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22話

 ある日の放課後。私は早々に教室を出て、寂しそうに玄関に向かって歩いていく悠ちゃんを見掛ける。


 体育館は玄関と反対側……毎日、欠かさ部活に行っていたのに今日も悠ちゃん、出ないんだね。まぁ無理ないか、会いたくない女がいる部活なんて行きたくないに決まってる。それでも部活を辞めないのは、やっぱり未練があるからなんだろうなぁ……。


 悠ちゃんが階段を下りるのを見送っていると、正面から美沙と安子さんが歩いてきて──ゲラゲラと笑いながら通り過ぎていく。


 私の事は兎も角として……悠ちゃんを傷つけ、居場所を奪った美沙を私は絶対に許さないッ! 私はギュッと拳を握り締め、大丈夫だからね悠ちゃん、私が絶対にあなたの居場所を取り戻してあげるからと決意した。


 その為にはまず、安子さんと接触しないと……。


 次の日の夕方。私はバドミントン部の友達を通じて、安子さん一人だけで教室に来て貰うようお願いをした。今の時間帯の教室は狙った通り誰も居ない。

 

「──話って何ですか?」


 安子さんは部活を抜け出して来てくれたみたいで、ジャージ姿だった。冷たい表情に淡々とした口調……安子さんも私の事をあまり良く思ってくれていないのかもしれない。


「まず来て貰って、ありがとうございます。部活の途中、抜け出して来て貰ったみたいなので、単刀直入に言いますが、美沙さんの弱みを教えてください」


 私がそう言うと安子さんは、あからさまに眉を顰め、嫌そうな顔を浮かべる。


「私に美沙を裏切れと?」

「そうなりますね」

「そんなこと出来る訳ないじゃない!」


 安子さんは強い口調でそう言って、怒りを露わにする。


「あなたは既に裏切られていたとしても?」

「はぁ? どういう事?」

「あなたの彼氏。美沙さんに取られているわよ。しかも二人は寝ているらしいわ」

「え……なにデタラメな事を言ってるの?」

「証拠を見ますか?」


 私がそう言った瞬間、安子さんはさっきまでの勢いが無くなり、急に黙り込む──。


「そこまで言うなら見せてよ」

「分かりました」


 私は、とあるルートで仕入れた動画を携帯で再生し、安子さんに見せる──安子さんは苦虫を嚙み潰したように動画をみていた。


「あの女ぁ……」


 安子さんは動画を見終わると、鬼のような形相でそう呟く。


「ね?」

「確かにあなたの言う通りだったみたいね……分かったわ、教えてあげる」


 私は安子さんが知っている全ての事を教えて貰う。


「──とまぁ、私もアウトだと思ったけど、悠介君を脅して美沙がインにしていたよ」

「ありがとうございます」

「こちらこそ」

「あ! あと後輩の女の子にも悠介君は脅されていたと伝えて下さい」

「分かったよ」

「それと今日の事は誰にも内緒でお願いします。もし言ったら……私の情報網が広いと知った安子さんなら分かりますよね?」

「わ、分かったよ。誰にも言わないよ!」

「お願いしますね」


 脅しが効きすぎたのか、安子さんは私の作り笑いをみて、早々に去っていく。


「ふぅ……。さぁて……後は様子見だな」


 こんなの私らしくなくて気疲れしてしまう……でも悠ちゃんの為だ。頑張らなくちゃ。

 

 ──その日の夜。自室でくつろいでいると、バドミントン部の友達から電話が掛かってくる。その内容は美沙と安子さんが大殴り合いの喧嘩をして、顧問に見つかって停学処分になったとの事だった。


 約束通り安子さんは私との会話を隠し、彼氏を問い詰めたら自白したと言っていたらしい。


 これでプライドの高い美沙は恥ずかしくて、もうバドミントン部には来ないでしょ! 


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