変態寮長と通り魔の邂逅
『はあ、今日も働いたなあ。』
俺はヤマさんってネコ耳たちに呼ばれている。
寮の掃除、洗濯、炊事なんでもこなす寮長兼オーナーだ。ネコ耳たちのいいところは、感情的になると耳がピクピクするところだ。
ランはヤンデレだから毎日ロンに突き放されると耳はピクピクする。
エミリちゃんもちょっとスケベな事すると耳をピクピクさせてくれる。
たまらないのよ。
ぶっちゃけこういう寮長の雑務である家事はすこぶる面倒だし、ネコ耳族の寮は街から補助金出るから、寮長くらい雇えるんだけど、耳ピクピクを見たいから現場を離れたくないんだよな。
あれで白米3合はいけるわ。
こんな変態だが、世の中の視線は悪くない。
『ネコ耳族に貢献している善良な人』
こういうレッテルを貼ってくれるからいろいろやりやすいんだよな。
まあ、こんな小出しにせんでも、ネコ耳族が耳をピクピクさせるきっかけはよく知っているが、、
時代が良くないよな。
ネコ耳族はとかく保護してあげなきゃいけない。
そう保護しなきゃいけないのよな。
『あ、みりんが切れてるな。』
今夜はエミリちゃんが好きな肉じゃがだ。
エミリちゃんに言わせれば、
『悪魔の実と魔神肉のソテー。』らしいが。
ただのネコ耳族に飽き足らず、キャラが良い。
そんなエミリちゃんが『みりんが入ってないじゃない!ふざけんなっ!』と言って、耳ピクピクしながら張り手をかます姿もみたいところだが、そこは一応寮長のプライドがある。
美味いものは食わせてやりたい。
『暗くなるのが早いな、今日は。』
近くのスーパーまで買いに行くことにした。
♦︎
『みりんが売ってないとか、、みりんバブルかい。』
5店舗回ってようやく、見つけた。
『遅くなってしまったな。』
仕方ない。
近道だから河川敷を歩く。最近物騒だから、あんまり通りたくなかったんだが、仕方ない。
あたりは真っ暗だ。
川がこころなしか、ゴオゴオ音を立てているような気がする。
『今、襲われたら、叫んでもきこえねえな。』
気がついたら、汗でびっしょりだ。
『へへ。被害者全員があれに関係してんだよな。まあ、仕方ないよなあ。』
ひたひた。
誰かが近づいている。
『へへ、まさかな。そんなはずわねえよ。』
ガガガ。
何か引きずっている。聞いたことのある音。怖い。振り返ったらやられる。いや、振替えなくてもやられる。
『望むところだぜ・・・。』
振り返った。
ブォン!
ガッ!
『ひ、ひいっ!!』
ナタが河川敷の歩道に突き刺さる。相手の顔は・・・。レインコートにサングラス、マスク。くそっ、こいつ!
また、ナタが振りあがる。
『お、俺は悪くねえ。。アイツらが、アイツらが!!やめろ、やめてくれえぇぇ!』
ナタが脳天めがけて降りてきた。