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刑法私的解釈  作者: 尚文産商堂
第二十八章
262/338

第二百十一条 業務上過失致死傷等

第二百十一条  業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。



業務上必要な注意を怠って、それによって人を死傷させた者は、5年以下の有期懲役もしくは禁錮もしくは100万円以下の罰金とする。重大な過失によって人を死傷させた者も、同様とする。


ここでいうところの業務というのは、最高裁判所判決昭和33年4月18日によれば『人が継続して或事務を行うにつき有する社会生活上の地位であつて、その自ら選定したものを言い、その事務の公私孰れであると、報酬利益を伴うと否は何等関係』ないとしているんだ。つまり、業務はお金は問題ではなく、人が継続してあるいは事務を行う際の社会生活上の地位のうち自分自身で選んだもの、ということになるね。さらにいえば、最高裁判所決定昭和32年4月11日のように自動車免許の一時停止の状態であったとしても運転していて、業務上過失致死とされた例があるんだ。

客体となる人については、犯罪の実行時点ではなくて結果が発生する時点で人として存在していることが必要であり、胎児の場合には、業務上の過失によって病変を発生させて、出生後にその病変が原因として死亡した際には、すでに人となっている母体の一部に病変を起こしたうえで、生まれた子供が死んだということだから、業務上過失致死罪が成立したという最高裁決定昭和63年2月29日があるんだ。同じ決定によれば、業務上過失致死罪の公訴時効というのは、業務上過失傷害罪の時効が完成したとしても、被害者が死亡した時点から起算されることとなったんだ。

後段にある重過失は、本文では業務上であることが要件であったけども、重過失であったとしても同様の刑とすることとしているんだ。

このように、業務上過失傷害罪、業務上過失致死罪、重過失傷害罪、重過失致死罪については5年以下の有期懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金とされるんだ。


[作者注:以下のサイトを参考にしました。

・Wikipedia>業務上過失致傷罪

https://ja.wikipedia.org/wiki/業務上過失致死傷罪


また、以下の判決・決定を参考にしました。

・最高裁判決>事件番号:昭和29(あ)2523、裁判年月日:昭和33年4月18日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50421

・最高裁決定>事件番号:昭和31(あ)3408、裁判年月日:昭和32年4月11日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50512

・最高裁決定>事件番号:昭和57(あ)1555、裁判年月日:昭和63年2月29日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51209

・最高裁判決>事件番号:昭和30(う)2398、裁判年月日:昭和31年1月28日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=23742

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