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刑法私的解釈  作者: 尚文産商堂
第三十七章
316/338

第二百四十七条 背任

第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。



他人のためにその事務処理を行う者が、自己もしくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為を行い、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の有期懲役または50万円以下の罰金とする。


本人というのは事務処理をしてもらっている人のことを指しているんだ。この条文では、事務処理をしている人を対象にした身分犯としての規定となっているんだ。ここでいう事務処理をする人というのは、大審院判決大正3年9月22日によれば、契約や法令で義務として行う人だけではなく、義務がなくても行った場合の人も含まれているんだ。

自分や第三者利益を図ることを利得犯(りとくはん)、本人へ財産上の損害を与えることを財産侵害犯といって、これらを合わせて図利加害目的(とりかがいもくてき)犯というんだ。これについては、最高裁決定昭和63年11月21日によれば意欲や積極的認容まで必要ではないとしているんだ。つまり消極的なものであっても図利加害目的があったと認められる場合には背任罪は適用されるということになっているんだ。

財産上の損害というのは、最高裁判決昭和31年12月7日のような一番抵当権すべきものを二番抵当権に設定したような場合のような、経済的に本人の財産状態が、行った人の行為によって財産価値が減ったり、増えるべきものが増えなかったような場合のことをいうんだ。

ちなみに、背任は刑法だけではなくてほかの法律にも特別背任罪としてあるんだ。例えば会社法第960条から第962条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第334条といった感じだね。

他人のために事務処理を行っている人が、自らの利益もしくは第三者の利益を図る目的で、または本人に損害を与える目的で、事務処理任務に背く行為を行った場合や、本人に財産上の損害を加えた場合には、5年以下の有期懲役または50万円以下の罰金となるんだ。


[作者注:以下の法律を参考にしました。

・e-Gov>会社法(平成十七年法律第八十六号)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=417AC0000000086_20170401

・e-Gov>一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418AC0000000048


また、以下の決定、判決を参考にしました。

・最高裁決定>事件番号:昭和60(あ)714、決定年月日:昭和63年11月21日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50331

・最高裁判決>事件番号;昭和28(あ)3954、裁判年月日:昭和31年12月7日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51287

・最高裁決定>事件番号:昭和56(あ)411、決定年月日:昭和58年5月24日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50240

]

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