繋ぎイコール肉付け?
初出:2008年10月24日
今日はちょっと『繋ぎ』について考えてみようかと思います。
さて、ここしばらく『創作』系の専門書を読みながら考えていたのですが、まず書き方を限定するのは難しいですし、危険でもありますね。
なんといいますか、100人いたら100通りの『小説の書き方』があるわけですよ。
もちろん紹介されていた創作法は王道で、それに従えばかなりの確率で上手く書けるのですが、しかし、それも絶対ではないわけで。
そしてそれは、『繋ぎ』に関しても言えるわけで。
そんな中で最近見えてきた、『繋ぎ』も含めた僕にとっての一番『合っている』書き方は、
1.最低限やりたいことを書き出す
2.『1』を基にして、あらすじ(あるいはプロット)を書く
3.『あらすじ』から脱線しない範囲で、やってみたいエピソードを書き出す
4.シーン分けをし、各シーンごとに絶対に言わせたいセリフ(口に出してでも、心の中ででも)や絶対とらせたい行動を書き出す(シナリオを書く)
5.『4』で書いた『シナリオ』から脱線しすぎないように気をつけながら、そのときの気分でちょこちょこと肉付けしながら書いていく
といった感じのものでした。
思えば僕は昔から展開を『シーンごとに』考えるクセがありました。
『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』を例に挙げるとすれば、ファルカスがサーラの家の屋根裏部屋から叩き出されるシーン、ファルカスが夢(という名の回想)の中で、人を殺してしまったシーン、同じくブラッドに助けてもらったシーン、そしてファルカスとサーラが敵同士として対峙しているシーンや最後のクラフェルとの戦いの最中に、ルスティンが味方になってくれるシーンなどがありますね。
ここまでが『1』の作業というわけです。
で、次は『2』の作業。
『1』の状態から『帰納法』で、『なぜそんなことになったのか』をひたすら詰めていきます。
特にわかりやすく説明できそうなのが『サーラとの対決』でしょうか。これをやるには前提として、『サーラがファルカスに敵対する動機』が必要となってきます。
ファルカスは最初からサーラの暗殺を目的として動いていたのですから、このシーンは自然な展開となるのですが、サーラの心情を考えるとそう簡単にはいきません。
とりあえず、『殺されそうになったから反射的に』と『サーラには最初からファルカスに敵対する理由があった』の二つが動機(なぜそんなことになったのか)としては考えられます。
そして後者のほうがあちこちに伏線を張ることができます。なので前者よりも後者のほうが面白くなるだろうと判断し、この展開に決定。
こういう『掘り下げ』を各シーンごとにやっていったら細部が決まり、『ファルカスが、サーラと出会い、裏世界を抜ける』という簡潔なあらすじにまとまった、というわけです。
プロットにする際には、もっと細かく書く必要があります。
『裏組織に所属しているファルカスが、サーラを暗殺するために近づき、撃退され、偶然から再会し、護衛を頼まれ、敵対したのちに彼女に諭され、裏組織を抜けるためにクラフェルと戦い、その際に協力してくれたサーラと旅にでる』といった具合に。
もちろん、もっと大雑把に書く人もいますし、もっともっと細かくシーンごとにプロットを立てる人もいますよ。僕はどちらかというと後者ですね。
次は『3』。
例を挙げるとすれば、『ファルカスが抱いている、穏やかな暮らしへの憧れ』と『ファルカスに好意を抱いているキャラを登場させる』という『ラブコメ要素の挿入』でしょうか。『夜明けの大地』の第七話にあたりますね。
思えばこのエピソードに求めたのは、緊張感を緩めたい、というものだったのかもしれません。ずっと腹の探り合いを書いているのは疲れますからね(笑)。
さて、ここまで考え終えたら『4』に入ります。
『4』ではメインの作業が『繋ぎ』になります。つまり、僕の小説は事実上、ここで形としてはほとんど完成しています。もちろん『5』をやっているうちに書き足したり削ったりすることはありますけど。
で、ここで問題となるのが、僕自身、どうやって『繋ぎ』を書いているのかがわからないことだったりします。
なんというか、やりたいこと、やるべきことを順番にやっていくと、いつの間にかシーンが繋がっているのですよね。
とりあえず言えることがあるとすれば、まずそのシーンごとにキャラを自由に動かします。
すると……ううん、言葉にするのは難しいのですが、最初は雑談していたり、場合によっては、テーブルについているシーンだというのにキャラが『技』を繰り出したりするのですが(これはマジでなんでだろう……?)、動かしているうちに段々とノッてきて、スムーズにキャラが動いてくれるようになるのです。
…………。……あー、これじゃ全然参考になりませんよね……。
えっと、ちょっとだけ現在の脳内をさらけ出してみせましょうか。
1.脳裏に『テイルズオブデスティニー2』のオープニング曲(サビ)が流れ、ファルカスがブンブンと剣を振っている。
2.なぜか大声で『無理だー!』と叫んでいるファルカス。
3.雪山にいるファルカスとサーラ
ファル「寒い……。なんでこんなに寒いんだ……」
サーラ「雪山だからね……」
ファル「なんでお前はそんなに平気そうなんだ?」
サーラ「魔風神官のローブを着ているから、かな」
ファル「便利すぎるな、そのローブ。――火炎弾!」
サーラ「んー、これ以上は無理かな……」(<火炎弾>のことはスルー)
ファル「メシ……」
サーラ「マルツー、マルツー、マルツー♪」
ファル(笑いながら)「なーに、いきなり歌いだしてんだ」
サーラ「だって、寒いよ~」
ファルカスとサーラ、退場。
ニーナ「ていやぁっ!」(唐突に登場。拳を構えて前に突き出している)
……カオスです。ものすご~くカオスです(汗)。
それでも一応、分析はしてみるとしましょう。
最初、ファルカスが剣を振っているのはTOD2のオープニングムービーとかからの影響なのでしょうね。実際、どこで振っているのかも不明瞭ですし。
『無理だー!』は無茶振りにもほどがある、といった感じの僕の心境を表しているのでしょうか。まあ、振ったのも僕なのですが。……あ、いま雪山にいるのだから、大声を出してしまって雪崩が起きる、という展開を思いつきました。
そのあとからは、だいぶ思考がまとまってきてますね。ちゃんと舞台が設定されましたし。……まあ、セリフはまだまだカオスに満ちていますが。
セリフのほうは、まあ、ツッコミどころ満載です。サーラが『魔風神官のローブ』を着ているから寒くないと言ってみたり、かと思えば『だって、寒いよ~』とか口にしてみたり。……これはどう考えてもどっちかしか会話には組み込めませんね。
『マルツー、マルツー、マルツー♪』はこの章でマルツが出るから、でしょうね。最後にニーナが出たのも同様の理由かと。
ともあれ、『繋ぎ』を考えているときは本当に頭の中がカオスになるのです。ここから面白い会話に発展しそうな要素を見つけだして、膨らませていくのですよ。
あ、そうだ。『実際に執筆』である『5』に行く前に、何度か自分の頭の中で物語を『上映』するといいかもしれません。それも長編一作分をざっと流すような感じで。
とにかく大事なのは『脱線しないこと』ではなくて、『あらすじに変更を加えない程度に脱線させること』でしょうか。
あ、いや、『脱線しても、頃合いを見て本筋に戻すこと』かもしれません。
戻す方法としては、キャラのテンションを瞬時に戻すと不自然になりますので、状況を動かすこと。ツッコミなどでも割ともとに戻りますしね。
場合によっては『生徒会の一存』シリーズ(富士見ファンタジア文庫)を読んで分析してみるのもテです。あれの脱線→修正→脱線→修正っぷりはハンパありませんから。
これがなにかの参考になれば幸いです。




