表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/24

17話

 ある日の夜。悠ちゃんの部屋を訪れると、悠ちゃんはレース系のテレビゲームを楽しんでいた。


 そりゃ何日も経てば、飽きるのも仕方ないと思うけど……とりあえず私は黙って悠ちゃんのベッドの上に座り、ゲームを見ながら様子を見る事にした。


「──チー、今日はどうしたの?」

「ん? 暇だから遊びに来ただけ」

「そう。あ、漫画なら棚にあるよ」

「ありがとう。でも今日は良いかな」

「そう」


 ──数分待っても、悠ちゃんはレースのゲームをやめる気配は無い。しびれを切らした私は「ねぇ、悠ちゃん。前にやってたパズルゲームはやらないの?」


「あぁ、あれ。なかなかクリア出来ないから、もう良いかな」


 ガーン……せっかく買って、練習したのに……レースが一区切りついた所で悠ちゃんはコントローラーを床に置き、私の方に視線を向ける。


 悠ちゃんは私の表情に何かを感じ取ってくれた様で、「チー、もしかしてやりたかったの?」と聞いてくれた。


 やりたい! やりたいけど……ここでがっついたら、コソ練した意味がない──私は首を小さく横に振る。


「うぅん、見たかっただけ」

「なんだよ。そうならそうと早く言えば良いのに……」

「だってそれ、悠ちゃんのゲーム機でしょ」

「気にするなよ」


 悠ちゃんはレースゲームをやめ、ソフトを箱にしまう。続いてソフトが入った棚からパズルゲームを取り出し、ゲーム機にセットしてくれた。


「ちょっと待ってなぁ……」

「うん」


 悠ちゃんはゲームが始まるとクリアできなかったステージを選択して、スタートする──最初は上手くいっていたが……相手の必殺技で負けてしまった。


「ダメダメね」


 私が煽ると、悠ちゃんはムッと来た様でコントローラーを私に差し出し「じゃあチー、やってみる?」


「良いわよ」

「え、やるの?」


 私は逸る気持ちを抑えきれず、直ぐにコントローラーを受け取る。ワクワク……ついに私の実力を悠ちゃんにお披露目する日が来た!


 興奮し過ぎて、ふんす! と鼻息を荒くしている自分に気付くが、ここまで来たんだ気にしない。


「──あ~、もう! なんで! 時間ストップスキルなんてズルい!」

「そうそう、それが厄介なんだよ。それを発動させない様に、上手く敵のスキルをキャンセルするブロックを消さないとダメなんだ」

「そういうこと? あー……悔しい! もう一回やっていい?」

「どうぞ」


 ──あ~……一人でやるより数倍、楽しい! 悠ちゃんが横から口を出しながら、一緒になって楽しんでくれているから最高! 


「──あー……ダメだったかぁ……」

「今度は二人でやってみる?」

「え? 出来るの?」

「うん、出来るよ。実は二人でやった方が簡単に出来るんだ」

「えー……じゃあ何で誘わなかったの?」

「だって……チーは興味ないかな? って思って」

「悠ちゃんが興味あるものなら、私だって興味あるよ」

「──そうなんだ。じゃあ今度は、とりあえず誘う様にするね」

「うん!」


 思わずスッと本音が漏れてしまったけど、大丈夫だったろうか? 悠ちゃんの返事が遅かったのもちょっと気になる。


 でも──悠ちゃんが私の隣でゲームを始めた時には、ドキドキでそんな心配も吹っ飛んでいた。


「あ! チー、チー、金ブロック来た!」

「え? え? 金ブロックって何?」

「スキル効果が倍増するレアブロック! 青のブロックに重ねて!」

「青? ここ?」

「ちがーう!」

「──おー……見事に連鎖しなかったね」

「おーって、何で失敗したのに驚いてんだよ」

「ふふ、確かに」

「まったく……」

  

 笑いが絶えない時間が続き、私達はどんどんゲームに集中していく。でもそろそろやめないと、悠ちゃんの寝る時間が遅くなってしまう。


「──悠ちゃん、そろそろやめにしない?」

「せっかく苦戦したステージをクリアしたんだ。もう少しやろうぜ?」


 困ったなぁ……どう言えば良いんだろう。私はちょっと考えてみる。


「──まったくダメダメね。女の子をこんな時間まで引き留めて、どうするつもり?」

「え? どうするもこうするもないけど……」

「明日も学校だし、やめにしようよ。ね?」


 悠ちゃんが返事に迷っている間に、私はコントローラーを床に置き、立ち上がった。


「じゃあ、また明日ね」

「あ……うん。また明日」


 ──不満そうにしている悠ちゃんの顔をみて、心苦しい気持ちはあったけど、私は振り返ることなく悠ちゃんの部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ