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第54話:葛藤と歩み寄り

 その後、アリスたちは森の入り口で野営をすることにした。カイルは凍えつつも眠りに落ち、ロゼリアが涙を流しながら燃えた森を見つめている。オーリンはアリスとハッターの様子をカイルのそばで見守るしかできなかった。アリスはその様子を一瞥し、決意したようにハッターの元へ歩み寄った。月明かりが彼らを冷たく照らし、森は静寂に包まれている。


アリスは胸の中で何度も練り直した言葉を思い出しながら、深呼吸をしてから口を開いた。

「ハッター、話があるの。」


ハッターはいつもの無機質な微笑みを浮かべながらアリスを見つめた。その笑顔には、一片の感情も感じられない。彼の目は冷たく、まるでアリスが持つ疑念を理解しようとしないかのように映っていた。

「どうぞ、我が君。」


アリスはその微笑みに一瞬ためらいを覚えたが、意を決して続けた。

「どうして、あんな冷酷な方法を取ったの?カイルやロゼリアさんがどれだけ苦しんだか、あなたは分かっているの?」


ハッターの微笑みは変わらず、まるでアリスの言葉が彼に届いていないかのようだった。彼は感情を表に出さず、淡々と答えた。

「カイルも無事で、森も半分の損失で済みました。何も残酷な手段など取っておりません。最も効率的かつ合理的な手法を取ったまでです。」


アリスの胸の中で、怒りと悲しみが絡み合い、声が震えた。

「でも、その方法は……あまりにも冷酷すぎる。私たちは仲間なのに、なぜそんなことができたの?」


ハッターは首をかしげ、微笑みをさらに深くした。その動作は無感情で、まるでアリスの感情に興味がないかのように見えた。

「何が冷酷なのでしょうか?すべてが計画通りに進み、結果も良好です。むしろ、私は誇りに思っています。」


アリスは目を見開き、その言葉に言葉を失った。彼女はカイルやロゼリアがどれほど苦しんだかを思い、胸が締め付けられるような思いに駆られた。

「でも、カイルやロゼリアさんがあんなに苦しんでいるんだよ?それに、森の半分が燃えてしまった……。」


ハッターは肩を軽くすくめてみせたが、その動作にも一切の感情が見えなかった。

「効率を重んじる私にとって、これは必要な犠牲でした。何が問題なのでしょう?」


アリスはハッターの目をじっと見つめた。彼の言葉に込められた冷静さと合理性が、彼女の胸に重く響いた。しかし、彼女はその冷たさに屈することなく、強い意志を持って続けた。

「ハッター、あなたの方法には問題があるの。いくら効率的であっても、誰かを傷つけることは絶対にしちゃ駄目。それにカイルもオーリンも仲間であり、お互いを支え合うためにここにいるんだよ。」


ハッターはしばらく沈黙し、アリスの言葉を冷静に考えるようなそぶりを見せた。しかし、その瞳には依然として感情の揺らぎは見られず、彼の内面を覗くことはできなかった。そして、再び微笑んだ。

「私はアリス様を守るために最善の方法を選んだだけです。我が君の感情には敬意を表しますが、私は私の方法が間違っていたとは思いません。しかし、あなた様が悲しむのであれば、この手法をやめることにいたしましょう。」


アリスはその言葉に少しの安心を覚えたが、同時に彼の冷徹さが一層際立ったように感じた。彼女は深く息を吸い、冷静さを取り戻そうと努めた。彼女の心にはまだ不安が潜んでいたが、ハッターの言葉に自分の意志を強く示す決意を新たにした。

「ハッター、私はあなたを信じたい。でも、これからは誰かを傷つけるような残酷な方法は絶対にやめて。どんなに効率的であっても、誰かを傷つけることは正しい方法じゃない。」


ハッターは微笑みを浮かべたまま、首を軽く傾げた。

「かしこまりました。あなた様の意向を尊重し、今後はもっと慎重に行動することを約束します。我が君の気持ちを最優先に考えます。」


アリスはほっとしたように微笑んだが、その微笑みの奥には一抹の不安が残っていた。ハッターが尊重するのはあくまでもアリスの気持ちだけであって、他人への悲しみや苦しみへの配慮ではない。その言葉に胸がざわついたが、彼に対する信頼を再び築こうと努めた。


しかし、その夜、アリスはハッターが用意したベッドを使うことなく、木に寄りかかる形で眠りについた。彼女の心の中には、ハッターとの間に生まれた冷たい溝が深く刻まれたままだった。



 朝日が差し込み、森が新たな一日を迎えた。カイルは未だに眠り、顔色は良くなっていたが、オーリンは心配そうに彼のそばを離れなかった。アリスとハッターは焚き火の近くに座り、穏やかな雰囲気の中で話を続けていたが、アリスの表情には緊張が見え隠れしていた。


アリスは胸の中で何度も言葉を繰り返しながら、深呼吸をし、慎重に口を開いた。 「ハッター、昨日のことだけど、一つだけ確認しておきたいことがあるの。」


ハッターは興味深げに彼女を見つめ、いつもの無機質な微笑みを浮かべて答えた。 「どうぞ、我が君。」


アリスはその冷たい微笑みに一瞬ためらいを感じたが、意を決して言葉を続けた。 「私があなたの主人である以上、あなたの行動には私が責任を持たなければならない。それは、どんなに難しいことでも避けられない。」


ハッターは微笑みを絶やさず、淡々と頷いた。

「もちろんです。我が君。」


アリスはさらに続け、彼女の言葉が重く響くように注意深く話した。

「だから、私の命令には絶対に従ってほしいの。どんなことがあっても、私の指示を優先して行動してほしい。わかる?」


ハッターの微笑みはさらに広がり、目が冷たく輝いた。

「我が君の命令に従うことは、私にとって至極の喜びです!もちろん、絶対に従いますとも!」


その瞬間、アリスの胸に再び不安が広がった。ハッターが自分の命令に従うことを喜びと感じる一方で、彼が他の誰にも関心を持たず、予測不能な行動を取ることが不安を増幅させた。

「ありがとう、ハッター。でも、あなたにはもっと気をつけてほしい。私以外の他の人も大事な人たちであり、お互いを尊重し合わなければならないの。」


ハッターは深く頷いたが、その動作にも一切の感情が見られなかった。

「我が君の意向を尊重し、これからはもっと慎重に行動します。」


アリスは少し安心し、微笑んだが、その微笑みの奥にはまだ不安が残っていた。 「私のことを思うなら、私を悲しませる結果にならないように選択をして。誰かが傷つくことも、誰かを傷つけることも絶対に避けたい。誰もが平和に笑って過ごせる、そんな世界を目指したいの。」


「かしこまりました、アリス様。あなた様がそう望むのであれば、私はあなた様の思うままに。」

アリスはハッターの忠誠心に安堵感を覚えつつも、胸にはまだ一抹の不安が残っていた。ハッターにとって主人以外のすべてが無価値なのだとしたら、自分の命令も行動ももっと慎重にならなければならないというプレッシャーが、アリスの心をさらに重くした。


『今後はもっと自分の行動に責任を持たなければ……』


アリスはそう決意しながら、焚き火を見つめた。朝日が差し込み始めていたが、彼女の心の中には未だに解けない不安が渦巻いていた。



 アリス、ハッター、オーリンは焚き火の近くに集まり、カイルとロゼリアもそこに座っていた。目を覚ましたカイルは、罪悪感に押しつぶされそうになりながらうつむいていた。彼の心は、その重みで潰れてしまいそうなほど圧力を感じていた。ロゼリアも涙を浮かべながら、アリスの提案を聞くために真剣な眼差しを向けていた。


アリスは深呼吸をし、重たい沈黙の中でカイルの視線を受け止めた。彼女の心は痛み、胸が締め付けられる思いでいっぱいだった。慎重に言葉を選びながら、静かに口を開いた。

「ロゼリアさん、昨日のことは本当に申し訳ありませんでした。そして、カイル……あなたに辛い思いをさせてしまったことを心から謝ります。……本当にごめんなさい。」


カイルはアリスの言葉に反応するが、その目は地面を見つめたまま。彼の声は低く、かすかに震えていた。

「俺が悪いんだ……俺の怒りが、森をこんなにしちまった……」

彼の拳は固く握られ、その内側で自分を責める思いがさらに強くなっていた。自分がどれだけのことを失わせてしまったか、森にとって、自分にとってどれだけ大きな損失だったのか……彼はそれを繰り返し考えた。


ロゼリアはその言葉を聞き、静かにカイルに歩み寄ると、彼の肩に優しく手を置いた。彼女の心には、森の痛みが鋭く突き刺さっていたが、今はカイルを支えることが優先だと自分に言い聞かせた。森は彼女の命の一部であり、森の中で育ち、森と一体となって生きてきたロゼリアにとって、燃えた木々はまるで自分の一部が奪われたかのような痛みを感じさせた。それでも、目の前のカイルの苦悩を見過ごすことはできなかった。ロゼリアはカイルの痛みを感じ取り、その心の重さを少しでも軽くしてあげたいと強く願っていた。

「カイルさん、あなたのせいじゃないわ。怒りに駆られたのはハッターさんの策略によるものだったのだから。」

彼女の声には、哀しみと慰めが入り混じった優しさが込められており、カイルに寄り添おうとしていた。だが、その心の奥底では、失われた森の姿が彼女の胸を締め付けていた。


その瞬間、全員の視線が自然とハッターに向けられた。だが、ハッターはその視線を全く気にすることなく、いつもの無機質な微笑みを浮かべながらアリスを見つめていた。

「ご安心ください。我が君、私はこれからもあなた様の命令に従います。」

その言葉には冷静さが漂っていたが、アリスの心の中に一層の不安が広がった。ハッターの無感情な態度に、アリスは深い不安を感じた。彼の忠誠心が本当に皆のためなのか、それともただの効率性のためなのか、その判断に迷いが生じていた。


「これから私たちが考えなければならないのは、どうやってこの森を再生するかということだよ。私たちの手で森を再生させることができれば、ロゼリアさんの力も回復させることができるかもしれない。」

アリスの声には、強い決意が込められていたが、その背後には森の未来への不安が渦巻いていた。彼女の心の中には、ハッターの提案に対する疑念が残っていたが、それを打ち消すかのように前に進もうとしていた。


オーリンが少し躊躇しながらも静かに意見を述べた。

「でもアリス、具体的にはどうすればいいんだろう?森の再生にはエルフの目から見てもかなりの時間がかかると思うけど……」

彼の声は心配げであり、森の再生が簡単でないことを感じ取っていた。エルフであるオーリンにとっても、森の再生には時間がかかることが分かっていたからこそ、彼の心にも不安がよぎっていた。


ハッターが冷静な声で提案した。

「焼け落ちてしまった木々を再利用し、この土地を開拓して畑にするのはどうでしょうか?ドライアドの庇護下にあるこの土地ならば、植物の成長も著しく、食料問題も解決できます。さらに、ドライアドの望む緑ももたらされるでしょう。」

彼の提案は合理的であったが、そこには冷たさがあった。その冷静さは、まるで感情を排除した機械のようであり、アリスはその言葉に潜む冷たさに心を揺さぶられた。


アリスはハッターの提案に耳を傾けたが、その言葉の冷たさに心がざわついた。 「畑にする……確かにそれも一つの方法かもしれないね……。」

彼女の声には慎重さがにじんでおり、どこか疑念も感じられた。ハッターの言葉に隠された冷たさが、アリスの心に再び影を落とした。彼の提案が正しいのか、彼女の中で疑念が渦巻く。


カイルはその提案に胸を痛め、拳を震わせた。

「俺が……燃やしちまった森を畑にするなんて……」

その言葉には深い罪悪感が込められていた。彼の心には、森を焼いてしまった自分自身を許すことができない苦しみがあったが、それでも何かを取り戻したいという思いが芽生えていた。


ロゼリアも躊躇しながらも静かに口を開いた。

「森を畑にするなんて……そんなこと、……」

彼女の声には、再生と破壊の狭間で揺れ動く心が現れていた。彼女は森を守りたいという強い思いと、現実的な問題に直面する苦悩の間で揺れていた。


ハッターは冷静に続けた。

「ロゼリア殿、これが最も効率的で合理的な方法です。ドライアドの加護があるこの土地ならば、作物もすぐに成長し、食料問題も解決します。それに、食物とはいえ少しずつでも緑が戻ってくるでしょう。農作物の収穫は木々を育てるより早いですからね。それに我々には農作物を豊かに実らせる為の特別なものを持っています。」


アリスは突然思い出し、はっとして顔を上げた。

「豊穣の盃……。」


ハッターは満足げに微笑んだ。

「ご名答。豊穣の盃は農作物に目覚ましいほどの実りをもたらします。そして、ドライアドの加護。この力が組み合わされば作物の栽培は通常の倍以上の収穫が見込め、我々の食料問題も無事解決するでしょう。また豊穣の盃はロゼリア殿の力の回復にも一役買ってくれるはずです。」


ロゼリアは深く悩み、心中で葛藤しながらも、弱りきった体と回復への希望が彼女の決断を迫っていた。未来への希望があっても、今の自分にその責任を全うできるのか、ロゼリアは心の中で揺れ動いていた。森を守りたいという彼女の思いと、現実的な状況との間で苦しんでいたが、森を守るためには前に進むしかないと覚悟を決めた。そしてカイルの苦しみを少しでも和らげたいと思う気持ちが、ロゼリアを前に進ませた。森の再生は彼女一人ではなく、皆で成し遂げるものだと信じていた。

「少しでも緑が戻るのなら……わかりました。その提案を受け入れましょう。」


カイルはまだ自分を責めるようにうつむいていたが、アリスの提案に少し希望を見出した。彼の中には、自分の行動を償いたい、許されたいという強い願望が芽生えていた。彼はゆっくりと顔を上げ、目には決意の光が宿っていた。

「俺も……手伝うよ。俺が焼け落とした森を、少しでも元に戻したい。ロゼリアがそれでいいなら……焼け落ちた森を畑にしよう。」

カイルは決心した。燃えてしまった木々の代わりに、新しい苗木を植え、自分の手で水をやり育てていく。これが、失ったものを取り戻すための第一歩だ。


その言葉には、彼の心の中で芽生えた新たな決意と、自分自身に対する許しを求める切なる願いが込められていた。森を再生させることが、自分自身の心を再生させるための唯一の道だと信じ、カイルは力強く前を見据えた。彼は過去の過ちを悔やむ一方で、それを糧に前へ進む覚悟を決めた。自分自身を許すには、まず森を再生させることだと強く感じていた。


アリスはカイルの肩にそっと手を置き、彼の決意を受け止めた。そして、優しく微笑んだ。

「ありがとう、カイル。その気持ちが大事なんだよ。私たちみんなで力を合わせれば、きっとできるよ。」


ハッターは冷静な表情を崩さず、アリスの提案に賛同の意を示した。

「我が君の指示に従い、私は必要な資材の調達と計画の実行を支援いたします。」

ハッターの声には変わらぬ冷たさが漂っており、アリスの心には再び不安が広がった。彼女はその声に潜む冷たさに注意を払いながらも、前進しなければならないと自分に言い聞かせた。


「ありがとう、ハッター。皆の協力が必要だから、よろしくお願いね。」

アリスはそう言いながら、ハッターの視線を避けるように目をそらした。彼女の心の中では、ハッターが本当に皆のために行動しているのかという疑念が消えないままだったが、それを胸にしまい込んだ。


オーリンも頷き、アリスの提案に賛同した。

「僕も手伝うよ。森の再生には時間がかかるけど、畑なら皆で協力すればきっとすぐにできるはずだ。」

彼の声には希望がこもっていたが、その目にはわずかに不安の影が見え隠れしていた。


アリスは皆の協力に感謝しながらも、心の奥底に残る不安を隠すことができなかった。

「それじゃあ、早速取り掛かろう。あ、そうだ……その前に、森の恵みを分けていただきたいのですが、ロゼリアさん、貴方の力を回復させるための水を捧げる代わりに、森の果実をいくつかいただいてもよろしいでしょうか?」


ロゼリアは少し驚いたが、アリスの真剣な眼差しに心を動かされ、静かに頷いた。 「ええ、もちろんです。対価を支払っていただけるのなら、森の恵みをお分けします。どうぞ、何をお望みですか?」


アリスは慎重に言葉を選びながら答えた。

「私たちがこれからの作業に必要なだけの力を得られる果実やハーブをいただきたいです。そして、森の再生に役立つものがあれば、それもお願いしたいです。」


ロゼリアは少し考え、森の中にある特定の木々とハーブに目を向けた。

「そちらの木には、滋養に富んだ果実があります。そして、あのハーブは疲労回復に効果があります。この果実とハーブは、あなたたちの作業を支えるのに役立つでしょう。」


彼女は少し考え込んだ後、さらに続けた。

「これらの植物は私の力を使って育てられたものですので、慎重に扱ってください。」


アリスは頷き、静かに礼を述べた。

「ありがとうございます、ロゼリアさん。私たちのために、こんなに貴重なものをいただけるなんて感謝の気持ちでいっぱいです。もちろん、敬意を払って大切にいただくことをお約束します。」


ロゼリアは微笑みながら、再び彼女の目を見つめた。

「あなたたちが森の再生に尽力してくれるなら、それが私にとっても大きな助けとなるでしょう。」


アリスはその言葉に力強く頷いた後、ハッターやオーリンと共に、ロゼリアが指し示した場所へと歩み寄り、慎重に果実とハーブを摘み取った。


摘み取りが終わった後、アリスは一歩前に出て、手を空に向けて差し出した。彼女の爪に塗られたアクアネイルが微かに光り始め、その光が次第に強まりながら空に向かって放たれていく。すると、アリスの頭上に大きな水球が形成され、キラキラと輝きながらゆっくりと空へと昇っていった。アリスは全神経を集中させ、魔力を水球に注ぎ込んだ。アリスは深く息を吸い込み、全身の力を指先に集中させると、ネイルから光が放たれ、まるで彼女自身が森に生命を与えているかのように感じられた。


その水球が空高く昇り切ると、まるで満ちた水が溢れ出すかのように、森全体に降り注ぐ雨となった。魔力をたっぷりと含んだ水滴が木々や地面に染み込み、森の生命力がゆっくりと蘇っていくのが感じられた。ロゼリアはその魔法の雨を全身で感じ、目を細めて喜びの表情を浮かべた。

「ああ……こんなにも豊かな雨をありがとう。これは本当に恵みの雨です。ここの所日照り続きだったから……しかも、魔力に満ちている……生き返るようです。」


アリスはロゼリアの喜びを感じ取り、心からの笑みを返した。

「お力になれて嬉しいです、ロゼリアさん。これで少しでも森が回復すれば……。」


ロゼリアは静かに頷き、アリスたちに向かって慎重に摘み取った果実やハーブを差し出した。

「どうぞ、これをお持ちください。森の恵みがあなたたちの力になれることを願っています。」


アリスはその贈り物を感謝の気持ちで受け取り、籠いっぱいに詰め込んだ。彼女はロゼリアに向かって深々とお辞儀をし、こう言った。

「本当にありがとうございます、ロゼリアさん。一度教会に戻ってから森の再生のために動こうと思います。」


「よろしくお願いしますね、アリスさん。」

ロゼリアは優しく微笑みながら、アリスたちを見送った。


アリス、ハッター、オーリン、そしてカイルは、再生の希望を胸に抱きながら、森の出口へと向かった。彼らの心には、新たな一歩を踏み出す決意が宿っていた。

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