第三十五条 正当行為
第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
法令または正当な業務によって行われた行為は、罰しない。
これは、よく出てくる条文の一つなんだ。
例えば、傷害罪を考えてみよう。傷害罪は刑法第204条に規定されているんだけど、『人の身体を傷害した者』が罰せられるということになっているんだ。ここでいう傷害というのは傷つけるということで、普通であれば、ナイフで切るとか、包丁を突き立てるとかは罰せられることになる。当然、針で刺すというのも傷害罪になるわけだ。でも、針で刺すのは、医者も医療行為としてするよね。つまり、注射だよ。これも傷害罪として罰してしまうと、医療行為ができなくなってしまうわけだ。これはいけないということで、正当な業務であれば、罰することはないということになったわけ。だから、医療行為として医者などが注射するのは、罰されることはない、合法行為だからね。
法令の場合では、死刑を行うために刑務官が行う行為が、代表例として挙げられるかな。通常、『人を殺した者』は殺人罪となるんだけど、死刑の場合は、法律によって行われる行為なんだ。そして、そのボタンを押すのは、3人の刑務官になってるんだ。これを罰することは、法律を裏切ることになるよね。だから、法令に基づいて行う行為も、罰することはないんだ。




