王宮に留め置かれました。(家あります~。)
なんで、家があるのに王宮に部屋準備
させるんですか~。
「アサギとも会いたいのに。」
アサギは妹です。
私はイアスダスの領地で暮らしてるけど。
アサギは王都で暮らしてます。
こっちで生まれたからね。
お母さんは一緒です。
お母さん、田舎嫌いなんだってさ。
それにしても立派な部屋だな。
高い格子天井には四季のはながこぼれるように咲いたように絵が描かれてるし。
ソファーにはこの国の紋章の向かい合う天竜と地竜の間に槍のモチーフがついてるし。
暖炉まであるよ。
まだ、部屋があるみたいだし、すごいよね。
「セツラ姫、どちらになさいますか?」
ローレン女官さんが言った。
私より年下なのに既婚者らしいです。
女官に仕えてもらうような身分じゃ有りません。
「どちらにって?なんですか?」
まさか、カラさんと美形年下武人殿下の事?
そ、そんなこと聞かないよね。
「陛下の晩餐に招かれました、お召し物はどのようにいたしますか?」
ローレン女官さんが微笑んだ。
お召し物?晩餐?無理!
「なんとかご辞退させてください。」
晩餐なんかいきたくないよ。
「何をおっしゃいますの?名誉なことですのに。」
ローレン女官さんが強い目で言った。
つまり、パスは許さないと言うことですか~?
お召し物は信じられないくらい用意されてた。
衣装部屋に壁が見えないくらいのドレスの海。
なんか、壮観だわ、ある意味。
「晩餐ってなに着れば良いのかな?」
こう言う活動慣れてないんだよ。
「そうですね、お好きなものをどうぞ。」
ローレン女官さんが言った。
ええ?わかんないよ。
エセ貴族の姫は用のない話です。
「……本当になにもご存じ無いのですね。」
ローレン女官さんがため息をついた。
「すみません。」
うん、本当に知らない。
「では、こちらの水色に銀の刺繍のドレスにいたしましょう。」
ローレン女官さんが言った。
とたん、衣装着付けの人に囲まれた。
なんか大事だな。
女官って言うのはさ、結構貴族の娘さんとか奥さんとかがやってて、秘書官みたいな役割らしい。
だから、私より高貴に見えるよ。
「馬子にも衣装とはこの事ですね。」
ローレン女官さんが言った。
鏡に写っていたのはいつもより磨かれた。
でも、私だよね。
……こんなに胸元出さなきゃダメですか?
恥ずかしいんですが?
に、二の腕も出てるし、ふ、振りそで状態なんですが?
なんか隠すもんないですか?
「きちんと、おていれしないとですわね、まあ、効果が出るまでいらっしゃるかどうかですが。」
ローレン女官さんが少し嫌みっぽく言った。
たぶん、いません。
だから、いいです。
髪をゆったり、お化粧してるうちに時間がきた。
気分は売られてく家畜だよー。
「セツラ嬢。」
国王陛下が微笑んだ。
晩餐というわりに他の人がいませんが?
「お招きあずかり光栄でございます。」
私は遥か昔に教えてもらったレディの礼をたぶんした。
ま、間違えてないよね。
目をつぶってください。
「固くならずに。」
陛下が笑った。
固くなりますよー。
椅子引かれて座るのって緊張する。
家、どっちかって言うと優雅じゃありません。
カササダ竜騎兵団のOBの溜まり場、時々現役来るよ状態なんです。
「セツラ嬢は可愛いな、そんなに緊張しなくても良いのに。」
さりげなく(だよね、たぶん)陛下が私の手を握った。
「そんな、おこがましい。」
私は手を離そうと努力した。
陛下~握力いくつですか~?
ぬ、抜けないんですが?
「セツラ嬢、家の息子どもには渡したくないな。」
陛下が言った。
あの~、色気駄々漏れ禁止です。
「そうですよね、私みたいないきおくれおこがましいので、この話はなかったと言うことで。」
私は愛想笑いをした。
「セツラ嬢、息子どもはほおっておいて、私の後添いにならないか?もちろん、正室で。」
陛下が私の手の甲に口づけて言った。
「…あの…ご冗談ですよね。」
うん、そうだよ。
たしかに今この国に王妃はいない。
王妃様は敵国についた祖国に帰ったらしいって言う話だけど。
まあ、交戦はしてないけど、緊張状態なんですよ。
ぜひ、交戦しないで平和的解決を望みます。
「もちろん、本気だ、イグサ老が邪魔しなければ、息子どもが成人する前に招けたんだが。」
陛下が言った。
「冗談にしか思えません。」
国王陛下と結婚?
無理です。
「私は国のために前王妃と結婚した、だが、敵国に流れるのを押さえられなかった。」
国王陛下が言った。
そうか、政略結婚だもんね。
「大臣どもは、今度はオーレウス帝国の皇帝の独身の叔母との婚姻をもとめてきた…冗談じゃない、そんなの息子どもがすればいいんだ!」
国王陛下が言った。
「オーレウス帝国の皇女様ならさぞかし美人でしょうね。」
勇者オーダウエの子孫と言うオーレウス帝国の皇族は総じて美しいと言う話なんだよね♪
「私はセツラ嬢の方がいい、どのみちセツラ嬢は王家の誰かのものになるのだから、私がお買い得だぞ、セツラ嬢が宮廷生活が合わなければ退位して婿入りしてもいい。」
陛下がとんでもないことを言った。
ああ、まだ、食べてないのにお腹いっぱいだよ。
「まあ、このまま、かえれるとおもうな。」
陛下が獲物を見るような目で見た。
か、帰ります。
誰か助けてー。
「冷製のジーアス産ホタテのバジルソースでございます。」
前菜が出てきた。
美味しそうだけど
このあと食べられるの私?
絶対回避だよー。