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刑法私的解釈  作者: 尚文産商堂
第二十六章
250/338

第200条

第二百条[尊属殺] 自己又ハ配偶者ノ直系尊属ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス



自分自身または配偶者の直系尊属を殺した者は死刑または無期懲役とする。


これは、尊属殺重罰規定と呼ばれている条文で、明治40年の制定からあったんだ。その後の違憲判決を経て、平成7年の刑法の口語文への改正によって、他の尊属加重刑の条文とともに削除されたんだ。尊属殺の対義語は卑属殺で、親が子を殺すことをいうんだ。

尊属殺が重罰であるというのは、古代ローマ帝国のころからあって、日本国内でも養老律の八虐と呼ばれる最大の犯罪の一つとされたんだ。そもそも、これが作られた目的としては、昭和48年4月4日の最高裁判決では『尊属を卑属またはその配偶者が殺害することをもつて一般に高度の社会的道義的非難に値するものとし、かかる所為を通常の殺人の場合より厳重に処罰し、もつて特に強くこれを禁圧しようとするにあるもの』であるとされたんだ。社会的道義的に存続を殺すことは許されない、ということだね。さらに、尊属は卑属の行動について責任を負い、『尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義』であるため、『自然的情愛ないし普遍的倫理の維持』については刑法によって保護する必要があるとしているんだ。このため尊属の殺害を加重要件とする規定自身は違憲ではない。そういうことになっているんだ。一方で、その加重した結果、どのような刑にするかということについては、一定の根拠がないといけないとされ、死刑または無期懲役しかない規定は、憲法第14条1項に反するとしたんだ。どれだけ減軽したとしても、懲役3年6か月を下回ることができず、執行猶予が付くことができないから、という理由だね。

こういう理由で、尊属殺重罰規定は違憲だとされたんだ。ちなみに、立法趣旨自体が違憲だという裁判官もいたんだ。


[作者注:以下のサイトを参考にしました。

・Wikipedia>尊属殺法定刑違憲事件

https://ja.wikipedia.org/wiki/尊属殺法定刑違憲事件

・Wikipedia>尊属殺

https://ja.wikipedia.org/wiki/尊属殺

・Wikipedia>八虐

https://ja.wikipedia.org/wiki/八虐

・e-Gov法令検索>日本国憲法

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=321CONSTITUTION


また、以下の判決を参考にしました。

・最高裁判所判決>事件番号:昭和45(あ)1310、裁判年月日:昭和48年4月4日

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51807


また、以下の条文を参考にしました。

・日本国憲法>第14条1項

 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

]

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