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孤独な時間

初出:2006年12月5日

小説家になる人は大抵、『孤独な過去』を送っているそうです。

そう言われて思い返してみれば、『マテリアルゴースト』(富士見ファンタジア文庫)の作者である葵せきな先生もそれっぽいことを言ってた気もしますし、僕自身、孤独な高校生活を送ってました。

なんでも『孤独な』――言い換えれば『ひとりの時間』を持たなければ、自分の脳内にある考えをまとめることができないからなのだとか。

冬は一日中外に出られない、雪国出身の作家が多いのもそう考えると納得できる気がします。『スレイヤーズ!』(富士見ファンタジア文庫)の神坂一先生も雪国の生まれらしいですし(確証はありませんが)。


もっとも、僕の体験した『孤独な時間』は、普通の人の体験するそれとは若干違うものかもしれません。

まず友人がいなかったわけではありませんし、話しかけることを苦手とする性格でもありません。もちろん両親も健在ですし。


僕の場合、虚弱体質だったことが要因だったりするのです。あ、いまはもう割と普通に生活できるようになりましたけどね。

まあ、なので昔は、友達とどこかへ出かけるとか、そういう話題にはまったく参加できなくて、よく『もっと身体も心も強かったら』と思っていたものです。


僕がファンタジー要素を含む作品を多く書く理由はここにあるのかもしれません。基本、身体が丈夫で、なんでもできるキャラを書こうとしますから。

ウジウジした性格のキャラもほとんど書きませんね。きっと、豪快な考え方をしたいという自身の願望が作用した結果でしょう。


僕自身が弱気で強い身体を持っていなかったから、憧れである強いキャラを書きたかった。

思えばそれが『スペリオルシリーズ』を書き始めた理由かもしれません。

実際、『ザ・スペリオル~夜明けの大地~』のファルカスもサーラも、あの世界の一般人と比べると、圧倒的に強いキャラですからね。

また、『魔法』という要素を入れているのも、そういう僕自身の考え方が大きく作用していると思います。

要するに、多少身体が弱くても、魔法さえ使えれば常人を凌駕りょうができる、と考えていたのでしょう。

イメージとしては、魔法というのは口さえまともに動けば使えるものですし。


ただ、実際に小説を書くとなると、このキャラたちは物語を破綻させかねなかったのも事実で。

というのも、どんなチンピラもファルカスたちは一撃で倒してしまうんですよね。そしてどんな困難な状況もあっさりどうにかしてしまう。

当然、これじゃまずいぞ、となったわけです。

そこで登場させたのが外見は弱そうでも、実はファルカスよりも強いキャラ、ニーナという少女です(このキャラは『ザ・スペリオル』には未登場です)。


実は彼女も僕の憧れから生まれているんですよね、ああ見えても。

僕にとって、『一見弱そう。でも実は強い』というのは理想像だったりします。自身が弱そうに見えて、実際に弱いからこそ。

もし、ここ一番というときに『強さ』を発揮できたらどんなに格好いいだろう。

そんな考えからニーナは生まれました。

まあ、いま語ったのは『ザ・スペリオル』に限ったことですが、それでも、能力的に恵まれたキャラを書きたいと、当時の僕は真剣に思っていたのです。それが小説を書く、唯一といっていい『動機』だったのです。


高校を卒業した直後、ちょっとした理由からそういう理想像を『書くだけ』というのが虚しく感じられるようになり、二年ほど執筆断ちしていたわけですが、まあ、考え方も過去と比べるとだいぶ変わり、いまはファルカスたちも『等身大』のキャラとして書いているわけですが、やっぱりあの『孤独な時間』が――弱い自分を振り返る時間がなかったら、自分の理想を追い求めることもなかったでしょうし、当然ながら、ファルカスたちも生まれなかったでしょう。おそらく『まほらば』(スクウェア・エニックス刊)の二次創作作品をいくつか書いて、執筆をやめていたはずです。


ああ、またなんだかまとまりのない文章になってしまいました。

まあ、要は『孤独な時間があったからこそ、いま、小説を書いている』と言いたかったわけなのですが。

僕はどうも持論を上手くまとめられないなぁ……。

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