第4話 幻想三姉妹次女 その1
【理沙】
これは来夢と霊夢が出会う少し前のお話。
私は理沙、お姉ちゃん達と儀式をしたら……こんな森の奥へ飛ばされた。
ここがどこなのかも分からない。
どれくらい歩いたか……極度の空腹が私を襲ってくる。
「みんなどこ……お腹すいた……」
私は空腹のあまり近くに生えてたキノコを食べる。
美味しかったけど、急に眠くなってきた……。
(おかしいな…疲れたのかな…もう耐えられない)
私はそのまま倒れるように眠りに落ちてしまった。
「………」
どれくらい寝ていたのか。
うっすら目を開けると誰かの家のようだった。
助けられたのか、ベットで寝かされていた。
(ここは…どこだろう)
私はゆっくり起き上がって周囲を見渡しながら歩く。
(クラクラする…)
まっすぐ歩けず足元がおぼつかない。
ゆっくりドアを開けると、たくさんの物が溢れていた。
(なんなのこれ、足の踏み場が……)
掻き分けるように歩くとこちらに向かう足音が聞こえた。
(誰かくる!)
「おお起きたのか!」
出てきたのは金髪の魔法使いだった。
「ひっ!」
私は急な出来事に驚いた。
「こ、怖がる必要はないぜ……体は大丈夫なのか?」
「もしかして、あなたが助けてくれたの…?」
「おう! キノコ採取してたら倒れてたのを見つけたんだ」
「そう……なの……ね」
私は安心すると体の力が抜けて床にへたりこんだ。
「わわわ! もうしばらく休むといいぞ」
「あ、ありがとう……私疲れてるのかな……」
「あの青いキノコを食べただろ?」
「キノコ……?」
「ネムリダケって食べると眠くなるキノコだ、熱を通せば食べることはできるけど」
「私、大丈夫なの?」
「毒自体は眠くなるだけだから、もう少し寝るといいぜ」
私は彼女に肩を貸しながらベットへ戻った。
次私は目を覚ませるのだろうか
こうなれば……と思い、彼女に話しかける。
「あ、あの……」
「うん?」
「これを……もし私のお姉ちゃん……来夢に会えたら渡し…て」
私は大事にしてるキノコのキーホルダーを彼女に託した。
「分かった、会ったら渡すよ。 それじゃおやすみ」
「うん、おやす……み……」
吸い込まれるように眠りにつく。
『コンコン』
しばらく寝ているとドアをノックする音で目を覚ました。
心臓がどくんと大きく跳ねる。
「魔理沙、いるの?」
女の子の声もドア越しで聞こえた。
魔理沙ってあの魔法使いのことだろうか。
「勝手に入るわよ」
ドアを開けると金髪ショートヘアーの女の子が入ってきた。
思わず布団を頭から被る。
「呑気にお昼寝?ほら起きて」
彼女はそう言うと私の布団を剥いだ。
「ひっ」
私は驚き身をよじる。
「あなた誰? どうして魔理沙のベットで寝ているの?」
彼女はそう言うと人形のようなものを差し向けて私の周りを囲ませる。
「説明してちょうだい」
目の前の光景に動揺し動けずにいると、彼女の背後から声が聞こえた。
「おいアリス! やめるんだ!」
「ま、魔理沙? これは一体どういうこと?」
「おいおい病人を怖がらせちゃダメだぞ」
「まさか魔理沙が看病していたの!?」
「別にいいだろ……というか勝手に人の家に入ってるアリスもアリスだぜ」
「開いてたからいるかと思っただけよ」
「せめて家の前で待つかしてほしいぜ……」
「基本不在でしょ、そういうことよ」
「はあ……アリスが悪いことしてごめんな」
「う、うん……」
とりあえず誤解は解けたようだ。
わだかまりが解けお互い自己紹介をすることになった。
「私はアリス・マーガトロイド、人形を操る魔法使いよ」
「私は霧雨魔理沙、同じく魔法使いだ。魔理沙でいいぜ」
「私は……理沙」
「あら、魔理沙と名前が似てるわね」
「これは偶然ってやつだ!」
アリスの茶化しに魔理沙が対応している。
「理沙か、よろしくな!」
魔理沙は笑顔で答えた。
「さっきはごめんなさい、怪しい者かと」
アリスが先の件で謝ってきた。
「まったくアリスも早とちりだぜ」
「詳しい話は後で魔理沙に聞くことにするわ」
「そうだ、さっき理沙のお姉さんに会ったぞ」
「もしかして来夢お姉ちゃん!?」
「ああ、そうだぜ。今は博麗神社でお手伝い中さ」
「すぐ会いたい!」
私は立ち上がったが、すぐに頭がクラクラしてベットにもたれこんだ。
「大丈夫か!? まだキノコの毒が抜けきれていないんだ」
「魔理沙、彼女に変なもの食わせたの?」
「違うぜ! 後で詳しく話すから」
「すぐにでも会いたいのに……グスッ」
私はこれまでの孤独とかつての辛い日々を思い出すと、自然と涙が流れた。
「お姉ちゃんに……会いたい……」
私にとって姉は私達を守ってくれた存在、だからこそ会えないもどかしさに涙を流し続けた。
魔理沙は私の肩に両手を乗せてきた。
「大丈夫だぜ、治るまで私が守るから……動けるようになったら一緒に行こう」
「うん……」
私は魔理沙の言葉にさらに感極まり抱きついた。
気がついたら涙は止まり、気持ちも安定してきた。
「ほら、もう少し寝るんだぜ」
「うん…ありがとう魔理沙」
「へへっ」
人の温もりってこんなにも素晴らしいものだったんだ。
私は彼女の温もりを思い出しながら、すぐに眠りについた。
~その頃魔理沙とアリスは~
理沙の寝息を確かめると、魔理沙はそっと扉を閉めた。
「彼女は寝たの?」
アリスは腕を組み、人形を肩のあたりでふわりと浮かせながら尋ねる。
「うん、ぐっすり寝ているぜ」
魔理沙は帽子をかぶり直し、小声で答えた。
「それじゃ、あの子の件を説明して」
「ああそうだったな」
魔理沙は散らばったキノコを拾い集めながら続ける。
「私がキノコを取りに行ってると倒れてたんだ。近くにかじられたキノコが落ちてたから、それですぐ分かった」
「なるほど……毒の影響で今に至るわけね」
アリスは小さく息を吐く。
「魔理沙の寝る場所は大丈夫なの?」
「理沙が治るまではソファーで寝るつもりだ」
山積みの本をどけながら、魔理沙は肩をすくめた。
「ま、無理しないことね。私はそろそろ帰るわ」
アリスはドアノブに手をかける。
「おう、またなアリス」
ドアが閉まり、部屋に静けさが戻る。
「少しは片付けるか…」
魔理沙は散らかった部屋をぐるりと見渡し、頭をかくのであった。




