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迎えが参りました?(あの~、結構です。)

ねぇ、その人だれ?

じいちゃん大丈夫?


「セツラ嬢か?」

その背の高い人は言った。


少し癖のある、金の長い髪は一つにまとめ、紫の目は吸い込まれそうだ。

騎竜用のたて襟長袖の長衣をきた姿の爽やかな若い美形武人だった。


「セツラ、なぜ帰ってきたんだ?」

じいちゃんが痛そうに言った。


「旦那様、私が呼びました。」

執事のカラロンス・ウーアズさんが言った。

「…そう、わかったよ。」

まあ、そうだろうね。

いかにも高貴そうだし、たぶんこの人が…。


「セツラ嬢、私があなたの許嫁のオズワルト・エスローアス・アイルパーンだ、アイルパーン竜騎国、第二王子でカササダ竜騎兵団の団長を拝命している。」

男性は言った。


「あの…冗談ですよね?」

うん、そうだよね。

「イグサ老から話は聞いてないのか?」

オズワルト殿下が言った。


「セツラ~、不本意ながらそいつがいってることは本当じゃ~。」

じいちゃんがうめくように言った。

「あの、私みたいな平凡な女なんていいことないですよ。」

そうだよ、体型は華奢じゃないし。

「約束は果たしていただく。」

オズワルト殿下が微笑んだ。


わーん、取り立てだよ~。

一番嫌だよ~。


私みたいな平凡な女には似合わないよ。

黒い髪と青い目なんてそこら中にいるし。

全然美人じゃない。

唯一、胸だけは大きいんだけどね。


彼氏いないはずだよね。


「イグサ老、痛そうだ。」

オズワスト王子殿下が笑った。

「く、こんなときに不覚。」

じいちゃんは寝たままうめいた。


「セツラ嬢、いこうか。」

オズワスト殿下が勝手に私の腕をつかんだ。


「あの、その件ですが、なんか別のもんで賠償させていただきたいのですが?」

美味しい魚とか野菜とか。


特産物だって珍味あるし。


「断る、では行こう。」

美形年下武人殿下はニコニコと私を抱き上げた。


…あのー、横に荷物抱きやめてくれないかな?


「殿下、令嬢にそれはちょっと。」

ついてきたヤヒコ・ウスアさんが言った。


カササダ竜騎兵団の事務員だ。

いつも来てるから案内役なのかな?


「ん?イグサ老の孫だぞ、逃げられるじゃないか。」

美形年下武人殿下は言った。


私さ、じいちゃんみたいに戦闘能力ないんだわ。


じいちゃんは若いもんが一度は憧れる、カササダ竜騎兵団の英雄です。


「セツラ姫は、見ての通りの女性です、趣味仕事、特技、陳列の真面目なか弱い女性何ですよ。」

ヤヒコさんがシレっと言った。


ヤヒコさんさすがだけど、個人情報は漏らさないでください。


「そうか、仕事より楽しい事がないんだな、これからは沢山可愛がってやるからな。」

美形年下武人殿下が笑った。


いえ、結構です。


「このくそ坊主!セツラを離しやがれ!」

まるで、うまれたてのヤギのようにヨロヨロとじいちゃんが立ち上がった。


さすがだ、じいちゃん。


「イグサ老、無理はいけない、侍医をよこそう。」

美形年下武人殿下が笑った。


じいちゃんがなんとか技らしきもんを繰り出した時、私は美形年下武人殿下の騎竜にのせられてた。


「殿下、イアスダスの野菜は美味しいですよ、それで、手をうちませんか?」

私は必死で言った。


「セツラ嬢、往生際が悪いぞ、すぐに王宮につくからつかまれ。」

鞍の前にのせられて固定された、頭は騎竜ヘルメットを被された。


竜は空に舞い上がった。

…故郷の町が眼下に広がる。

畑と田んぼがパッチワークみたいだ。

その向こうに農業用水の湖がきらめいている。

さすがザ、田舎だよ。

遠ざかる実家を振り替えると美形年下武人殿下の顔もついでに目に入った。


「寒くないか?」

美形年下武人殿下がそういって笑った。

「寒いです。」

だって騎竜用の格好じゃ無いもん。


アイルパーン竜騎国は竜がないと移動できないくらい広い。

でも、地竜(アースランナー)で大体すむ。

まあ、遠出は飛竜で行くけど…乗合竜もあるんです。

ちなみに個人所有のものもありますが、すごく高いんです。


まあ、最速はこの天竜でしょうが…。

ええ、小型ですが、機動力抜群のもので王都の竜騎兵はもちろん竜騎士はこのクラスらしいですね。


そういや、この美形年下武人オズワスト殿下は現カササダ竜騎兵団の団長だったよ。


「そうか。」

美形年下武人殿下が身を寄せて抱き込んだ。


あったかいけど…ノーサンキュウだよ。

でも暴れられない…落ちたら怖いもん。


「王都デアシルートだ。」

美形年下武人殿下が耳元で囁いた。


無駄にいい声にゾクリとした。


眼下にはうちの田舎と違う高い建物の街並みが広がり高い飛竜用の関所では

兵士たちが竜にのって警備している。


あそこで手続き中に逃げれば…。


「ご苦労だった。」

美形年下武人殿下は一言声をかけた。


関所の兵士が敬礼した。


フリーパスですかー。


「あれが我が家だ。」

嬉しそうに美形年下武人殿下が言った。


ひときわ高い塔を有する王宮がそこに広がっていた。


わ、我が家ですか?

住む予定がないのでかえしてください。

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