ただいま仕事中です。(来なくて良いです。)
本当に来るのかな?
じいちゃんのばか。
「店長!川魚のフライ弁当はどこに陳列ですか?」
店員のシエラさんが聞いた。
後ろに搬入しにきたおばさんがいる。
「もうすぐお昼だから、そこの目立つところおいておいて。」
お弁当コーナーを指差した。
最近、新鮮な地方の物産を買おうとする観光客も多い。
「セツラちゃん、こんにちは♪」
カラさんが来たみたいだ。
「こんにちは、物件はどうですか?」
決まると良いな♪
観光客誘致に王都で直売所をつくったらどうかと提案してくれた経営のプロだ。
ヤヒコさんが中に入ってくれたんだけど。
良いのかな?あんな安い謝礼で?
「結構感触良いですよ。」
カラさんが言った。
金の長い髪はいつもきちんとミツアミにしてるし紫の瞳の綺麗な人でいつも店の女の子たちが騒いでるよ。
もちろん、私もドキドキしてます。
どれくらいで物件が買えるかの方だけど。
「ありがとうございます。」
私は頭を下げた。
良いところなんだよ、下町なんだけど人通りが激しくて。
「お礼はキスがいいな。」
カラさんが言った。
うーん、からかわれてる?
「じゃあ、これで。」
ほっぺにキスしといた。
なんで赤くなる?
「…幸せだよ。」
カラさんが笑った。
そんなに幸せ?
「もっと、若い華奢な子が良いんじゃない?」
うん、私、華奢じゃないからね。
「セツラちゃんがいい、今度デートしませんか?」
カラさんが微笑んだ。
デートね…。
「ダルレーシスの牛肉料理ハナマ屋が気になってるんだよね、視察方々でよければ行きませんか?おごりますよ。」
これくらいしても良いよね。
「セツラちゃん、それ男の台詞だから。」
カラさんがガックリ肩を落とした。
あのハナマ屋、気になってたんだよね。
「店長、オレも行きたいな。」
惣菜担当のレイモンドが言った。
「じゃあ、みんなでいこうか?」
うん、その方がみんなで商品開発できるよね。
「それ、デートじゃないから。」
カラさんが言った。
デートしたいのか…。
「カラさんみたいな人なら彼女くらいいるんじゃないですか?」
レイモンドが言った。
うん、私もそう思う。
「ええ?彼女なんて居ないよ、仕事が忙しくてさ。」
カラさんが言った。
そうか、大企業の跡取りらしいもんね。
「じゃ、ハナマ屋いってる間ないかな?」
私は呟いた。
「そんなことないけど、二人っきりがいいな。」
カラさんが笑った。
「私みたいな、いきおくれより、若い子の方が良いんじゃない?」
カラさん年下だし。
「いきおくれって、それ、貴族的にはでしょう?一般国民的にはまだまだなんだから女捨てちゃダメよ。」
丁度通りかかったよく、買いに来てくれる高級料亭ダリアの女将さんが言った。
お店はこの地方じゃなくて隣のダルレーシスの中心部にあるらしいけど…。
高級料亭なんか行けないしな。
「セツラちゃん、私が企画するからデートと言うことで良いよね。」
カラさんが言った。
「まあ、カラさんがそれでいいなら。」
デートなんかどうしていいかわかんないや。
でも、ワクワクドキドキする。
「店長、ご実家から連絡ですぐに戻ってくださいとのことです。」
事務員のオルダさんがかけてきた。
もしかして、ぎっくり腰のじいちゃんになにかあったのかな?
「ごめん、かえるね。」
私は駆け出した。
じいちゃんはなんだかんだいって大事なんだよ!
家にかえってじいちゃんの部屋に駆け込んだ。
「じいちゃん!」
私は叫んだ。
「セツラ嬢か?」
誰かじいちゃん以外がいる?
背の高い人影が見えた。
誰?一体どうなってるの?
わけわかんないよ。