第8話 十戒
「ユキ、紹介する。こいつらは私たちを含めて十戒と呼ばれる、幹部だ。」
「……“たち?”」
「ユキも十戒に入るぞ?」
「わ、わたしもですか?」
「もちろん。魔王と魔王の妻……つまり魔王妃も十戒に入る。……まぁ、昔からのしきたりみたいなものだ。まあなんだ、二つ名みたいなものだとでも言っておこうか。」
「な、るほど……?」
「魔王である私は『敬神』。魔王妃になるユキは『純潔』。」
「へぇ……私は『純潔』なんですね。」
「清廉潔白なユキにふさわしい名前だな。」
「あ、ありがとうございます……?」
「隙あらば口説こうとするの目に毒なんでやめてもらえません?」
そんなツッコみをスルーしてユキノに説明を始める。
「…………じゃ、年齢順で紹介するな?」
「あ、はい。」
なんとなくしゃきっと姿勢を正す。
「まず、この中で最年長、そして大賢者〈グラン・サージュ〉である高位精霊人族、『信仰』のフィーデ・ヴェルティス。」
「妾がフィーデじゃ。よろしゅう。」
「よ、よろしくお願いします……。」
(エルフ……本物だ……。この人女の人なのか男の人なのかが分からないな……。)
彼? 彼女? の容姿は森のような澄んだエメラルドグリーンの瞳と長くて綺麗な金髪だった。
耳はエルフなので当然長い。
すごい美形……。さすがハイ・エルフ。
「あ、先に言うておくが妾は男じゃ。」
(……あ、男の人でしたか……)
「次に聖者〈ル・サン〉であり、この中では2番目に年長で竜族、『慈愛』のルマテディオス・ヘルトンと『無欲』のゼルスプロト・ヘルトン。」
「僕はさっき会ったよねぇ〜? 僕がルマテディオス。よろしくねぇ〜。」
「私がゼルスプロトです。よろしくお願いしますね。」
2人は軽く捻れたツノをもっていて、ルマテディオスさんのツノ先と髪先と目は緑色、ゼルスプロトさんは青色、ってかんじだな。
ルマテディオスさんはタレ目、ゼルスプロトさんはツリ目といったところか。
「あ、はい。よろしくお願いします。……ええと、同じ苗字……ってことは双子さん?」
年齢と苗字が同じみたいだから双子かと思ったんだけどあまり似ていない気がする……
「ええ。そうです。」
「ちなみに僕が兄さんだよ〜。」
(……え、逆かと思った……。)
「逆かと思ったって顔してるねぇ〜?」
「まぁ普通は逆だと思いますよね。逆なんじゃないかといつも言われます。……でも、私からしたらかっこよくて器量のいい、自慢の兄ですよ。」
「えぇ〜!? なになにぃ〜? かわいいこと言ってくれるじゃ〜ん!」
「……。」
(……うん、仲が良さそうで何よりです……。)
あとから聞いたところ二人は実の兄弟ではないらしい。
ゼルスプロトさんがまだ生後3ヶ月くらいの時ご両親が馬車の事故で亡くなってしまって、ルマテディオスさんのご両親がゼルスプロトさんのご両親と仲が良かったので引き取ったらしく、兄弟同然に仲がいいんだとか。
あと、2人は番らしい。まぁびっくり。
だからあんなに仲がよろしいんですね……?
竜人には必ず番がいるそうで、それは男か女かはあまり関係ないんだそうだ。
つまり、男の人と男の人、女の人と女の人、ということもある、……らしい。
……いや、らしいと言うかまぁ目の前にいるんだけれども。男×男。
「あ、そうそう〜名前長くて呼ぶのめんどくさいだろうから僕のことルルスって呼んでいいよ〜。」
「では、私のことはゼルス、と。」
「はい。わかりました。」
「次は軍部の第一魔王国騎士団団長〈プルミエール・グラン・シュヴァリエ〉であり、黒鬼族の『不殺』フリエ・アムネシア。」
「フリエだ。まァ、お袋が紅鬼だから正確に言うと黒紅鬼、だけどなぁ?
まあ、よろしくなぁ、嬢ちゃん。」
「よろしくお願いします。」
(え、嬢ちゃん……???? って私のこと???)
彼は黒鬼というだけあって髪の毛は黒かった。漆黒。
目は紅鬼というお母さん似なのか、赤かった。
左側の額に黒い立派なツノが一本生えていて、生え際に行くにつれて赤くなっていてとても綺麗だ。
そして耳は少し尖っている。
……なんだろう、ルーゼ様に少し似てる気がする……?
「ちなみに俺とフリエは従兄弟だ。」
「あ、なるほど。だから少し似てるんですね。」
「俺のお袋は魔王サマのお袋の妹だからなぁ。」
「へぇ。」
いいなぁ。うちは両親がどっちとも一人っ子だったから従兄弟とかいなかったなぁ……。
あ、従兄弟ってことは……
「もしかしてルーゼ様の小さい頃のお話とかってあります?」
「あ? あぁ。あるぜ?」
「わ! 是非聞かせてくださいっ!」
「ちょ、ダメだ!」
「えぇ……。」
(目に見えてしゅん、としている……うう……心が……痛む……)
「ダメ……ですか……?」
上目遣い&少し涙目を繰り出されたらもうダメだとは言えず……
「わかった……少しだけな、少しだけ!!」
そう言った途端。
「やったっ!」
となんかぱぁぁっと輝いてるように見える満面の笑みで笑った。
(まぁ、この笑顔が見れたから良しとするか……)
とことんユキには甘い魔王様でした。
そして失礼にも私が思ったことを言わせてもらいますと。
『不殺』どころか人めっちゃ殺してそうなんですけど————!!
————はい、まあそんなかんじの見た目でした。でも性格は面白くて優しい方です、性格は。
「……ゴホン、次に吸血鬼族、『真実』のローズ・アンテロガトワール。」
「よろしくお願いしますわね、ユキノ様。
あ、わたくしのことは是非ロゼとお呼びくださいましね。」
「よ、よろしくお願いします。ロゼさん。」
(うわぁ〜すごい美人……!)
ロゼさんは赤紫色の(赤紫といっても全然ケバケバしてなくてすごい上品な感じの赤紫色!)ウェーブがかかってる、ふんわりした感じの髪に、翡翠色の瞳を持っている。
「ちなみに所属は……」
「ちょっ!! 「あん……むぐ!?」な、何でもないですわ!」
「あん?」
あん……とはなんでしょうか……?
「(魔王様っ! あんな純粋な子に〈暗部〉のことを伝えるのはちょっーと早いのではなくて!?)」
「(! あぁ、それもそうか……)」
「???」
「ごほんっ、次は悪魔族、『忍耐』のパティエンティア・ディアーブル。」
「(所属は……言っていいのか?)」
「(あはは、ダメですっ!!)」
「よろしくお願いします! ユキノ様!! あ、私のことはぜひパティと!! よんでくださいっ!!」
「あ、は、はい、パティさん。よろしくお願いします。」
(げ、元気な人だなぁ〜……すごいふわふわしていて可愛らしい。)
前髪は眉より上でパッツンになっており、後ろ髪はショートヘアでふわふわだ。
ツノは羊のようなくるくるとした丸っこいツノだった。
髪はプラチナゴールドで、目は薄水色。
めっちゃかわいい。
「えへへ、羊みたいでしょう? よく羊の獣人と間違われるんですっ! でも耳とか尻尾が羊の獣人と違うんですよ?」
ほら、と見せてくれた尻尾は確かに典型的な悪魔の尻尾だ。
あの、矢印みたいなやつ。
「おーい、次行っていいかー?」
「あ、ごめんなさーい。大丈夫でーす。」
「次に獣人族で雪豹の獣人、『沈黙』のレオパール・ジュネバルト。」
「……よろしく。」
「よろしくお願いします。」
(わぁ~“沈黙”って名に相応しいくらい表情変わらないし静かそうな人だな……あと耳と尻尾がかわいい。もふもふしたい……。)
彼は薄銀の髪に澄んだ空色の瞳を持った人だった。
髪はマッシュヘアで、目はツリ目。
もふもふの耳と太めの尻尾がとてもかわいい。てか見た目のギャップがすごいな。
「所属は大司書〈カリウス〉と竜騎士団緊急発動隊〈ノフゼンタル〉だ。」
「え、二つも……ですか?」
「本人はのんびり……というか静かにしてるのが好きなんだが獣人族の中でも身体能力が高い雪豹族だし……それに竜の片翼になったのが決定打だったな。」
「竜の片翼?」
「あー、竜の片翼ってのは竜……つまりドラゴンだな、ドラゴンが自分の相棒を選ぶことがある。それでレオは竜に選ばれたって訳だ。」
レオ……はレオパールさんのことかな?
「……僕は雪山の実家がある草原でのんびりしていたらアイスドラゴンが急に隣に来て一緒に本を読み出しただけですよ。」
そんなことありますかね?
「それがまずあり得ねーんだよ。」
思わずフリエさんもツッコんでました。
「最後が堕天族の『安息』ヴァイロン・ファーレン。」
「魔王様ー? 僕確かに堕天族だけれどー。一応悪魔族の血も引いてるからねー? あ、ユキノちゃん、よろしくねー?」
「よろしくお願いします……?」
(なんか、この人初めて会った気がしないな? なんだか懐かしいような感じがして……。黒髪で日本人っぽいからかな? いや、顔つきは全然日本人じゃないけど……しかも黒髪ならフリエさんもいるし気のせい……かな? それより、さすが堕天族……真っ黒で綺麗な翼がついてる……)
彼はツリ目の糸目で、薄らと見える目の色は金色だ。だけど左目は隠れているので色がわからない。色、違うのかな?
髪は濡羽色の綺麗な髪で、前髪の左側が頬くらいまで長さがある。
横髪は右側が長く、肩くらいまである。左側は前髪と合わせてある。
後ろ髪はショートカット。
なんて言うか……そう、アシンメトリーだ。
彼の髪は結構アシメトリーだな、と思った。
右の横髪が一番長い。後ろ髪よりも横髪が長い人って中々いないよね……?
でもなんか似合うから不思議だ。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
更新日いつもバラバラでごめんなさいー
忙しいけど頑張るぜ…!!
ルルス×ゼルス尊い!!って思った人はぜひ★をよろしくお願いします!
あ、ちなみにローズ・アンテロガトワールのアンテロガトワールはフランス語で『尋問』。
なんか辞書見てたらちょうどいいのがあったんで採用してしまった…なんか『真実』にぴったしだなぁと。
レオパールは豹、ヴァイロンはオッドアイ。
辞書って見てるだけでなんかいい名前がいっぱいあるんでついつい見ちゃうよね…。
これからもこの作品をどうぞよろしく!!




