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第16話:古代遺跡での試練

しかし、次の瞬間、地面が大きく揺れ、轟音が響き渡った。

「何……この音……?」


私の前に、突然巨大な人形の岩が現れた。石でできた巨大な体を持ち、目には赤い光を宿している。その動きは鈍いが、一度攻撃されてはひとたまりもないことをすぐに察した。私はセシルさんの書物の中で見たストーンゴーレムを咄嗟に思い出した。



 ストーンゴーレムの特性


・外見

巨大な体躯:高さは3メートル以上、全身が岩で覆われている。

赤い光の目:ゴーレムの動きを制御する魔力が発動している証拠。

魔力核:ゴーレムの弱点であり、これを破壊することでゴーレムを倒すことができる。


・攻撃手段

強力な拳:その拳は一撃で地面を割るほどの威力を持つ。

石の投擲:周囲の岩を拾って投げつける遠距離攻撃も可能。



ゴーレム:「グオオオオォォ!!!」


やっぱり……特徴からいって間違いない。書物で見た遺跡の守護者、ストーンゴーレム!

古代エルフ族が作ったとされる遺跡には、遺跡を守るための特別な罠がしかけられているという。特に古代のエルフ族は他種族の介入を毛嫌いし、魔法でしか対処できないような罠をしかけると書いてあった。魔法でしか対処できない罠……私にこのゴーレムが倒せるのだろうか……。


私はルミナスフラワーのネイルを掲げ、強い閃光を放つ。ゴーレムの赤い目が一瞬眩んで動きが鈍くなった!


ゴーレム:「グォォ……!」

ゴーレムは人工的に作られた魔物。魔法の媒介となる魔力核があるはず。それを破壊さえすれば……。

ゴーレムの作り方にあったけど、核は破壊されにくい背後に設置されることが多い。ゴーレム自身も守ることができる為最も一般的な製造方法で作られたとしたら背中に魔力核があるはず!ゴーレムの動きが鈍くなった隙を見逃さず、私は素早くゴーレムの背後に回り込んだ。ゴーレムの背後には予想通り赤く輝く魔力核があった。これが此奴の唯一の弱点!


「あった……!」

私は短剣を振りかざし、ゴーレムの背後の魔力核に向けて力強く突き刺した。魔力核が割れると、ゴーレムは動きを止めた。


ゴーレム:「グォォォ……!」


ゴーレムの体が崩れ始め、大きな岩の塊となって地面に倒れ込んだ。魔力核が破壊されたことで、ゴーレムは完全に機能を停止したようだ。ここでもセシルさんに走らされていた意味を知った。


「私がこんなに早く動けなかったら、きっと今頃潰されていた……。」

あの辛い修行も、私が生き延びる為に必要なことだったのだと知るとセシルさんへの申し訳なさがまた込み上げてきた。そして、セシルさんの教えがなければゴーレムだって倒せていたのかもわからない。私はそれだけ尽くしてくれた師に対して、恩どころか仇を返すような真似しかできなかったことを心から悔やんだ。


ゴーレムから壊れてしまった魔力核を取り出す。まだ僅かに魔力を帯びているようだ。後々に再生でもされたら困るのでこれは回収しておくことにする。私はゴーレムの魔力核をベルトの収納ポケットにしまいこんだ。ストーンゴーレムを倒し、一息ついたところで私の手に握られた短剣とルミナスフラワーのネイルが再び光始め道を照らしてくれていた。


「まだ先は長いよね……。先へ進もう。」

私は休むことなく再び次の目的地へと進み始めた。セシルさんが私に授けてくださった知恵が、再び私を勝利へと導いてくれたのだった。


神殿内をさらに奥へ進んでいくと今度は大きな巨大な石造りの扉が現れた。扉は古びた石でできており、複雑なルーン文字と古代のエルフ語で刻まれたメッセージが見える。

中央には大きな円形のシンボルがあり、その周囲に小さなルーン文字が並んでいる。文字は薄く光を放っており、ルミナスフラワーで染めた指先を近づけるとさらに輝きが増す。どうやら魔力に反応して光っているようだ。試しにクリスタルの槍をかざしてみたが光は強くならない。これはあくまでも人から発せられる魔力にしか反応しない仕掛けなのだろう。そして扉には古代エルフ語でメッセージが刻み込まれていた。ルミナスフラワーネイルの光を使い、文字を明るく照らして詳細を読み解く。



『侵入者よ、ここから先は闇が待ち受ける。八つの元素の調和を乱す者には、永遠の呪いが降りかかるだろう。そして心の力を正しく結びつけなければ、魂は永遠に迷い続ける。』


「このメッセージ……。8つの元素の順序を間違えたら呪いが降りかかるってこと……?」


呪いという言葉にぞっと背筋が寒くなった。私は刻まれた文字を明るく照らし、それぞれの文字を確認する。刻まれたシンボルの形状と意味を慎重に確認し、対応する元素を見極める。


ルミナスリアには8つの元素がある。


火 (Ignis) イグニス

水 (Aqua) アクア

風 (Vento) ヴェント

大地 (Terra) テラ

光 (Lux) ルクス

闇 (Atra) アトラ

生命 (Vita) ヴィタ

精神 (Animus) アニムス


これらはルミナスリアを構築している八大元素と呼ばれ、これらの元素が世界の形を作るといわれている。この元素は魔法の習得にあたり、セシルさんに一番最初に教えてもらったものだ。

特に闇と精神は密接に関わりを持っており、その均衡を崩すと簡単に闇に飲まれてしまうという。そして、その闇の力は強大な上、全ての生き物、人間、種族が必ず持っている最も危険な元素でもあると……。つまり、この元素の順番を間違えればその最も危険な闇の呪いが私に降りかかるということだ。


「ふぅーーー……」

私は深呼吸をするとそれぞれの元素を司っているであろうシンボルをそっと触れていく。まずは炎。元素の最も基本であり、第一の元素。


炎のシンボルにそっと触れた。扉はまるで氷のように冷たく触れるだけで指先がぴりぴりと痛んだ。炎のシンボルが淡い光を放ち始めた。よし……。次に水、風、大地、光と触れていった。触れたシンボルはそれぞれが淡い光を放ちゆらゆらと揺らめいて見えた。


「これで半分……」

しかし問題は闇と精神のシンボルだ。シンボルは目のような形をしているが、それが精神を表すものか、それとも闇を表すものかを見極めなければならない。


『魔力は眼に見えるものじゃない。心の目で見るんだ。精神を研ぎ澄ませ、心の目で見てみろ。』

セシルさんの言葉が頭に蘇る。私はその言葉を思い出しながら小さく呟いた。


「心の目……」

そうだ。精神は心。この世界では眼に見えない現象を心の目を通してみろという教えがあった。つまりこれは……精神!

私は迷うことなく、渦を巻いたシンボル、そして丸のシンボル、最後に目のようなシンボルに触れていった。これで合っているはず……!!


それぞれの元素が正しい順序で並べられた瞬間、扉全体が光り始め、文字が浮かび上がる。光とともに扉の奥の闇の中から不気味な囁き声や物音が聞こえ、私は小さく息を飲んだ。


『勇敢なる者よ、試練を乗り越えし汝に告げる。 ここから先は命を賭して進むべし。 光が消え、闇が支配する場所へと進むならば、 魂を喰らう闇が汝を待ち受ける。 戻ることなく、進むことも叶わぬ者は、永遠の闇に囚われる。』


「勇敢なる者よ、試練を乗り越えし汝に告げる……ここから先は命を賭して進むべし……か……。」

その言葉に私は思わず足がすくみそうになる。心の中には不安と恐怖が広がっていき乾いた喉を潤すように生唾を飲みこんだ。


「光が消え、闇が支配する場所……でも、進むしかない。」

私は恐怖を感じながらも、真っ暗な闇が広がる扉を通り抜けた。私の心には、次の試練への恐怖と期待が交錯していた。

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