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東方幻想三姉妹  作者: 月影ノ吉花
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第1話 幻想三姉妹長女 その1

来夢(らいむ)


私は今、見慣れない土地に立っていた。

辺りの空気が重く、森の匂いが肺の奥まで入り込んでくる。

あの時私たち三姉妹はここに来るために儀式を行った……。

現世でやることは許されないであろう儀式を。


あてもなく森を歩いたが、同じような景色ばかり。

気がつけばあの儀式を行ったことへの自責の念と、妹たちのことで頭がいっぱいになっていた。


少し広い平原を見つけて私が休んでいると背後から物音がした。

何者かが歩み寄る足音、私は恐怖で足がすくみ動けない。

やがてソレは私のすぐ後ろまで来て耳元でささやいてくる。


「オソレロ……モットオソレロ」


ソレに顔を掴まれて無理やり振り向かされた。

指は冷たく、爪が皮膚に食い込む感触に震えが止まらない。

目の前にいる鬼のような形相をした怪物。

どうすることもできずにいると遠くから声が聞こえた。


「その子から離れなさい」


女性の声だ。ソレは驚くと同時に私から離れる。

声のするほうへ振り向くと巫女のような格好をした少女がいた。


「キサマ……ジャマヲスルナ」

「なんなのよこいつ……でもその子に危害を加えようとしているのは分かるわ」

「オマエモケス」

「消えるのはあなたよ」


彼女は迷うことなく札を取り出すとソレに投げた。

お札が触れた瞬間、ソレは叫び声と共に消え去る。

目の前のことが理解できなかったが……不思議と彼女となら一緒にいたいと感じた。


「あなた里の人間じゃないわね、迷いこんだ感じかしら?」


彼女は私に話しかけてきた。


「あ、あの……! 私をあなたの弟子にしてください!」

「はぁ? いきなり何?」

「お願いします!」

「悪いけど私はそういうのはとらないのよ」


分かってた、でもここで現世に戻されても地獄が待っているだけだ。

だから何回も必死に頼んだ。

どれくらいの時間頼んだのか……ようやく相手が折れる形で受け入れてくれた。


「私には……もう帰る家もないんです! お手伝いでも何でもします!」

「はぁ……もう分かったわ……その代わりに掃除洗濯全てやってもらうわよ」

「ありがとうございます!」


ようやく彼女も受け入れてくれた。

妹達が心配だけど……まずはここで頑張らなくちゃ。


「あら霊夢、弟子なんかとったの?」


どこからともなく声が聞こえた。


「その声は……八雲紫(やくもゆかり)!」


謎の空間から女性が上半身を出していた。

この時あの巫女の名前が霊夢(れいむ)だと知った。

そして空間から出てきた女性は八雲紫という名前であることを。


「別に弟子でもないわよ……色々頼まれて疲れてるのだから」

「早く帰りたいなら私のスキマを使ったらどう?」

「あんた何をたくらんでいるわけ?」

「単に面白そうだと思っただけよ。あなたもずいぶんと面白いことを言うのね」


紫は私のほうを見て微笑む。

一体私はどうなるのだろうかと思ったが不思議と恐怖は感じなかった。


「言っておくけどこれは見せ物じゃないわよ」

「ふふふ、さあどうする?」

「はあ…ほら行くわよ」


霊夢は私の手を取ると一緒にスキマに入る。


「ほら着いたわよ」


スキマの向こうには緑に囲まれた神社になっていた。


「落ち着く場所……」


思わず心の声が出てしまった。


「そうかしら?」


霊夢はそっけなく答えてきたけどどこか嬉しそうに見えた。


「霊夢ったら、まんざらでもなさそうね」


背後から紫が話す。


「あんたいつまでいるつもりよ……」

「お邪魔だったかしら? じゃあごゆっくり」


そういうと彼女はスキマに入って消えていった。


「はぁ……まったく」


霊夢はため息をつくと私を見てきた。


「私の弟子になりたいなんてずいぶんと変わっているわね」

「い、いえ……私は助けられた恩もありますし」

「自己紹介がまだだったわね。私の名前は博麗霊夢(はくれいれいむ)、霊夢でいいわ」

「私は来夢といいます……」

「来夢…なんか私の名前に似ててややこしいわ…」

「あはは……」

「じゃあ来夢、さっそくだけど外の掃き掃除をしてもらうわ」


彼女は私にほうきを渡すとすぐそこの大きな家に入っていった。

あっという間だった。

でも……これが私にとって、大きな一歩でもあるはずだ。

そう思いながら掃除を始めた。

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