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23話

 次の日の朝。教室に向かって廊下を歩いていると、美沙の噂をチラホラ耳にする。安子さんとの喧嘩だけじゃなく、他の男との情報も噂されていた。きっとなかなか打ち明けられなかった男子や女子がこれをキッカケにリークしたのかもしれない。


 これで卒業するまで悠ちゃんの時の様に上手く隠して、男子と付き合う道は途絶えた。あなたのお気に入りの達也君にも確実に情報が届くでしょうね。


 あとは──私は上着のポケットから携帯を取り出し、理恵の妹の彩希さきちゃんに電話をする。


 理恵と私はクラスが違う。だけど理恵はわざわざ一緒に御弁当を食べるために私の教室に来てくれているのだ。


 だから悠ちゃんは理恵のことをほとんど知らないし、バドミントン部の妹がいることを知らない。


 つまり私と彩希ちゃんが繋がっている事は全く知らないのだ。


「あ。朝早くごめんね。ちょっと頼みがあるんだけどさ──」


 私は彩希ちゃんにそう話す。彩希は快く私の依頼を引き受けてくれた。


 ──その日の夜。部屋でベッドに座りくつろいでいると、電話が掛かってくる。相手は悠ちゃんだった。


「もしもし、どうしたの?」

「今日さぁ……あいつが気になってなかなか行けなかった部活に、久しぶりに行ってきたぁ」

「へぇ、良かったじゃん! 楽しかった?」

「もちろん! でさ──」


 悠ちゃんは余程、嬉しかったようで声を弾ませ語りだす。私も何だか嬉しい気持ちでいっぱいになった。良かったね、悠ちゃん。これにて私の任務は完了ね!


 ※※※


 次の日の朝──久しぶりに悠ちゃんの世話をしたくて、早めに起きて準備をすると、悠ちゃんの家に向かった。


 ──キッチンで朝ごはんの準備をしていると、突然、ダイニングのドアが開き、油断していた私はビックリする。


「チー、今日も朝ごはんを作ってくれているのか?」と、悠ちゃんが声を掛けてきて、中に入ってくる。


「悠ちゃん……珍しく早いね」

「うん。なんだか勝手に目が覚めちゃって」

「そうなんだ。久しぶりに部活をしたからじゃない?」

「かもね」


 悠ちゃんはそう返事をして、洗面所に向かう──まさかこっちに寄ってこないよねぇ……いま私はあなたの御弁当を作っている途中なんだから来ないでよ……。


 私がそう思いながら目で追っていると、悠ちゃんは摘まみ食いに来たのかキッチンへと足を進める。


 突然の事で動揺した私は「ちょ……悠ちゃん。朝ごはんを食べるんだったら手を洗ってからにしなさい!」と、子供を叱る様に怒ってしまった。


「はーい」


 悠ちゃんは子供の様に返事をして素直に引き返し、台所に行く──と、思ったら私に近づいて来た。


 私はビクッと体を震わせ、慌ててカウンターに置いてあった悠ちゃんがいつも使っている青色の御弁当箱と、私がいつも使っている赤色の御弁当箱を手で隠した。


「な、なに!?」

「チー……俺の御弁当も作ってくれたのか?」

「まさかぁ……おばさんが作ったやつだよ」

「じゃあ、お前の御弁当箱は?」

「──おばさんが、余ったおかずは使って良いよ言ったから……」

「ふーん……」


 悠ちゃんが疑いの眼差しで私を見つめてくる。うぅ……自分でも下手な嘘だな……って思うよ。だからそんなに見つめないでよ。


「ありがとう」

「だから私じゃないって」

「いや、朝ごはんの方」

「あ、あぁ。そっちね」

「めっちゃ焦げてるけどな」

「えぇ~!!」


 私は慌ててガスコンロの火を消し、焦げた目玉焼きを見つめる。


「あちゃ~……」

「はははは」

「笑うな」

「はいはい」


 悠ちゃんはダメダメねって言われるのを察した様で、直ぐに洗面所へと避難した。


「まったく……」


 焦げたといっても、まだ食べられるレベル。それは私が食べるとして仕方ない。新しく焼いてあげるか。


 私は先に皿の準備を始め、野菜を先に盛るとダイニングテーブルへと運ぶ。そこへ悠ちゃんがやってきた。


「なぁチー。今日の夜、予定とかある?」

「夜? 特にないよ、どうしたの?」

「一緒にゲームしないか? またパズルゲームしようぜ」

「そっかぁ、あの時からしてないもんね。分かった」

「楽しみにしてるよ」

「うん」


 なんで今頃? ──まぁ……たまに突然、やりたくなる時もあるか。久しぶりに悠ちゃんとゲーム……楽しみだな。



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