第六章 逃走の罪
第6章は逃走の罪についてだね。これも、国家的法益を保護するための罪なんだ。
第97条から第102条までが第6章に割かれていて、これらが逃走の罪と総称されるんだ。このなかで第98条と第102条について合憲性が争われたという事件があったんだ。第98条は加重逃走罪、第102条は第6章全体の未遂を罰するという条文だね。これらの罪は、憲法第11条に反しているということが争われたんだけど、『憲法は理由があれば被疑者が拘禁され抑留されうることを認め且犯罪による処罰の場合には犯人に肉体的拘束が加えられること』を認めているということであるために、『未決若しくは既決の囚人が拘禁の苦痛を免れようとする衝動から逃走するのは、憲法が保障する自由を回復する行為ではない』としたんだ。そのうえで、『前記刑法規定は公共の福祉を保持するために自由の制限を認めたものであつて、所論のごとき違憲のかどは認められない』として合憲だといったということ。この判決では、憲法第31条、第34条において法律で定めてある手続きによっているのだから、これらは合憲だということでもあるね。詳しくは判決文を読んでみることを勧めるよ。
[作者注:以下のサイトを参考にしました。
・裁判所>最高裁判例
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56759
・法令データ提供サービス>日本国憲法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html
・Wikipedia>逃走の罪
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%83%E8%B5%B0%E3%81%AE%E7%BD%AA
また、以下の条文を参考にしました。
・日本国憲法>第11条
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
・日本国憲法>第31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
・日本国憲法>第34条
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
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