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「そこ片付けろ!」 「早く焼け!!」 「そっち遅いぞ!」 「時間が無いんだぞ!!」
男たちが叫ぶ中、『僕』の意識は覚醒した。
「廃棄はどこまで進んだ?」
まだ言葉は理解できなかった。――けれど、何か嫌なことが起こるのだと、空っぽの思考が感じた。
「あと少しで「急げ! 奴らが来る!」
男が言い終える前に、部屋に飛び込んできた男が叫んだ。
部屋の中は一層忙しくなり、数少なくなった、光を失った水槽に手が伸び、中にある『ソレ』を引き摺り出し、燃え盛る炎の中へと放り込んだ。
『僕』も同じ末路をたどるはずだった。
もしかしたら、『ソレ』も、『僕』だったのかもしれない。
隣の水槽の中の『ソレ』もいなくなり、部屋には『僕』だけになった。
騒いでいた男たちはいつの間にか消え、床には散らばった白い紙の上の紅と黒のシミと、肉片が散らばるのみとなっていたから。
それが、『僕』としての最初の記憶。
それ以前の僕は、これと同じように勝手な都合で生み出された、ただのゴミ。
それからの僕は、優良すぎる被検体から、廃棄処分の決定された欠陥品を演じれるように成長したんだ。