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刑法私的解釈  作者: 尚文産商堂
第三十六章
301/338

第二百三十五条 窃盗

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。



他人の財物を窃取(せっしゅ)した者は、窃盗の罪として、10年以下の有期懲役または50万円以下の罰金とする。


他人がもっているものを窃取することを、窃取行為というんだ。この窃取行為をした人は窃盗罪となって、10年以下の有期懲役または50万円以下の罰金となるんだ。

窃取罪は、占有権をもって所有者に正当に対抗することができる場合に成立するという大審院判決大正12年6月9日があるんだ。また、最高裁判決昭和26年8月9日では、『人の財物に対する事実上の所持』を保護するための規定だとされていて、『所持するものが法律上その所持を禁じられて居る場合でも現実にこれを所持して居る事実がある以上社会の法的秩序を維持する必要上物の所持という事実上の状態それ自体が保護せられみだりに不正手段によつてこれを侵すことを許さぬものであること』という判例で、違法なものを持っていたとしても、窃盗罪としては有効になるということになっているんだ。

窃取の客体となりうるのは、占有がはたらくものだというのは、これで分かると思うけど、大審院判決明治36年5月21日で可動性と管理可能性があったうえで、持ち続けたり動かすことが簡単なものだったら客体となりうるとされたんだ。また、相手が占有しているものであり、刑法上保護する対象とならないようなほぼ無価値の物を除いて、窃盗罪の客体となることになっているんだ。

ここでいう占有というのは、最高裁判決昭和32年11月8日で『人が物を実力的に支配する関係であつて』、支配内容は様々あるけども『必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在するを以て足りる』とされているんだ。つまり、人が物を支配しているうえで、その支配力が及んでいる範囲にいたら、占有は成立するとされているということだね。

窃盗罪が成立するには、この占有をするという意図があるほかにも、不法領得(ふほうりょうとく)の意思が必要とされているんだ。この不法領得の意思というのは、簡単にいえば、相手を無視して自分が所有する意思があるかどうか、ということになるかな。

他人の財物を違法に占有した場合、窃盗罪となって、10年以下の有期懲役または50万円以下の罰金となるんだ。


[作者注:以下の判例を参考にしました。

・最高裁判決>事件番号:昭和25(あ)1425、判決年月日:昭和26年8月9日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=67147

・最高裁判決>事件番号:昭和32(あ)2125、判決年月日:昭和32年11月8日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51567

]

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