第3話 2人の『化け物』
「……そうか。」
「だから、そんなうそ、つかないで……おね、がい……」
その後が、辛くなってしまうから……
「だが、すまんがこれは嘘じゃない。」
「やだっ……聞きたくないっ……!!」
そう言って咄嗟に耳を塞いだが、彼の手によっていとも簡単に外されてしまった。
「なぜ拒む?」
「だって、怖い……から……」
「何が? 愛を知るのが怖いのか?」
「……愛を知って、捨てられるのが、こわいの……」
生憎彼女には嘘を吐く、と言うことができない。嘘をついたことがないからだ。
だから素直に答えてしまう。
「……そうか。だが、私はお前のことを捨てたりしない。絶対にな。」
「……でも、私は化け物、だから……」
「ふ、そのくらいがちょうど良いではないか。
私も人間から見たら化け物だ。お前と同じだな。
化け物同士、お似合いじゃないか?」
「……!!」
「それに、お前は化け物などではない。
儚く、美しい。」
「美しい……?」
「あぁ、美しいな。最初お前を一目見た時から、白百合のように美しい人だと思っていた。そこに散っている鮮血がお前の白い肌や髪に映えて、またとても美しいと、そしてはやく俺のものにしたいと、食べてしまいたいと思ったくらいだ。」
「え、た、たべ……?」
(ヴァンパイアなの……?? え、人間食べるの……? え、これ冗談?)
「ふふ、……あぁ、そうだ。食べたいよ。
あ、そういえばまだ名乗っていなかったな。俺はこの魔王国で魔王をしている、ベルゼヴァール・オルフェリスだ。お前の名は?」
「え!? ま、魔王、様!? ……あ……! えと、私は、白水雪乃、と言います。こっちだとユキノ・シロウズ、かな……? ええと、ユキノ、が名前です。」
「ユキノ、か。似合ってる。とても可愛い。」
「か、かわっ!?」
「あぁ、そうだ。ユキノ、ユキノは何歳だ?」
「え、ええと、今、13歳、です。」
「13……まだ幼いか……? いやギリいける……?」
(……え、ギリいけるって何が……?)
ベルゼヴァールが何かブツブツ言っていたが幸い純粋なユキノには何のことかさっぱり分かっていなかった。
(魔王様、おかわいそうに……番が目の前にいるのに耐えねばならぬなど何たる苦行……)
(うう、妾の分かりし頃を思い出しますぞ……妾の番も歳の差が激しくて……どれだけ耐えたことか……あぁ、おいたわしや、魔王様……)
(頑張ってください、魔王様。)
(魔王様なら我慢できるって信じてますよ。)
(魔王様死なないといいんだけどなぁ~。だいじょうぶかなぁ~?)
魔王の目の前にいる一名を除いた魔王の部下たちは魔王に憐みと同情の目を向けていたとか向けていなかったとか……




