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夢が夢のままで終わらないように

初出:2009年1月11日

今日は『応募について』や『選考委員はどこを見ているか』をちょっと書いてみようか、と思います。……まあ、本に書いてあったその内容をまとめておきたい、というのが本音なのですけどね(笑)。

でもここに書くことで、結果として、少しでも他の人の役に立てれば、とも思ったり。


まず、応募するときのマナー。

いくらなんでも、そんなことする人はいないだろう、と思っていたのですが、『小説本編以外の余計なもの』を添付して投稿してしまう人、意外と多いようです。

余計なものというのは、


・設定資料

・イラスト

・実はこのキャラには、こういう裏設定がある、という感じのことを記した紙

・自分の写真

・本についている帯のようなアオリ文句

・アピールするための手紙(『頑張って書きました』など)


といったところです。あ、でも実は一番最後のやつ、過去、僕も一度やったことがあるような……?


……まあ、忘れるとしましょう。過去に縛られていても始まりません。もう二度とやらないように――これからは常識をわきまえてやっていけばいいのです(汗)。


あと、これは僕も応募時に迷ったのですが、『封筒の選別』でしょうか。確か僕はキッチキチの封筒に入れて送ってしまったのですが(それで『三つの心』は賞をもらえたので、幸い問題はなかったみたいですが)、封筒は『原稿よりもひと回り大きい、しっかりした作りのもの』を使ったほうがいいようです。

なんでも、過去の僕のときのように、原稿とほぼ同サイズの封筒を使うと、出し入れが大変になり、それだけで『選考委員の心証が悪くなったり』、それを免れても、何度も出し入れされるうちに、原稿が折れたり、破れたり、ちぎれたり、最悪、『5ページ目がない』などといった『紛失事故が起きる可能性もある』のだとか。


さて、無事に投稿を終えたとき、大事になるのが、評価対象となる原稿そのものや、添付した梗概(あらすじ)の内容です。

ここからは、そちらについて触れていくとしますね。


まずは梗概の書き方から。

これはもう本当に、『しかしこのとき!』とか『なんと驚くべきことに!』などといった感じの文は使わずに、ただただ淡々と内容を『誰がどこに向かい、どんな出会いをし、こんなことが起こった』という風に書いていったほうがいいです。……いえ、いいです、というより、そうするべきです。でないと選考委員の心証が悪くなるようですので。


例として、『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』の第一話を使って、梗概を書いてみるとしますね。


<普通の梗概>


裏世界の組織で幹部をやっている青年、ファルカスは、同じ組織の幹部たちに命じられ、サーラという少女を暗殺することとなる。

しかし、いざ決行に移した彼は、そのサーラに返り討ちに遭う。怪我を負った彼は、今日のところは仕方なく退散するのだった。



ものすごくあっさりしてるな、と思われるかもしれませんが、これでいいと僕は思うのです。このお話で大事なのは、


・ファルカスが裏世界の組織で幹部をやっていること

・サーラという少女の暗殺を、複数の幹部から命じられること

・ファルカスが殺しの命令を承知すること

・ファルカスが命令を実行しようとしたこと

・暗殺は、返り討ちという結果に終わってしまうこと

・返り討ちの際に怪我をしてしまうこと

・不本意ではあるが、今日のところは退散すること


の七点です。特に梗概の最後にある『今日のところは~』は、命令遂行を諦めてはいないことを示唆していますし。


では、ついでに悪い例を示してもおきましょう。若干、自信過剰気味にやりますが、引かないでくださいね(笑)。


<悪い梗概>


裏世界の組織で幹部をやっている青年、ファルカスは、暗殺する対象である少女の家を眺めながら、同じ組織の幹部たちの命令を思い出していた。

戦の女神をかたどったものであると思われる石像にもたれるように座っていたクラフェルと壁にもたれかかっているルスティンが下した命令、それはなんと、ある少女の暗殺!

それにうろたえたファルカスは、最初、下っ端にやらせればいいと反論するが、クラフェルにブラッドを裏切るのか、と言われ、しぶしぶその命令を承諾することに。


時間は戻って現在。意を決して窓から暗殺対象である少女の家に<浮遊術フローティング>で侵入する彼。しかし、そのときだった! 謎の少女の声と共に飛び来る<激流水柱砲アクアラー・ブラスト>によって生まれでた水流! それによって、ファルカスは窓の外へと吹っ飛ばされる。

したたかに地面にその身を打ちつけられたファルカスは、もう一度<浮遊術フローティング>を使い、今日のところは退散したのだった。

しかし、これはまだ始まりにすぎない。彼の暗殺は果たしてどんな結末を迎えるのだろうか。



こんなところでしょうか。まず顔を出したキャラは全員名前を明記しています。そしてブラッドの存在もちゃんと示しました。

こだわりポイントである『戦の女神をかたどったものであると思われる石像』も書きました。

そして命令の内容。これはインパクトがあるでしょう。『!』も使用したことですし。

わかりやすくなるように、ファルカスの心情――人を殺したくはないと思っていることを、『下っ端にやらせればいい』という発言を入れることで表現してもいます。

あ、『しぶしぶ』でありながらも、結局は命令に従う、という風に、ブラッドへの忠誠心も表してみました。

さらに、です。回想していたことも表記し、どんな魔術を使って、どこから暗殺対象の家に入ったのか、そこでどんな魔術をくらい、どんな目に遭ったのかもちゃんと臨場感たっぷりに書いてあります。呪文名を記すことだって忘れてはいません。しかも、漢字の並びを見れば魔術の効果は予想がつく、という呪文名にしてありますので、それがどんな魔術か、という説明をするために文章を割く必要はありません。

あ、サーラの存在は第二話で明らかにしたいので、敢えて名前は出しませんでした。これに加えて、続きが気になるアオリも入れましたし、続きだって読んでもらえやすくなるはず!

うん! かんぺ――『八割方、余計なこと』です!


ツッコミどころが多すぎるので、一点だけに絞りますが、魔術の名前を出さなくても『空を飛んで』、『魔術によって発生した水流』でいいはずですし、そもそも暗殺を決行したこと、それが未遂に終わったことがわかればそれでいいのです。攻防の様子なんて、それが重要な伏線になっているのならまだしも、そうでないのなら書く必要はありません。や、重要な伏線になっていたって、本当に書くべきかは怪しいところです。



どうでしょうか? 悪い例がどれだけ読みにくいか、不快感すら与えるか、おわかりいただけたでしょうか? まあ、不快感を覚えたとしたら、それは大方、梗概のあとの解説文で、でしょうが(苦笑)。

ともあれ、悪い梗概というのは、読みにくい上に長くもなってしまうのですよ。梗概は大抵、短い文字数で書くことを求められますからね。こんな『悪い梗概』はあっという間に文字数もオーバーしてしまうことでしょう。


続いて、『選考委員はどこを見て評価しているのか』、に行ってみましょう。

一次選考にのみ限って言えば、それは結局のところ、


・出版社のカラーと合っているか

・『起・承・転・結』がちゃんと出来ているか

・賞や視点が変わるときに5W1H(いつ、どこで、誰が、なにを、どうした(なにをした)、その理由は?)のうちの(読み手にとって)必要なものが早い段階で提示されているか

・誤字脱字はないか

・漢字の開きは出来ているか(『出来た』と『できた』が混在していないか、など)

・カットアンドペーストの際の切れ端が残っていないか

・ちゃんと完結しているか

・重要な伏線はちゃんとすべて回収されているか

・最初と最後のほうで違う文章や雰囲気になっていないか


だけをチェックされる、といってもいいようです。

まあ、もちろんこれがすべて出来ているからといって、必ず一次選考を通過できるとは限らないと思いますけどね(苦笑)。


さて、次の二次選考から見られるようになるのが、


・物語の完成度

・作品そのものの魅力(世界観・キャラクター・地の文などなど)

・キラリと光るなにか(オリジナリティ、あるいはそれに近いもの)はあるか?

・視点の揺れ(Aというキャラの一人称なのに、Bの心情が地の文で書かれていないか、など)

・書き出し(つかみ)ができているか

・情景描写や心理描写はできているか


だ、とのことです。

そして、二次選考を通過できた作品が最終選考で審査されるのが、


・出版した際に読者に受け入れられるか

・将来性はあるか


になるのだそうです。


ううむ。道は険しい……。


あ、そうそう、最後に。

作品は書き上げたあと、最低でも三回は推敲したほうがいいそうですよ。誤字脱字、直したほうがいい表現なんかはその都度見つかるようです。たとえ、それがどんなに些細なことであっても。

あと、その最低三回のうち、最低一回は、プリントアウトして推敲していったほうがいいとのことです。

どんなに面倒に感じられても、ディスプレイ越しでは見落としていた誤字脱字の発見率が上がるとのことですので、『本気』でプロを目指しているのなら、そして、それで選考に残れる確率が上がるのですから、面倒臭がらずにやったほうがいいのだろうな、と思います。実際、僕は投稿前にやろうと思っていますし。


では、これを読んでくださっている小説家志望の皆さん。これからもお互い、頑張っていきましょう。

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