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あなたがすき、だったから……。  作者: 友坂 悠


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9/30

あなたが好き。大好き。

 ◇◇◇



 侍従長の知らせに、あたしは嬉しさを隠しきれなかった。

 母さんが、目を覚ました。

 本当に、どれだけその言葉を待ち侘びた事だろう。

 あたしが心を込めて回復魔法を祈っても、びくりともしてくれなかった母さん。

 でも、いつの日にか目を覚ましてくれるんじゃないかって、そう願って、毎日の祈りを止めることはできなかった、けど……。


 呪詛返し。

 あの時。

 イライザ夫人は放心したまま意識ここにあらずの状態で、しゃがみ込んでしまっていた。

 お父様曰く、「マオが石化の呪いを跳ね返したからかもしれないな」と。

 闇魔法である石化魔法、石化の呪いは強力すぎる反面、こうした代償も、あったのだろう。


 もしかしたらそれで?

 母さんの呪いも、とけたの?


 だとしたら、本当に嬉しい……。



「フローラ!」


 病室に入るなり、そう叫んだお父様。


 あたしは、お父様の後ろ。

 もう10年も経っちゃったんだもの。

 母さんにあたしだってわかってもらえなかったら、悲しい。

 臆病だ。あたしは。



「エドワード、さま……」


 ああ、母さん。ベッドで身体を起こして、こちらを見て。

 しゃべってる、母さん。もう動いてる母さんの姿なんか、忘れかけてた。

 ああ。母さん……。


 あたしはもう我慢ができず、涙が溢れてとまらなかった。

 会えたのに、せっかく会えたのに、声をかける事もできず、泣き腫らして。


「マオ? そこにいるのは、マオ、ね。わたしの大事なマオ。大きくなったわね……」


「母さん、母さん、かあさーん!!」


 あたしは母さんのすぐそばまで駆け寄って、ベッドに縋り付く。


「ごめんね、苦労をかけたわよね」


「ううん、ううん、よかった。よかった。母さん!!」


 お父様があたしの肩に手を置いて、優しく微笑んでくれた。

 あたしはお父様と、場所を交代してあげる。

 きっと、お父様も母さんとおはなししたいこといっぱいあるだろうから。


「ねえ。エドワード。あなた、老けたわね。でも、だからわたし、マオのことすぐにわかったわ。ありがとう、マオを連れてきてくれて」


「ああ。フローラ。マオのことも、君のことも、もう離さない。覚悟してくれ」


 そう、母さんを抱き寄せる、お父様。

 あたしの肩をそっと抱いてくれる、兄様。


 あたし、しあわせに、なっても、いいの、かな。

 そうぼそっとつぶやくと。


「あたりまえじゃないか。マオのことは、僕がぜったいに幸せにするから」


 そう兄様が耳元で囁く。


「ありがとう、兄様。大好きよ」


 あたしもそう、こてんと兄様の胸に頭をつけて。


 もう一度、「あなたが好き。大好き」そう囁いた。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

なんとか誤解が解けた? のでしょうか。

マオが幸せになれそうな片鱗が見えたところで短編のストーリーは終わっていました。

こちらでは若干加筆修正して本文は増量していますので、変更分もお楽しみいただけたら幸いです。

さて。

ここから先は、

エドワード視点

アンソニー視点

フローラ視点ときて、もう一度マオに戻る予定です。

もう少しだけお付き合いいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。



そして……。


何か感じていただけたり、興味深い、面白い、と少しでも思ってくださったなら、何か反応をいただけるとすごく喜びます。

ありがとうございます。

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