第4話 魔王様
「あの、魔王様……?」
「……」
「ええと……?」
「……俺のことはルーゼと呼べ。」
「え!? いや、そんな、魔王様に馴れ馴れしく愛称なんて使えない、です。」
「別に良い。ユキノは私の番だから。……ほら、」
「う、うぅ……る、ルーゼ、……様……」
「……本当は様も要らないのだが……まぁ、それはまたおいおいで良いか……では、俺もユキノのことをユキとよんでも?」
「え、は、はい。」
「やった。」
ベルゼヴァールはとても嬉しそうに笑った。
『へ、陛下が笑ってる……!?』
『明日は槍が降るぞ……!』
『いや、雷だろう……!!』
『明日この世界滅ぶんじゃないかしら……!?』
どれだけいつも笑わないのか、周りはとてもざわついていたが生憎ベルゼヴァールはユキノといちゃいちゃ(?)していたため気が付いていなかった。
バレていたらきっと明日は半殺しの刑執行中になっていただろう。
まさにユキノ様様である。
そしてその時ユキノは初めてベルゼヴァールときちんと目を合わせた。
金色の瞳に、黒色の髪。
その黒い髪は長く、腰くらいまでの長さがある。いつも流しているらしい。
毛先が少し赤っぽくていかにも魔王ってかんじだ。
頭から生えているツノは先が鋭く、まるで絵に描くような鬼のように細めでしなやかに反っているツノだった。
色は黒くて、先にいくにつれ赤くなっていて、まるで彼岸花みたいでとても綺麗。
耳はエルフと人間の間くらいか。
言うなれば、人間の耳を少し長く、尖らせたかんじ。
目は先ほども言った通り、金色で、それをふちどるまつ毛はとても長い。
はっきり言おう。
男経験のないユキノでも分かる。
ベルゼヴァールはとてもイケメンである。
とっっっても顔が整っている。
それはもう、芸術作品と思うほど。
ユキノが無意識にじーっとベルゼヴァールの顔を見ていたからかベルゼヴァールは徐に立ち上がり床に座っていたユキノを抱き上げ、そこら辺にあった台座に座らせて
「ン? 俺の顔がどうかしたのか?」
と言いながらユキノの顎に手を添え、つい、と上を向かせた
「っ!?」
そして、先程も言った通りユキノには全くと言って男性経験がない。
……こんなに異性に近づかれたことも。
「……ぁ、あぅ……ぁ、あの……ちょ、ちか……れす……はな、れてくらしゃぃ……」
そして今、ベルゼヴァールが自分の目の前にいることで顔を真っ赤に染めていた。
「ふふ、噛んだところもかわいいな。顔が赤くなってるぞ。そんなところも初で実に愛らしい」
「あ、ああああ愛らしい!?」
「本当、耐えられる自信がないのだが。」
「……た、耐える……? って、なに……? な、何か私のせいで耐えなきゃいけないことがあるんですか……!? 私を気にしてるのなら別に耐えな……くて……も…………? ……ぁ、……ええと?」
ベルゼヴァールがユキノの右腕を掴んで ぐっ、と顔を寄せる。
「……本当にその意味が分かって言っているのか?」
「ふぇ?」
どうやら分かっていないらしい。
「襲っても良いのか、と聞いているのだ。」
「お、おそう……?」
これでもまだ分からないらしい。
まあ、いくら普通より頭が良くともまだ13歳なのだ。分からなくても当然なのだが。
ベルゼヴァールはユキノに少しでも『俺はお前をこう言う対象で見てるんだ』と言うことを意識してもらいたいからか、
「つまり、」
ならば、流石にここまですれば分かるだろうと、ユキノの下腹部を つ、となぞる。
「んひゃっ!?」すると、自然に体がビクッ、となる。
(……な、なに、これ。なんか、ゾクゾク、する……あと、変な声出ちゃった……は、恥ずかしい……)
「ここを、めちゃくちゃにされても良いのか、と聞いているのだが?」
ベルゼヴァールが下腹部をさわさわと撫でながらそう言うとやっと意味が分かったようで、「〜〜っ!! ら、らめ!! ですっ!!」と言いながら激しく首を横に振った。
その顔は赤く、目には生理的に出た涙が溜まっていたため、
(これは、……襲えと言わんばかりだな……俺は、試されているんだろうか……?)
自分でやったということを棚に上げてそんなことを思うベルゼヴァールだった。
「……もう明日にでも結婚式を挙げるか……?」
「け、けけけ結婚!?」
「? お前は俺の番だからな、結婚するのは当たり前だろう?」
「そういうものなんで…………ん……? つが……い?」
(そういえばさっきもそのようなことを言っていたな……“つがい”って何だろう……?)
「……番を知らない?」
「……は、はい……“つがい”って何ですか……?」
「ふむ……ここでは話しづらかろう、場所を変えようか。」
「? はい。分かりました。」
そしてベルゼヴァールはユキノを連れて魔王城の自分の執務室へ連れて行った。




