物件確保中です。(なんか忘れてるような?)
やっと抜け出たよ。
物件確保してイアスダス産の売り込みだ。
「セツラちゃん、よかったよ。」
カラさんが微笑んだ。
見とがめられずに待ち合わせ場所まで来ました。
王宮の裏門です。
やっぱり平々凡々は強いですね♪
「ごめんなさい、待った?」
待ち合わせの時間ギリギリだよ。
美形年下武人殿下がふだんしない膝上ダッコなんぞするから。
「大丈夫だよ、今日も可愛いね。」
カラさんがリップサービスをしてくれた。
「ありがとうございます、じゃ、行きましょうか?」
えーと、地竜車の停留所どこかな?
「地竜車はこっちだよ。」
カラさんが手をつないでくれた。
王都は不案内なんだよね。
地竜車は地竜が車輪の付いた箱(座席設置されてます。)を引くんだけど、王都の道は平坦だから揺れないな…。
イアスデスだと田舎だから案外揺れるんだけど…。
「でも、オズワルトの魔手から逃れられて良かった…。」
カラさんが言った。
オズワルトって美形年下武人殿下だよね。
王子殿下呼び捨てって不味いんじゃ…。
あれ…なんか忘れてる…。
「カラさんって…カーラアスト王太子殿…。」
と言ったところでカラさんに手で口をふさがれた。
一緒に乗っていた人たちが不審そうな目で見た。
「セツラちゃん、それ言っちゃダメ。」
カラさんが何気に迫力ある目で言ったのでうなづいといた。
「じゃ、はなすよ、」
カラさんが口から手をどけた。
「ああ、苦しかった。」
私は深呼吸をした。
「ごめんね、セツラちゃん、今の私は大企業の社長の跡取り息子だよ。」
カラさんが念押しした。
まあ…アイルパーン竜騏国っていう大国の跡取りだしね。
「うん、ごめんね、カラさん。」
まあ、私に関係ないか。
しばらくして地竜車が目的の停留所についた。
乗車券とお金を御者に払ってそとにでたよ。
「じゃ、行こうか?」
カラさんが手をつないでくれた。
地理不案内だから助かります。
本当ににぎやかだな…下町ってほんとかな?
そこかしこに小さいお店があり地竜がはいれない細い路地も沢山あるみたいだ。
買い物かごもったおばちゃんとかが歩いてるし…。
需要はあるかもしれない。
「こんにちは。」
やや古びた石造りの建物の前で売り主の老婦人と、不動産屋と落ち合った。
「こんにちは。」
老婦人はニコニコしていった。
「ずっと、ここで食堂をしていたの、夫が先の大戦で怪我をしたものだから、いつでも一緒だったのよ。」
老婦人は楽しそうに笑った。
色々な思い出が詰まっている店内は磨きあげられ
シンプルで素朴な内装で直売所のコンセプト通りだった。
さすがカラさん。
「ぜひ、契約したいです。」
こんないい物件見たことないよ。
「そう?嬉しいわ、私も年とったし、夫も見送ったから、商売をやめて、悠々自適な生活を送ろうと思ってるの。」
老婦人は言った。
価格を交渉して購入することになった。
普通賃貸探すんだろうけど…。
なんか、賃貸ってもったいない気がしてね。
単なる私の気持ちの問題なんだけどね。
契約して老婦人たちと別れた。
下町のカフェのテラス席で少しカラさんと休んでます。
値段は下町だけど王都だからイアスダスより少し高いかな。
「ワッフルのイチゴアイス乗せショコラソースか…直売所でもイートインコーナー作ろうかな?」
林檎パイとか南瓜パイのバニラアイスのせとかね。
「いいんじゃない?」
カラさんが優雅にコーヒーを飲みながら言った。
ああいう所みると高貴な人って言う気がするんだよね。
「セツラちゃんこれからどうするの?」
カラさんが聞いた。
「帰りますよ。」
イアスダスにね。
「オズワルトの所に帰るの?」
カラさんが言った。
え?なんでさ、やっと抜け出してきたのに
帰りませんよ?
「違いますよ、イアスダスです、じいちゃんも心配だし。」
ばあちゃんは大分前に亡くなってるしね。
「イグサ老は大丈夫だよ、お医者さんがついてるからね、いつかのデートの約束覚えてるかな?」
カラさんが微笑んだ。
そういやしたね。
「じゃ、イアスダスに帰ったらまた連絡しますね。」
早く、地元に逃げかえらないとね。
「王都から出るの無理だと思うけど…。」
カラさんが言った。
はて?犯罪行為はした覚えはありませんが?
「オズワルトが関所に顔写真まわしてたよ、父上もまだあきらめてないみたいだ。」
カラさんが言った。
「なんとか、なりませんかね。」
そこまでしてたとは知らなかった、公私混同いいとこだよ。
「…まあ、私と婚約でもすれば…里帰りできるようにするよ。」
カラさんが笑った。
「…あの、素晴らしい結婚相手が山ほどと聞いていますが?」
うん、誰かさんが言ってた。
「覚えていたようだな、さすがに。」
後から聞き覚えのある美声が聞こえた。
あたりがざわついている。
「オズワルト…まったく派手な登場だね?」
カラさんが呟いた。
おそるおそる振り向くといつもよりたぶん地味な庶民的な格好する努力をしたであろう
美形年下武人殿下が腕を組んで立っていた…。
あの、後の天竜がとっても目だってますよ…本人も美形な上迫力ありすぎです。
「…帰るぞ、兄上もこいつをそそのかさないように。」
美形年下武人殿下が言った。
「…セツラちゃんは君の事嫌ってるみたいだけど?」
カラさんがけんかを売った。
「…そうですか、関係ありません、帰るぞ。」
美形年下武人殿下はそう言うと私をまた肩に荷物抱きした。
「あのさ、それじゃ誘拐…。」
カラさんが呟いてる。
うん、そうだよね。
なにかんがえてるんだろうね。
と、いうか私が嫌いでも関係ないんだね。
それは…なんか嫌なんですが…。