第三章 免疫免疫免疫
「わあ、助けて!」
ファルマスは背後から叫び声を聞いた。明らかに自分のスライムの兄弟がディルック卿の火の鳥に焼かれたのだ。
城門を飛び出したファルマスは、振り返るのを忘れなかった。目に入ったのはあの炎の鳥、そして赤い髪のディルック卿だ。その鮮やかな赤い瞳がファルマスと目を合わした瞬間、ファルマスは一筋の寒さを感じた。
「わくわく、まぶしい視線だな。」
ファルマスは跳び跳ねるスピードを速めた。なぜなら、ディルックが火の鳥の後に続き、すでに城外に逃げ込んだ彼に向かって迫って来るのが見えたからだ。
「ん、網の漏れた魚がまだいるのか?」
ディルックは鼻で哼んだ。
背後の炎がますます近づくにつれ、ファルマスは針のような刺 painfulな感覚に駆られた。ついに、彼は側門の果酒湖辺りにたどり着いた。
「こ、ここは水だ!入れない!」
ファルマスが振り返ると、ディルックの火の鳥が極近に迫っていた。
「賭けるか。」
歯を食いしばり、ファルマスは間もなく迫ってくるディルックを見た。彼はスライムらしい柔らかい身体を全力で圧縮し、跳び上がって火の鳥の頭の上に飛び乗った。
「免疫免疫免疫……」
その後に駆けつけたディルックは、火の鳥に押し出されて果酒湖の対岸へ飛んでいく火のスライムを驚きのあまり見つめた。そのスライムの口からは、何かを唱えているようだった。
「スライムの知能もここまで上がったのか?元素反応を使って逃げるなんて。」
ディルックは湖岸に立ち、ますます遠くへ離れていくファルマスを見た。少し自問自答した後、彼は頭を振った。
「ただの偶然かもしれない。」
その後、西风騎士団の後方責任者であるヘルタさんが、ため息もつかないほど息を切らしてディルックのもとへ駆け寄った。数秒間大きく呼吸をした後、湖岸に立つディルックに向かってお礼を言った。「お手数をかけました、ディルック卿。」
「いや、私もモンドの一員だ。酒場に呼びに来ればいい。」
ディルックは何気なく言い、カッコつけて大剣を収め、「天使の贈り物」という酒場へと歩き去った。
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「ああ、なんとか切り抜けた。」
豊かな囁きの森の中で、ファルマスはハトに向かって火玉を吐き、ハトが落とした鳥肉を飲み込んだ。
彼はさっきディルックの火の鳥に乗って果酒湖を渡り、囁きの森の奥深くまで飛んできた。あと少しで星落湖にたどり着くところだった。
「なんて強い火元素力だ。もし神の眼の力を少しでも取り戻せれば、こんなに隠れ隠れしなくて済むのに。」
ファルマスは星落湖のほとりでジャンプしながら魚を捕まえていた。さっき10数本の烈火精油を吸収した彼の体積は、最初の頃より二倍になり、半分の七天神像ぐらいの大きさになっていた。
「誰か一人、私をモンド城に連れて入れてくれる人はいないかな。」
数匹の魚を食べ終え、星落湖のほとりにいるファルマスは頭をかしげた。
「体積を少し圧縮して、荷物車に隠れて城に入るしかないか。」
「でも、入った後にどうやってバルバトスを見つけるんだ?合法的な身份が必要だ。」
ファルマスは燃え盛る花の縁に泊まり、慣れ親しんだ温度に気持ちよさそうに動きを止め、次第に目を閉じた。そこへ人間のはっきりとした喝声、そしてスライムの悲鳴が聞こえてくるまで。
「くっ、居然と寝てしまった!警戒せよ!」
ファルマスの停止した脳回路はすぐに目を覚まし、スライムと人間の声の方へ視線を送ると、星落湖の岸に白い美しい輪郭が浮かび上がった。それは一人の少女だった。
少女は背中の露出した白いドレスを着て、金髪のショートカットが特徴。首元のスカーフのような絹のリボンがなびいている。少女は体が軽やかで、疾風のようにスライムの群れの中を駆け抜け、長い白いストッキングを着いた細い脚で機敏な歩みを進め、手に持つ細い剣を巧みに振るって跳びかかってくるスライムを払い返した。
「見せてやる!」少女の喝声と共に、細い手の平を伸ばし、剣がスライムの柔らかい体を貫通した。瞬く間に数匹のスライムが数メートル先へ吹き飛ばされた。
「っ、残酷だなあ。」
ファルマスの楕円形の目が大きく見開かれた。少女の攻撃を受けたスライムは地面に転がり落ち、すぐに姿を消してしまった。
「ここにスライムがたくさんいる。」
少女は剣を鞘に収め、細い剣は背後に消えた。彼女は注意深くスライムが落としたアイテムを拾い始めた。
「スライムは生まれつき倒される運命の存在なのだろうか?」
ファルマスはアイテムとなって消えていく数匹のスライムを憐れみながら見つめ、この瞬間、ただ一声叫びたかった。「王侯斂将寧く種あるか?」
「蛍、なんでそんなに早く走るのよ?私もう追いつけないわ。」
この時、遠くからもう一つの柔らかで優美な叫び声が聞こえた。
可愛らしく小さな女の子が飛んできて、まるで浮揚術がかかったかのように宙に浮いた。
小さな女の子は薄いピンクがかった乳白色の服を着て、灯笼パンツのようでもなく、服の前には奇妙な記号が刻まれている。首元の濃い青の絹のリボンがファルマスの目に入った。きれいで長いまつげが金の瞳と共にパタパタ瞬きを繰り返し、霊気のある可愛らしい姿だった。
「私は早くモンド城に行きたいの。風の信者がたくさんいるって聞いたから、風が兄様の消息を持ってきてくれるかもしれない。」
白いドレスを着た少女は、間違いなくゲーム「原神」の主人公、蛍だ。
宙に浮かぶ小さな女の子は、間違いなく派蒙だ。袖付きのロリキャラである。
「でも、ちょっと焦り過ぎでしょ。」派蒙は口を鼓腫れさせ、少し幼々蒸した声で言い、鼓らせた頬はなおさら可愛らしかった。
「次は気をつけるね。」
蛍は頭を下げ、過ちを犯した少女のように派蒙の「保護者」に謝りを言った。
ファルマスの神経を引き戻した。彼は今やスライムだ。城に入ろうと思えば、地元の人を騙すわけにはいかない。もしティワット大陸に初めて来た異邦の旅行者を騙すのなら、十分可能だ。
そう思ったファルマスは、そっと重たい体を動かし、少女の蛍に話しかけようとした。
「蛍、あそこにスライムがいるよ。」
派蒙の星の瞳がちょっと潤んで、湖辺に深い紅色のスライムがいるのに気づき、慌てて叫んだ。
蛍は聞き、忍び寄ってくるようなスライムに気づき、再び細い剣が手に現れた。
「待って、待って!話せるよ、話せば!」
派蒙の叫び声でファルマスのスライムの体は震えた。彼の今の力と大きさなら蛍に勝てるが、彼の目的は蛍と戦うことではない。
「え?話せるの?」
剣の刃がファルマスのすぐそばで止まり、口から火玉を吐き出す準備をしていたファルマスも、ついに火玉を飲み込んだ。
「もちろん、交流は可能だ。」ファルマスは安堵した。




