技』をどれにするかを決めるわけですね。

そして、どうやったらそういうシーンまで辿り着くか、ある程度イメージします。この際、『縛り』なども決めておきますね。脚に怪我を負っているから素早くは動けないとか、途中で剣が折れたから急遽、慣れない格闘戦に移行しているとか。


あと、魔道士が魔術を使う際、どのタイミングで敵に妨害させるか、なども考えます。

次にはバトルシーンに入った瞬間のイメージ。各キャラの(物理的な意味での)立ち位置を考えます。そしてあとは中間での盛り上がりポイントを思い浮かべて、それらを繋げていきます。


……はい。考えてみれば、物語の作り方とほとんど同じですね(苦笑)。

でも、違う点がひとつ。僕はさっきの三つのポイントを考えると、あとは各キャラをとにかく自由に動かします。決めておいた範囲から逸脱しなければ、思いついたままに行動させるのです。

結果、冒頭で挙げた『展開を考えながら書く』ができるのですよね。これは本当に楽しいですよ。だからこそ僕はバトルシーンが好きなんだろうなぁ、と思うくらいに。


あ、もちろん心底なにも考えずに動かすわけではありませんよ?

僕の場合、とにかく『まだ出していない呪文と技』を使用させることに重点を置きます。

特に、ザコ戦は呪文や技を読み手に見せるチャンス。ここで『このキャラはこんな技や呪文が使えるよ』と読み手にアピールし、ボス戦で使った際に『そんな呪文があったなんて知らなかった、あと出しジャンケンみたいでズルい!』と思われないようにするわけです。

まあ、これを成功させるのはなかなかに難しいのですが。


そうそう、話は変わりますが、『乱戦』について。

『乱戦』では本当に各キャラの動きを把握するのが大変になります。そのため、僕は基本、乱戦時の敵は九割方をザコ敵にしちゃっています。

よく使用する描写は『次々と地面に這わせ』ですね。キャラの強さも伝わりますし、爽快感とスピード感も演出できます。

そして、そのスピード感を維持したままボス戦に入るわけですね。


次に、戦闘時の会話。

基本、戦闘が始まったら言葉はあまり交わされませんが、『知略』を持ち込むとそれが一変します。戦闘を中断させ、主人公の論理を口に出して説明させる、というシーンを入れる必要が多々ありますからね。

僕はその場合、あからさまに戦闘を中断させるのではなく、剣を振るって一旦間合いをはからせたりなどして、『隙を探る』という行為の最中に会話させたりしています。場合によっては、それを数回繰り返すこともありますね。

まあ、モンスター相手の場合は、モンスター相手に会話させるのではなく、仲間同士で作戦会議をさせる感じになりますが。


最後に、乱戦時における複数箇所での戦闘について。

これはまだネット小説では使っていない手法なのですが、一人称(ひとりのキャラの視点)であっても二箇所以上で同時にバトルを開始させることはできます。主に『複数人VS複数人』の際、敵の攻撃で戦力が分散されてしまったときに使いますね。

これも例を挙げてみるとしましょう。


AというキャラとBというキャラが敵の攻撃でバラバラになってしまったとします。敵の数も二体。

まずはAと敵Aとの戦いをAの視点で描きます。それをある程度やったら、先ほどの『戦闘時の会話』の手法を使います。

しかし、ここでやるのは『会話』ではなく、敵Aの攻撃を警戒しながらAが見ている、Bと敵Bの戦闘の様子。


この際、Aは完全な傍観者となります。

そして、Bが剣を振るって敵Bと距離をとったと同時に、Aと敵Aの戦闘を再開させます。

もっとも、このやり方はややスピード感に欠けます。実は、AにもBにもわかる『目立った行動』を誰かがとることでこの問題は解決するのですが、この手法は言葉で伝えるのが難しいのですよね……。


いずれ使うとは思いますが、それまでどのくらい時間がかかるか、正直、見当もつかなかったりします。

なので参考として、僕がバトルシーンを書く際の原点となっている本、長編『スレイヤーズ』(富士見書房)の『ヴェゼンディの闇』を挙げさせていただきますね。


確か、四巻の『聖王都動乱バトル・オブ・セイルーン』からは、そういった乱戦が描かれていたと思います。これを一体何度読んだか、という感じなのですよね。


……う~む、結局、どんなシーンであれ『読んで書く』が一番の上達方法なのですね、やっぱり。

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